249季 甘くてクリーミー、しかし苦くて痛い
「待って、誰か私のしっぽを焼こうとしてませんでしたか?」
サーシャは思い出したようにしゃべりだした。そうだ、彼女のしっぽはドラゴンのしっぽのようで、丸焼きにすると聞いて誤解しても致し方がないだろう。
「そんなわけないでしょ。サーシャはかわいいから。」
「京子さんは食べようとしてましたよ!?」
「…ごめん!実はテレビで見て食べたくなったの!」
「それだったら私の家にこの前狩ったやつがあるんだけど…あとで食べる?」
「そうだね。前夜祭も兼ねて行こうよ。」
「待って、明日なんですか!?」
「そうなんだよ。コンテストは明日なんだよね…」
「そう。だからメニューの最終確認も兼ねて一緒に食べに来てよ。」
こうして放課後、真音の家に行くことになった。と言っても、飛翔が住むシェアハウスの向かいである。
「というわけでなぜ僕は来てしまったんだろう。」
「仕方ないでしょ。涼は最近学校に来れてないし、心美は別の実習で忙しいの。俊一は逃げたし。」
「というわけで飛翔さん、夜もよろしくお願いしますね♡」
「京子、そういうキャラはやめよう…」
「雪は見た目がこうでも乙女なんだよ。」
「gal!」
「そうだ、ちょっと作ってみようよ。」
「待って、わかめごはんは私が毎日作ってるんだよね…」
「担当なんだろうな…」
「…和え物とか味噌汁はどうしますか?」
「和え物は僕がやるんだけど…ちょっと今日は確認するね。」
「味噌汁は私がやりますので、魚は真音さんと案を考えてください。」
「煮込みならいくつもあるんですけど…焼きが思いつかないです…」
「あ、さくらちゃん。焼きの方のメニューをまとめておいたわ。本番は煮込みだと時間がちょっと足りないと思うの。」
「…どうしてですか?」
「ガスの火力よ。それと…圧力鍋が禁止みたいなの。」
「…そうでしたか。」
「それとね…食材の用意はあるんだけど、魚は秋刀魚と鮭、あと鰤があるの。でも、煮つけ向きの鰤は予想として人気だと思うの。だから…サケかサンマを選んで焼いた方がいいと思う。」
「…それなら鮭で行きましょう。焼きで1つアイデアがあります。」
「…言っておくけど、ピカタとムニエルではないよね?」
「違います。朝早くにタレを仕込みましょう。」
「…なるほどね…あ、ドラゴンのしっぽが焼けました!」
「今日のごちそうだね。」
ドラゴンのしっぽの見た目はなかなかグロテスクだ。
「…とりあえず、いただきます。」
「結構美味いね。ちょっと苦いのがまたいいな。」
「しかもトロトロしてて…悪くないわね!」
「…これは美味しくないです。」
「右に同じく。」
「というよりなんで二人は食べられるんですか?」
評価は二分したが、明日へのやる気は出た…少しは。




