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その魔術師はがめついだけじゃない  作者: たわしまつわ


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第四十三話 いろいろなパーティ達

 四人はギルドに戻り、いつものように魔石を換金した。全部で金貨二枚、銀貨では四十枚相当である。

 そこでアルドが昔の仲間の顔を見つけた。

「エンリコ、エンリコじゃないか。何で王都に?」

 そこには、アルド達の元のパーティ仲間、メイジのエンリコという人物がいたのである。

「久しぶりだな、みんな。結局、俺も王都に来たよ」

「どうしたんだ。故郷はいいのか」

「もう戦うのが嫌になったのかと思ったのですが」

 仲間達の言葉に、エンリコが深々と頭を下げて言った。

「すまない、みんな。俺が悪かった。一度は故郷に戻ったんだが、やっぱりみんなのことが気になってな。仲間を見捨てた気がして、とても後味が悪かったんだ」

 彼も長い時間共に戦った仲間のことを大事に思っていたのだった。

「それでこのギルドに来て、みんなのことを聞けば、メイジなしで困ってたというじゃないか。今日から俺もパーティに戻るよ」

 その言葉に三人が顔を見合わせ、喜んだ。

「ありがとう、助かる。明日から一緒に頑張ろう」

「良かったよ。カルスのダンジョン、メイジなしじゃとても無理なんだ」

「本当にうれしいです。また頼りにさせてもらいますよ」

 アルド達も仲間の帰参を心から喜んでいた。

 フラビオも、彼らが元の鞘に納まったのを見て、ほっとしていた。

「良かったじゃないか。なら、今日の報酬、金貨一枚だけでいい。残りはみんなで分配してくれ。祝い代わりだ」

 フラビオもそう言って、残りの金貨をアルドに手渡した。

「フラビオさん、今日は本当にありがとうございました。とても助かりましたし、良い経験が積めました。明日からも頑張ります」

「ああ。頑張れよ」

 そしてアルド達は元気良く声を上げた。

「じゃあ、再会を祝して、みんなで一杯やりに行こうぜ」

「そうだな。パーティ再結成の記念だ。行こう、行こう」

 アルド達パーティ四人は、そう言って酒場へと向かった。フラビオも笑みを浮かべて、彼らを見送ったのだった。


「おや、フラビオじゃないか」

 アルド達と入れ替わりにギルドに入ってきたのは、ローザだった。レベル三十のパーティ、赤い牙のリーダーを務める女戦士である。後にはシーフのユエル、ヒーラーのタント、バッファーのマリアも続いている。

「よお、ローザ。景気はどうだい」

「今日は地下二十階で、まあそれなりに稼いできた。苦戦もなかったが、手ごたえもない感じで、無難に魔物を狩ってただけだね」

 彼らは高レベルだけあって、アークデーモンなどの一部の魔物を除けば、倒せない魔物はいない。セカンドマスターレベルと言われる、熟練の冒険者なのだ。

「フラビオの方こそ、何してたんだ?」

「ああ。マスターレベルの連中の手伝いさ。最近王都に来たばかりの連中でね。さっき報酬をもらって別れたところさ」

 フラビオがいつものこととばかりに答える。

 ローザもやれやれという表情を浮かべ、相変わらずだとばかりに言った。

「またせっかくの強さを無駄遣いしてんのかい。あんたほど強けりゃ、もっと深い階層でも魔物を狩り放題だろうに」

「後進の育成も意味のあることだからな。それに楽に金になるしな」

「さすがフラビオ、がめついな。まあ、それもあんたのいいところだと、今はそう思ってる。じゃあ、あたし達はこれで。またな、フラビオ」

「おう。じゃあな、ローザ。ユエル、タント、マリアもご苦労さん」

 フラビオはそう言って、彼らが魔石を換金しに受付に行くのを見送る。赤い牙の面々が軽く頭を下げ、立ち去っていった。

 すると、また入れ違いに見知ったパーティが現れた。

「この間はどうも、お世話になりました、フラビオさん」

 ニコルという名の戦士でレベルは十五。彼らのパーティには、ついこの間フラビオが連携の指南をしていた。パスカルという戦士、クレマンというヒーラー、トニオというメイジがパーティメンバーだ。

「ニコル、パスカル、クレマン、トニオだったな。最近の調子はどうだ?」

 ニコルが自信たっぷりに答える。

「とてもいいです。連携の仕方を教わってから、無理なく戦えることが増えましたよ。な、みんな」

「その通り。俺達アタッカーの火力を生かしつつ、時にはトニオがとどめ、時にはそのまま倒し切るという感じで、戦い方に幅が出てきたんだ」

「まあ、その分、楯役の俺の負担は大きいけどね」

「クレマンのシールドには助けられてるよ。おかげで余裕をもって魔法を使えるからな」

 なるほど、確かに意思疎通も良くなり、戦い方にも幅ができたようだ。順調そうで何よりである。

「それは良かった。俺も教えた甲斐があったというものだ」

 フラビオが満足そうに言う。

「ええ、本当にあれ以来好調で。フラビオさんのおかげですよ」

「でもまあ、また何かあったら、フラビオさんのお力をお借りすることもあるかもしれません。その時はよろしく」

「ただ報酬が高いんで、なるべく頼みたくはないんですけどね」

「それじゃあ、俺達は行きますね」

 本当に息の合ったパーティになったものである。フラビオも感心して、彼らを見送った。

「じゃあ、またな」

「はい。またよろしく」

 彼らを見送って、フラビオも自室へと戻った。公衆浴場に行こうと思い、その支度をするためである。


 フラビオは風呂支度を済ませて、また一階へと下りてきた。

 すると、今度も見知った連中が戻ってきたところだった。何度も手伝いをしたパーティ、スターライトの面々だった。

「よお、お疲れさん」

 フラビオが気安く声を掛ける。この面々とは何度も行動を共にしたので、かなり親しくなっていた。

「あ、フラビオさん。お元気そうで」

 最初に答えたのはリーダーのアルベルトである。レベル十四の戦士で楯役である。その他は戦士でアタッカーのエリアス、ヒーラーのソフィア、途中加入のメイジのクロエという名前だった。

「最近の調子はどうだ?」

 人こそ違うがこれで三度目の問いかけだった。まあ久々に会った相手には、まずこれを聞くのが定番だ。

「レベルアップしてからは好調ですね」

「この間、キメラをきっちり仕留めました。教わった連携が生きましたよ」

「まあ、たまに負傷してヒールの出番もありますけど」

「私の魔法が役に立てられているんです。教わったおかげです」

 四人がそれぞれうれしそうに返事をしてきた。その明るい表情を見て、成長に関われることができて良かったと思うフラビオである。

「フラビオさんこそ、元気そうで何よりです」

「この前の強盗騒ぎ、フラビオさんが護衛していてとっ捕まえたとか。あんな安い値段の護衛するなんて、らしくないなと思いましたけど」

「そのおかげで助かった人もいるわけだから、さすがだなあって思っていたんですよ」

「ほんとです。魔法なしでも強いんですね、フラビオさん」

 これまでの経緯から、彼らは本当にフラビオを尊敬していた。それが伝わってくるだけに、さすがに少し気恥しい。

「ありがとよ。四人も好調で何よりだ」

「ありがとうございます。それじゃあ、俺達はこれで」

 四人が軽く頭を下げて、魔石を換金しに受付へと去っていく。

 それを見送って、フラビオがギルドを出ようと動き出したところで、またもや顔見知りに出会った。

 自分を勇者だと名乗った少年のパーティだった。アレンという名の魔法が使える戦士でレベル九。パーティメンバーは同じく戦士のロッド、楯役である。ヒーラーのアイリ。メイジのセリア。みなまだ十七才と年若い。

 今日は知り合いによく会う日であった。

「よお、アレン、ロッド、アイリ、セリア。調子はどうだ」

 フラビオは彼らに一度指南をしたことがある。彼らはレベルが不足しているが、カルスのダンジョンへの立ち入り許可を出してもらっている。その判定の時に一役買ったのである。

 今までのパーティメンバーと違い、この四人は表情が少し暗かった。

「あんまり、ですね。とりあえず、勝てる魔物は倒せているんですが」

 アレンの言葉も元気がない。

「さすがに独力でキメラはまだ無理でした。レッサーデーモンにも勝てませんでした」

「その時は、うまく撤退することはできたんですけどね」

「とにかく無事が一番だから、それはそれで良かったんですけど」

 三人が事情を簡単に話すと、アレンの顔がより暗くなった。

「さすがに自信なくなりますね。カルスが高難易度なのは知ってましたけど、まさかこれほどとは思っていなくて」

 そしてため息を一つついて、表情を切り替えた。

「でも、ここまで来て諦める気はありません。せめてマスターレベルにまでは到達したいって思っているんです」

 さすがに根性がある。フラビオもそれを聞いて安心した。

「なら、明日、また俺が付き合おうか?」

 アレン達も、フラビオが王国最強と言われる強さのあることは、実際にその目で見て知っている。そんな相手に付き添ってもらい、指南を受ければどれほど役に立つだろうか。

「ですけど、報酬、金貨一枚ですよね。僕達の今の稼ぎでは、かなり厳しいです」

 確かにそうだろう。だが、困っている連中から金を巻き上げる気はフラビオにもない。とは言え、フラビオらしく、いかにも仕方なさそうに言った。

「分かった。なら、稼ぎの山分けで妥協してやる。それならどうだ」

 アレンが仲間の顔を見回した。三人共、この機会を逃す手はないと、表情が語っていた。

「助かります。なら、明日のダンジョンにご同行下さい」

 アレンと仲間達が頭を下げた。

「よし決まりだ。じゃあ、魔石を換金してきな。俺はこれから風呂に行ってくる。また明日会おう」

 こうしてフラビオは、また自分から首を突っ込み、お節介を焼くことになったのだった。


 翌日、フラビオはアレンたちパーティと合流して、カルスのダンジョンへと向かった。

「今日はよろしくお願いします」

「こちらこそ。前にも言ったが、アレンの攻撃力、ロッドの楯、アイリの強化魔法と回復、セリアの魔法はかなりいい線いっている。連携でそれが生きれば、大概の魔物は倒せるはずだ。ただ、やはりレベル不足だから、勝てない魔物がいても仕方がないことは覚えておいてくれ」

「はい、分かりました」

「よし、それじゃあ、行くぞ」

 四人は早速地下一階へと下りた。

「サーチ」

 まずはフラビオが探知魔法を使う。

「うーん、弱いのばっかりだな。またジャイアントスネーク三体、ボーリングビートル三体、レッサーコモドドラゴン三体か。一気に蹴散らそう」

 そして魔物のいる場所へと向かう。

 まずはジャイアントスネークだ。

「俺が一体片付ける。後は任せる」

「了解です」

「アイシクルランス」

 まず遠距離からフラビオの魔法が放たれる。氷の槍がスネークの口の中を直撃し、一撃で霧状になって消えていった。

「ストレングス」

「エンハンスウェポン」

 アレン達は、いつものようにアレンの火力主体で押し切る態勢だった。残り一体はロッドが大楯で押さえ込む。

「せいっ!」

 アレンの斬撃が決まり、一体を一撃で倒し切っていた。

「アレン、こっちも頼む」

 ロッドが残り一体のスネークの攻撃を防いでいた。防御が安定しているのが彼の長所である。

「任せろ!」

 アレンが即座にロッドの元へ駆けつけ、これも一撃で倒し切った。

「よし、全員無事、異常もなし。フラビオさん、次に行けます」

 パーティの基本行動、戦闘後の確認を済ませ、アレンが声を掛ける。

「分かった。先へ進もう」

 さすがに中級者なら十分に倒せる魔物ばかりとあって、アレン達はごく簡単に倒すことができていた。

 続いてはボーリングビートル三体だ。

 これはフラビオが魔法を三発放って一気に倒した。このランクの魔物相手に戦わせる必要はないだろうと判断したのである。

 次のレッサーコモドドラゴン戦でも、フラビオは魔法で攻撃し、二体まで片付けた。後はアレンの斬撃で十分である。闘気剣での一撃で、見事に両断して倒していた。

 こうして五人は地下二階へと下りたのだった。


「さて、お目当てのレッサーデーモンがいるぞ」

 探知魔法で魔物の様子を確認し、フラビオがパーティメンバーのそう告げた。四人の表情は少し暗く、この前撤退する羽目になったことで、あまり気乗りもしない様子だった。

「大丈夫だ。キメラほどは頑丈じゃないからな」

 そうフラビオが言っても、表情は暗いままだった。

「そう言えば、前回はどんな風にレッサーデーモンと戦ったんだ?」

 フラビオが尋ねると、歯切れの悪い返事が返ってきた。

「レッサーデーモンは魔法を無効化するじゃないですか。なので私の魔法がほとんど役に立たなくて」

 セリアが残念そうに言う。

 それに続いて、ロッドも言葉を続けた。

「殴り攻撃に魔法攻撃、レッサーデーモンの攻撃は多彩で。俺の大楯でもうまく防ぎ切れなかったんですよ」

 アイリが続いて言った。

「だから、アレンの攻撃力に全てを任せることになったんです。でも、一人の攻撃じゃレッサーデーモンには通用しなくて。繰り返しアレンは頑張ってくれたんですけど、傷を負わせるので精一杯でした」

「なるほどなあ。攻撃役一人じゃ、手に余るのも仕方ないだろうな」

 フラビオが感想を口にした。

「レッサーデーモンは魔法をレジストするから、魔法を撃ち込むのは至近距離じゃないとだめだ。ロッドの楯でうまく接近し、アイリもホーリーシールドで援護だ。そうやって守り通して隙を作るんだ。それからセリアが至近距離で牽制の魔法を顔面に叩き込む。その隙にアレンが武器を三重強化して、何とかして片足を斬り落とせ。倒したらすぐ頭部を爆発魔法で吹き飛ばす。そこまでいったら、後はとどめを刺すだけだ」

 なるほどと四人がうなずく。しかし、そううまくいくだろうか。すぐに心配そうな表情に戻った。

「重要なのは距離とタイミングだな。魔法の効果が出れば勝てる」

「分かりました。やってみます」

 四人はうなずいて、覚悟を決めた表情になった。

「よし、それじゃあ行くぞ」

 フラビオに案内されて、五人はレッサーデーモンの元へと向かった。


 レッサーデーモンは体長三メートル半近い大型の魔物だ。悪魔であることを表す角の生えた頭部に赤っぽい色の体表。遠距離魔法を無効化する能力をもっている。

 パーティ四人はロッドを先頭に突撃していく。デーモンが反応し、火球か次々に飛んできた。ファイアボールの魔法である。力だけでなく、魔法が使えるのもデーモンの厄介なところだ。

 ロッドが火球を見事に防ぎ、そのおかげで四人はかなりの至近距離にまでたどり着いていた。フラビオも少し離れて戦況を窺う。もし危険なら援護するつもりである。

 間合いに入ったことで、拳と同時に火球が飛んできた。さすがに大楯だけでは防ぎ切れない。

「ホーリーシールド!」

 アイリが魔法の楯を展開し、ロッドの大楯と合わせてデーモンの攻撃を防いだ。

「ストレングス!」

「エンハンスウェポン!」

 すかさずアイリとセリアがアレンに強化魔法を掛ける。その間、デーモンが殴り掛かってきたが、ロッドが大楯でしっかりと防いでいた。

「ファイアボール!」

 至近距離なら魔法の無効化もできない。セリアが牽制のためデーモンの顔面に火球を放つ。見事に直撃し、一瞬だがデーモンの動きが止まった。

「今だ、闘気剣!」

 アレンが飛び出し、デーモンの左足に斬りつける。一撃、二撃と強烈な斬撃を見舞い、三撃目で見事にデーモンの足を斬り飛ばしていた。

「やった!」

 デーモンが地上に倒れてくる。

「ここ、エクスプロード!」

 セリアが再びデーモンの顔面に魔法を放つ。大きな爆発が起こり、デーモンの顔面を見事に打ち砕いた。

「よし、とどめだ!」

 アレンがデーモンの胴体に斬撃を加える。

 一撃、二撃、三撃と大きく体を斬り裂いていく。

 そして五撃目、デーモンがついに霧状になって消えていった。

「やった、勝った!」

 アレンが喜びつつ、仲間の無事と異常の有無を確認する。もちろん全員問題はなかった。

 こうして以前の雪辱を果たし、四人は明るい表情を浮かべたのだった。

 今まで登場したパーティがみんな出てきます。思えばフラビオも、いろいろなパーティの手助けをしてきたものです。最後は勇者を名乗っていたパーティ達を助けます。レッサーデーモンも出番が多いですね。

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