255季 まごわやさしい、言葉の意味
「早速だけど、浜大の定食は素晴らしいわ。今日の方がよかったぐらい。」
「心が動きました。大学生がここまでやるとは思わなかったです。」
「これは負けだ。完敗だ。ちゃんとやるとここまでになるのか…」
「私もこういったものを作りたいんですよね~」
「…百鬼さんはどうでしょうか。」
「…はい。まずは二チームともお疲れ様です。早速ですが、浜中大学は素晴らしいチームワークと個々の技術の高さが光ってましたね。味に関しても問題ないでしょう。椋木大学が昨日言葉に出した“まごわやさしい”なんですけど、和食においての考え方の基本と呼ばれるものです。これを付け足すのではなく今回はきちんと考えていたあたりに成長と強さを感じました。」
※“まごわやさしい”とは、豆、ゴマ、わかめ(海藻類)、野菜、魚、シイタケ(きのこ類)、芋類の頭文字をとったもの。
「そうですね。一方の椋木大学はどうでしたか?」
「味は美味しいわ。味だけならむしろ椋木の方が好きって人が多いはずなの。」
「確かに。味の濃さはこっちの方が上だな。」
「私は…浜大には勝てないと思うけど。」
「椋木大学はチームワークがなってないです。一人で作っていたあの子の顔、見たことはありますか?会長、副会長、他のメンバー…みんなちゃんとやらないとダメですよね?」
「そうね。いくら味が良くても勝てない理由はそこよ。」
「あぁ、椋木大学の顧問が話したいそうなのでマイクをお渡しします!」
「はい、顧問の北国優と申します。浜中大学の皆様、本日はこのような場を開いていただきありがとうございます。そして、本当に申し訳ありません。」
「いいえ。大丈夫ですよ。」
「むしろ、料理ができて楽しかったです。ところで、一つ質問よろしいでしょうか?」
「はい、神崎さんですよね?どうぞお願いします。」
「お名前を憶えていただいて光栄です。そちらのサークルは勝利を目指しているのでしょうか?」
「いえ、そんなことは思っていません。」
「そんなわけありません!」
「…一人で調理してた天才よね。」
「あぁ、やっと話してくれた。」
「私、このサークルに所属している吉野屋なずなと申します!」
「…星野さん、あの子は知っていたのですか?」
「すみません…私のかわいい後輩です!」
「私はまじめにやっていたのに…みんなが遅れて…何もできなかったの。私もそこまでうまくなくて…それでも!雪さんに教えてもらったからここまでできたんです。そして先輩たちが来て、私は端に追いやられて…でも、本当は楽しみたかったんです!」
「私は知っていました。あの子は頑張っているのにいじめられていること。今日、この場で告発できてよかったです!」
「…ねぇ、材料はある?」
「そう思ったので作りました!」
「…なずな。君に食べてほしいな。」
「はい、いただきます!」
「…どう?」
「美味しい!美味しいです!これ…美味しいです!」




