ライバル登場?
「それじゃまた明日ね~」
「ごちそうさまでした」
フェレスお姉様との挨拶を終えて、私たちは食堂から出た。
「とりあえず、主要な施設にはご案内させていただきました……これからは自由時間としていただいて結構ですが、どうなさいますか……?」
「そうね……」
はっきり言ってしたいことはいっぱいある。
本を読みたいし、食後の運動もしたい。
それに城内をもっと歩いてみたいし、王都も回ってみたい。
だけども勝手に動き回るのも良くないだろうし、図書室で読書でもさせてもらおうかな?
食堂から少し離れた場所で立ち話をしていると、
「あら?見慣れないご令嬢ね?どなたかしら?」
きらびやかなドレスに身を包んだ令嬢たちに遭遇した。
その先頭に立っているのはいかにも気の強そうな女の子で、私と同い年くらいかな?
赤い髪の毛でポニーテールでドレスも髪に合わせて赤いもの。
「お初にお目にかかります。私はオルフェリアより参りましたディフェルナと申します」
「あ、あなたが!殿下と結婚なさるという!?」
「やはりあの話は本当だったのですね!?」
赤髪の令嬢の後ろで騒ぎ立つ三人の令嬢。
「お静かに」
それをピシャリと鎮めると、私に向かって微笑みかけた。
「私、ルヴィア・ライナ・バーリシアです。よろしくお願いいたしますわ」
そして美しい所作で名乗ってくれた。
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
「あなたは、この国にとって危険な存在。出来れば自分からお帰りになった方がよろしいのではと愚考するのですが?」
鋭い茶色の瞳が私を刺す。
これは私個人を嫌っているという単純なものではない。
オルフェリアという国の存在が嫌いなのだと思う。
「ご忠告感謝いたします。ですが、私の存在はオルフェリアにとっても危険なものとなり得るでしょう。なので上手く取り扱ってくださいませ」
「うふふ……面白い方ね?」
「そうですか?至って普通だと思っているのですが……」
「よろしいですわ。あなたの存在が吉と出るように私も祈っております。それでは」
そう言うとルヴィア様とお連れの令嬢は去っていった。
そしてその背中を見送った後、私はオレリアに問う。
「あの方は?」
「ルヴィア様は、国防大臣であられるサファルト様の娘様です。16歳でいらっしゃいますがすでにスイレース王国一の学園を卒業し、お父上のもと日々政務に取り組まれています。その指揮能力はお父上にも勝るとも劣らず、軍関係者からは紅の戦乙女と呼ばれていらっしゃる方です」
「そう……敵にはしたくない方だわ」
オレリアの話から察するに、私の提案に乗ってくれるのは彼女なのかもしれない。
いずれはゆっくりと話したいものね。
「それは少し難しいかもしれません……」
「えっ?なぜ?」
「ルヴィア様は殿下に恋をされていたようですので……」
……あちゃぁ。
すでに敵となっていたようね。
恋敵というものに……
だけど、公私混同をするタイプには見えないしなんとか説得することにしましょうか。
私の目的の為には必要な人材だと思うから。
「それにしてもオレリアは恋愛事情にも詳しいのね?」
「その……恋愛に関してはものすごく分かりやすい方でいらっしゃるので……」
「ああ、いるいる!そういう女の子!」
サリナとオレリアが恋愛話で盛り上がる。
そのおかげで先ほどまでのルヴィア様の威厳は綺麗さっぱりなくなり、ただただ可愛らしい女の子という印象が強くなってしまった。
いけないいけない。
恋愛事でなければ彼女は優秀な人なんだから、気をつけないと……
それにしても……
「ルヴィア様は殿下に近づくと、ふにゃふにゃとなって言葉をよく噛んでしまうのです……」
「可愛い~!」
可愛らしい人ね。




