238季 忘れられない、思い出たち
あれは…そうだ。zoomで1時間話したぐらいだろうか。資料がまとまり発表も決まってホッとしていたその時だった。
「え…何これ…」
「飛翔さん!触らないでください!」
と、結花さんが言ったその時だった。激しい光と熱い炎が見えた。その瞬間、僕の意識は消えた。思い出すのは懐かしい思い出たちだった。
「ここは…どこ…」
転生したばかりの頃、僕は右も左もわからず、転生したことさえ気が付かなかった。
「そうでしたか。初めまして、私は最近ここに越してきた蟹江京子です。よろしくお願いしますね。」
京子さんの声だ…昔は隣だったのにいつのまにか引っ越したんだなぁ…
「恥ずかしい所見せちゃったよね。ごめんね…私は他の人と目を合わせちゃうとその人が石になっちゃうんだ…だからいつも顔を隠してるんだけど…あの子たちはわかってくれなくて…」
さくらちゃんの声だ…昔から可愛いけど…昔タメ語だったんだ…
「あ、飛翔君こんばんわ~帰りが遅いからずっと待ってたわ。見た感じ、今日は疲れてると思うから早く寝た方がいいわよ~」
由依さんの声だ…そう言えば最近見かけないけど…大丈夫なのかな…
「…飛翔さぁぁぁぁぁん!うわぁぁぁぁぁん!心配させないでください…!あなたが死んじゃったら、わたくし…わたくし…」
結花さんの声だ…昔だよな…昔死にかけて…
「そうだ、まだ死ねないんだ。何度も死のうとして、死にかけて、でもその度に悲しませていたんだ。」
目が覚めると病院の天井…ではなく自分の部屋の天井だった。
「良かったですわ…でも、そんなことより…もしかして今走馬灯見てましたか?」
「少しだけ…懐かしくて寂しい気分になったよ。」
「そうでしたか…でも、目が覚めてよかったです。」
「あぁ、そして気付いたんだ。僕にはまだやるべきことがたくさんあることにね。」
「そうですよ。飛翔さんにはわたくしの…いえ、みなさんの幸せな笑顔を見て、笑っていて欲しいのですよ。そのためにやるべきことはあるのではないでしょうか?」
「そうだね…ところであの物体は…」
「あれは小さな爆弾です。死なないぐらいの威力ですが…あの爆弾はいったいどこから来たのでしょうね…」
その時、東の空が少しだけ赤くなった。夕焼けのような色ではなく…溶岩のような、血のような赤だった。
「あれは一体…」
「飛翔さん!あれは…」
と、結花さんが言いかけた時…電話が鳴った。
「…お久しぶりです。」
「元気そうだな!良かったよ!こっちに見えただろう!まさか不発弾があると思わなくてなぁ!ずっと処理してたんだよ!」
「こっちも爆弾見つけて数時間寝込みましたよ…」
「触れると光って炎が出るやつだろ。そっちにもあったか…今度こっちでも探すからさ、あ!そうだ、今日はボランティアで真音たち来てるんだよ!戦争でもなんでもないし、安全対策はばっちりだから心配すんなって!それと…引越しはしてないぞ。俺が不発弾の処理業者引き受けちゃったからそっちに出かけてるだけだ。落ち着いたらまたご飯食べようよ!じゃあ!」
「…浩介さん。元気そうだった。」
「良かったですけど…不発弾ですか…やはり戦争はすべきではないですね…」




