女子会の始まり
王宮で働くものが昼の業務を終えようとしている時間。
「オレリア?今日仕事終わった後予定ある?」
「よ、予定ですか?あ、ありませんが……」
「それじゃ、パーティーしない?フェレスお姉様がいらっしゃるのだけど」
「いえいえ!私なんかが畏れ多いです!」
「いいのよ。サリナも加わっていいっておっしゃっているし、オレリアが参加してもいいでしょう」
「そうです!フェレス様は心の広い方でいらっしゃいますから!」
おどおどとするオレリアにサリナが後ろから肩を掴んで笑顔を見せる。
あなたはもう少し遠慮してほしいような気もするけれど、そこがサリナの長所でもあるので良しとしましょうか。
「でもですね……」
コンコン。
「ひぃっ!」
まだまだ遠慮を見せるオレリアの背後からノックの音が聞こえてくる。
もういらっしゃったのかしら?
「はい!私が出ます!」
サリナはすぐさま扉を開くと、
「来ちゃった、もういいかしら?」
開いたドアから楽しそうな表情でこちらを覗き込んでくるお姉様がいた。
「王妃様、はしたない真似はおやめください」
「まあまあいいでしょう?あなたも仕事終わりなのだから堅いことを言わないの」
そんなお姉様の背後にいらっしゃるのはお姉様と同じくらいの年齢のメイドさんが台車の取っ手を握っている。
茶髪を後ろでお団子にしているようでおでこがきらりと光っている。
「まったく……ほどほどになさってくださいね」
「はいはい。それじゃあねセイシア」
「はいは一回です」
セイシアと呼ばれたメイドさんはピシャリとそう言い放つと、
「ディフェルナ様、恐縮ではありますが面倒を見てやってください」
私に向かって真顔でそう言った。
「ええ、お任せください」
「もぉセイシアってば、私だってちゃんとするわよ」
「お酒が入ってもですか?」
「……それはわかんなぁい」
「いい歳をして何をかわいこぶっているのですか。恥ずかしい」
「はっきり言い過ぎ!ほら帰った帰った!家族が待っているんでしょう!」
「それでは失礼しますが、くれぐれもほどほどになさいますように」
「はーい」
「それでは失礼いたします」
セイシアさんはそう言うと台車を室内に入れた後、綺麗な姿勢で頭を下げると扉を閉めて去っていった。
台車には白いクロスがかけられていて、何が載っているかはわからないけれどある程度の想像はつく。
「それじゃ改めまして、こんばんは」
「お待ちしておりました、お姉様」
「あら嬉しいわ」
「私も居ますよ!フェレス様!」
「はぁい、サリナはいつも元気ね。それと」
お姉様の視線がオレリアへと向かう。
「わ、私はアイーナ様のメイドでしたが、ディフェルナ様に給仕することになったメイドの、オレリアと申します……」
「オレリアね。うん、覚えたわ。あなたも女子会に参加するの?」
「い、いえ……私は……」
「はいはーい!参加しまーす!」
「それはいいわね!仲良くしましょうね!」
「え、ええっ!?」
「今日はとっておきのお酒とおつまみを持ってきたの!見て見て!」
お姉様が台車の上のクロスを引き上げるとそこには、美味しそうな料理とワインボトルがあった。
「わぁ!美味しそうですね!チーズにパンにソーセージにこれは何かの卵ですか!?」
「ソードシャークの卵なの!それも最高級品よ!」
見た目的にはキャビアね。
だけど前世で見たくらいで実際に食べたことはないので、私もテンションが上がる。
「どうやって食べるのですか?」
「スプーンでそのまま食べてもいいし、パンに乗せて食べるのも美味しいわよ!」
「あ、あの……私は遠慮……」
「それじゃみんな座って!女子会の開催よ!」
「お、王妃様ぁ!?」
お姉様はオレリアの肩を掴むと、テーブルとソファーがある場所へと身体を押していった。
「はい!あなたは私の隣!」
「あ、あわわわ……」
「それじゃフェルナ様は私の隣ですね!」
「ふふっ、そうね」
奥に座っているお姉様と対面する形で私は腰を下ろした。
さぁ、いよいよ女の子だけのパーティーの始まりね。




