家族会議
「なぁぁぁんてこと言ってるんですかぁぁぁ!」
「サリナ、うるさいわよ。少し黙っていなさい」
「これが黙っていられますかって!」
私が部屋へと戻ってきてからサリナが散々怒鳴ってくる。
「いきなりあんなこと言ってどうするんですか!?陛下はお困りでしたし他の方も眉をひそめてましたよ!?」
「仕方ないでしょう?実際オルフェリアはこの国のことを狙ってるのだもの」
「そうなんですか!?」
「ええ、弱小の周辺国を統一したくらいで静まる野望なら苦労しないわ」
「はぁ……祖国ながらなんと欲深いことで……それで今後どうするんですか?」
「どうするも何もあとは流れに沿って流れて行くまま、かしら」
「行き先次第では遭難しちゃうじゃないですか!」
「そうならないように舵取りする人がいるでしょう?」
「……殿下とルヴィア様ですか?」
「そうそう。きっとしっかりとした方向へと進めてくれるわ」
「はぁ……最近のフェルナ様には驚かされてばかりです……」
「そう?私は最初からこういった人間よ?」
私が笑うと、サリナはまたしても深いため息をついた。
───王家がくつろぐ広間にて───
4つのソファーが四角を描くように配されており、四人の王族が自身のソファーに腰かけていた。
「どうしたものか……」
その一番奥に座っているキレインが頭を抱えている。
「オルフェリアの野心は見えていたものでした。こちらから先制攻撃をかけて包囲網を敷くべきです」
「そうは言うが、我が国は実戦経験が乏しい……それでは勝てるかどうかわからないだろう?戦争とは勝てるものでないと悲惨な目に遭うことは歴史が証明している」
「ですが、機を逸すればあちらから侵攻してきます」
「ならば、防衛力を高めてだな……」
「父上もおっしゃっていましたが、防衛しきれますか?あちらは戦闘力に置いては我が国よりも一段は上です」
「侵攻してきたらディフェルナ嬢に説得してもらえば……」
「その段階まできたら説得が通じるかは不明です。今ならばまだまだ続く戦争を辞めたいという想いが大勢の兵士に根付いているはずです」
「うぅむ……」
言葉が紡げなくなったキレインは頭を抱えた。
その代わりに、アイーナが手を挙げる。
「私ははんたーい!野蛮人たちが攻めてきたら他の国から助けてもらえばいいじゃない!?」
「アイーナ?私たちはオルフェリアに侵攻されている他国を見捨てようとしているのだぞ?そんな我が国を助けてくれる国があると思うか?」
「と、遠くの国でしょ!?仲のいい近くの国なら助けてくれるもん!」
「もしも助けてくれて勝利したとして、その後はどうする?」
「その後って?」
「当然だがどれだけ仲が良い友好国でも無償では助けてくれない。とすると我が国の富が流れていく。それがどれだけ高くつくかわかるか?」
「そんなのわかんないよー!」
「私にもわからない。それだけ貸し借りとは恐ろしいものなのだ」
「むぅ……難しい話ばかりでつまんない!」
アイーナは隣に置いてあるクマのぬいぐるみを抱き、プイッとそっぽを向く。
「私には政治のことはわからないけど、フェルナちゃんは良い子だと思うわ。私が言えるのはそれだけ」
キレインに微笑みかけながらフェレスは彼の手を握った。
「君がそう言うのなら、確かなのだろう。わかった」
瞳を閉じたキレインは大きくため息をつく。
「まずはディフェルナ嬢との会合を開くとする。そこで重臣たちと話してから、我が国の未来を占うとしよう。それでいいか?アスタロスよ」
「かしこまりました」
父の言葉に大きく頷いたアスタロスは家族の顔に向ける。
困った表情の父、そんな父の背中を擦る母。
そしてぷくぅっと頬を膨らませる妹。
彼は思った。
絶対にこの家族を守る。
フェルナ、後は君にかかっているぞ。
それにしても……なぜ自分はこれほど彼女を信頼しているのだろうか?
その問いの答えはわからぬまま、時は過ぎていくのだった。




