289季 今日も、ありがとう
「今日は朝から豪華に…治部煮です!」
「え!?鴨あったの?」
「鴨あったのですわ。先日西町で見つけたので…煮てみましたわ!」
「…確かに美味しい…美味しいけど…これも最後なのかな…」
「確かに学生としての朝ご飯は最後ですね。」
「そうだね…卒業式ってやっぱり晴れ着で行くべきだよね。」
「スーツならもうありますよ。」
「ありがとう。ネクタイの結び方って…」
「任せてください!さぁ、食べ終わったら歯を磨いて部屋に来てください!」
こうしてさっさと食べ終えて、準備を整えて部屋に行った。今日は卒業式だ。不思議な夢のあと、僕は少しだけ元気だった。
「こうして、こうして、こう。飛翔さんもネクタイ結べるようにならなきゃダメですよ!」
「そうだよね…ごめんなさい。」
「…まぁ、本当は結べるの知ってますけど。今日はビシッと決めたいから頼んだのでしょう。」
「そうだね…僕がやると崩れるからね。」
「大丈夫。わたくしもうまくないですから。」
「…ふふふ。」
「うふふ…こうやって笑って卒業してくださいね。」
「はい…」
こういった和気藹々とした雰囲気。その雰囲気を空気読んでチャイムが鳴った。
「飛翔さん、一緒に行きましょう。」
「あのね…私…似合ってる?」
「みなさん、似合ってますわ。」
「ありがとう。ありがとうございます…」
「さぁ、ひーくん…一緒に行こうよ。」
「…それじゃあ、行ってきます。」
「…いってらっしゃい…わたくしも卒業式を見たいですわ。」
「それじゃあ見に行こうよ!」
「佳奈!?それに千明さんまで!?」
「いいのいいの。気になるなら見に行こうよ。」
神楽阪の駅のホーム。案内放送が聞こえ、電車が来て、電車に乗る。
「なんだかしんみりしますね。」
「みんならしくないよ…私もそっか。」
「そうですよ…真音さんに関してはさっきから何も喋ってないですね。」
「…そう?まぁ…私が元気になれないのには理由があるの。」
「ニンニク不足…なんてね。」
「卒業しますからね…」
「…なんやかんや京子はいい子だね。そして雪は面白いね。」
「ありがとう。」
「そしてさくらは優しくて…飛翔は暖かい。」
「それわかります!」
「ひーくんは優しいし…すごい暖かい。まるでお日様みたい。」
「そう。そして私は真面目…だけど、怖くなかったかしら?」
「確かに最初は雰囲気怖かったです。でも、話すと心優しくて頼れる真音でした。」
「言えてる。」
「そうだよね!」
「…みんなありがとう。やっぱり私、みんなと出会えて幸せだ。」
「もしかして今まで喋らなかったのって…」
「みんなと出会えた幸せをかみしめていたからよ。さぁ、もう大学ね。」
「…それじゃあ、行きますか。」




