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侵略国家の皇女に転生しましたが他国へと追放されたので祖国を懲らしめます  作者: think


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論戦

「陛下、発言よろしいですか?」


「うむ……ディフェルナ嬢」


コレイ様の発言に対抗するために私は手を挙げた。


「コレイ様、オルフェリアという国の両手は既に血で染まっていることは理解していらっしゃいますか?」


「ええ、それは疑いようのない事実ですから」


「オルフェリアは開戦理由も特になく、ある日一方的に宣戦布告をしたと聞いております。そんな国がちゃんと条約を守り、礼儀正しくなるとお思いですか?」


「人というのは過ちを犯すものです。反省するように語りかけるべきだと思います」


「話せばわかるというのなら、戦争は起こっていないのではありませんか?」


「それは、お互いに十分に理解することができなかったから起こるわけでして……」


「ではコレイ様はオルフェリアを理解なさっていただけるのですか?」


「ええ、理解の範疇にあるかと思います」


「では問わせていただきますが、オルフェリアが周辺国を制圧したら、唯一国境を接しているのはこの国のみです。オルフェリアはどう動くと思われますか?」


「しばらくは戦後処理に集中すると推測します」


捕まえた。


「そう、しばらくですね。では戦後処理が終わった後、向けられる視線はどこでしょう?」


「……それはスイレースですが、友好としての視線もあります」


「一方的な侵略者と友好を?ではお聞きしますが、凶悪犯罪者とベッドを隣にして寝られますか?それも一夜ではありません、ずっとです。もちろん日中は家族の傍にいますよ?」


「……」


コレイ様は私の言葉に反論できなかった。


「無理でしょうね。それが当然のことなのです。身近にいればこそ理屈ではありません。自分が生きたい、家族を守りたいという生物としての本能ですから」


「せ、攻めてきたら降伏するという選択肢もありますが?」


「それは陛下やご家族に死ねとおっしゃっているのですか?降伏すれば当然王族は死ぬことになるでしょう」


「そのようなことは……!」


「伝えておきますが、貴族の自分たちは助かるだろうと思っているのであれば、その考えはオルフェリアという国を知らなさ過ぎます。彼の国は支配者層を全て処するつもりですから」


今まで我関せずとしていた人たちの表情が一斉に変わり、ざわつきが大きくなった。


「そ、それでは内政がボロボロになるではありませんか!?」


「そうですよ?だから文化が育たないんですよ。そう思いませんか?ご存知なのでしょう?オルフェリアのことを」


「……」


勝った。

これ以上の論戦は行えないだろう。

さもないと不敬罪で罰せられる可能性すらあり得るから。


「平和主義、大いに結構です。ですが力を行使しないと守れないものもあるということを、ご理解していただきたく存じます」


「……陛下、私から申し上げることはもはやございません」


「そ、そうか……座ってよい……」


陛下の言葉に従い、コレイ様は静かに席に着いた。


「陛下、今ならば周辺国に滅亡を防ぐという誰もが納得する名目がございます。ですが滅亡した後ではもう遅いのです。ご英断を願えますでしょうか?」


「……」


陛下はうつむき、黙ってしまわれた。

すると、室内は誰も言葉を発することなく沈黙の時間が流れていく。


…………

………

……


そしてずいぶんと長い沈黙の後、


ガタッ。


陛下は立ち上がった。


「……サファルト国防大臣、戦の準備にどれくらいかかる?」


「兵や物資を集めるのにはおよそ一週間ほどでございます」


「コレイ内務大臣。周辺国に対する根回しにはどれくらい必要か?」


「は、はい。一月あれば可能かと……」


「二週間で完了させよ。王命である」


「か、かしこまりました!」


「我が国は、二週間後にオルフェリア皇国に対し宣戦布告をする!このことはこの場でのみの密とし、漏らした者は死罪とする!」


「「「ははっ!!!」」」


「……そ、それでは皆のものよろしく頼む。サファルトよ」


「はっ」


「この国の未来を、託す……」


「必ずや、お守りいたします」


「ふぅ……」


「父上!」


陛下はふらりと椅子の上に倒れ込んでしまった。


「心配いらん……少し疲れただけだ……」


「ご英断、お見事でした……」


「王の決断とは重いものだな……改めて思い知らされたわ」


アシュ様に支えられながら陛下は私の方に視線を向ける。


「ディフェルナ嬢よ……」


「はい」


「前線に立つという言葉、本気か?」


「はい、もちろんです」


「オルフェリアの姫であるそなたは私よりも重いものを背負わせてすまない。総指揮官としてこのアスタロスも同行させるが、どうかそなたの守護の力で守ってやってくれ」


「かしこまりました」


「アスタロスもディフェルナ嬢を守るのだぞ。この戦が終われば、晴れて夫婦となるのだから」


「もちろんです。父上」


「陛下、本当に私でよろしいのですか?私はもはや敵国の姫ですが……」


「何を言う。そなたは救国の英雄だよ」


「陛下……そのお言葉、必ずや実現させてみせます」


「ほほっ……よろしく頼む……」


疲れ切ったであろう陛下は目を閉じた。


「これにて会議を終了する!サファルト国防大臣とコレイ内務大臣は粛々と準備を進めていくように!」


「「かしこまりました」」


こうして、アシュ様の言葉で会議は終わった。


「ふぅ……」


今まで立っていた私は、緊張の糸が切れたようにその場に座り込んだ。


「フェルナ、相当疲れたようだな」


「ええ……」


「ありがとう。君がこの国に来てくれてよかったよ」


「まだどうなるかはわかりません。その言葉は全て終わった後に」


「ああ、もう一度言うよ」


私たちはお互いに笑みを浮かべた。


「素晴らしい論戦でしたな」


「お疲れ様です、ディフェルナ様」


「サファルト様、ルヴィア様、ありがとうございます」


人が出ていく中で、サファルト様とルヴィア様が私に声をかけてくれた。


「私もオルフェリアの蛮行を止めたいと思っていたのすだが、国政に関しては権限なくてどうしようもありませんでした。ディフェルナ様の進言で全てが動き出し、こちらこそ感謝しかありません」


「お父様、後は私たちの仕事ね」


「うむ、必ずや勝利を」


頼もしい父娘の様子に、アシュ様も私も顔を見合わせる。


「頼りにしているぞ」


「よろしくお願いいたしますわ」


今まさに、戦いへの幕が開くのだった。

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