234季 はじまりはいつも雨、お迎えの時
はじまりはいつも雨だと誰かが言った。昨日の夕ご飯が肉じゃがだった時も、肉うどんだった時もはじまりは結局雨模様なのだ。
「今日は素晴らしい快晴ですわね!わたくしたちでどこか行きませんか!」
「海に行くのって結局来月の初めらしいしなぁ。」
「9月の海と言うのも素晴らしいですよ!しかも…もう予約しましたし!」
「…そうだね。でも昨日の雨がまるで嘘みたいだ。面接の緊張が天気に出たのかな…」
「そうかもですね…でも今日はせっかくの旅行日和です!気温なんて関係ないですよ、一緒に行きましょう!」
こうして神楽阪からバスに乗って着いたのは夜見川…ではなくその途中の栗本という場所だった。
「結花さん、ここって…」
「そう、わたくしの実家…というよりここに来て初めて住んだ場所になりますね。」
「急に連れてきてどうしたの…?」
「…彼女に、別れを言いたくて…」
「彼女って?」
「わたくしの…わたくしがまだここに来る前の親友です…わたくしの代わりに…交通事故で…」
「…どうしてそんなこと…」
「あの子は生前、あなたに会いたそうに待っていました。会う度に神崎さんは誰か聞いていました…でも…」
「ちょっと待って、それって転生前だよね?どうしてその子は僕を…?」
「あの子の日記を見て驚きました。本当は彼女、神崎さんを恨んでいたんです。たぶん彼女は飛翔さんを…いえ、飛翔さんのお兄様を殺そうとしてたのでしょう…しかし、結局飛翔さんが転生して…それを伝えようとした時には…彼女は…」
「…ちょっとその子の名前を教えてくれるかな?」
「…高嶺…月…」
「それ…夜晴のお姉さん…」
「そう、私の姉。ごめんね、墓参りに来てくれて。結花さんが転生したのは知っていたけど、まさか身近にいるとは思わなかったわ。」
「だから最初飛翔さんを…」
「そう。彼女を殺した犯人を懲らしめたくて…あの時は人違いだったなのに酷いことをして申し訳なかったと思う。」
「普通そうだよね…どうせあの兄だから上手く殺したんでしょう。月さん…ごめんなさい…あの兄に代わって…」
「…月ちゃんはきっと許して…」
「飛翔が来たこと、たぶん怒ってないんじゃないかな。今度まどかに聞いてみるね。」
「それなら良かったんです…ちょうどこの時期は盆ですので…」
「だったらさ、今から夜見川に行かない?あそこで祭りがあるみたいだし。」
「そうしたい気持ちはわかるのですが、今日はこれで帰りますね…」
「それならいいんだよ。私はこのまま夜見川に行ってくるね。姉への灯籠流しをしてくるよ。」
結局、夕方に雲は切れて夜に晴れる。はじまりは雨でも月は綺麗に照らしてくれる。みんなの進むべき道に向かって。




