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プロローグ
――38番目の魔女が告げます
その日世界に言葉が響いた。
家の中に外に城の中に海の中にいても聞こえたその声は、200年待ち侘びていたものだった。
「38番めの魔女が告げます」
――38番めの魔女が告げます
「約定は取り払われた」
――約定は取り払われた
「テテオの今代の長シぺ・トトテクが廃棄した」
――テテオの今代の長シぺ・トトテクが廃棄した
「38番めの魔女が世界に告げます」
魔女は、このくそったれの王を誰が仕留めるのか今か今かと首を長くして待っている。
犯人を名指しした。
これで関係のない人間が迫害されなくて済む。
「トトテクの血族に安らかな鎮魂の調べを」
――トトテクの血族に安らかな鎮魂の調べを
「相応しい痛みを」
――相応しい痛みを