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本能の器を満たす場所

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

理性を超えた先に、見えるものがきっとあると思います。


「お前、好きだと言う割に行かない所、結構あるよな。□□しかり、△△しかり」

「うん?」

梅香の君の境内の中で会話をしていた。秋風が心地好い。久方振りの女の帰還を歓迎するが如く、俺達の間を潜り抜ける。女もそれは感じとって居るようで、ご機嫌に上を向く。すると強烈な茉莉花(まつりか)の香と共に梅香の君が現れた。梅香の君は春風の如く微笑むと、軽く俺達の髪に触れる。

「その話、是非聞きたいな。君と縁を繋いだのは何も此処の私とだけじゃない。別の私とも縁を紡いでいる。それでも必ず君は此処に戻る。さぁ、何故?」

切れ長な目を細めて、するすると女の顔をに触れる。もう片方は俺の髪を悪戯に掻き回す。それを受けて女は少し困った顔で、鞄の上を陣取る空の容器を見せた。

「はい、この伽藍堂が私の本能の心です。此処に沢山の水を注ぎます。それが出来るのがこの土地です。以上」

訳の分からない解説、俺達は目を丸くする。梅香の君に助けを求めて顔を拝むが、切れ長な目を開いて、小首を傾げている。あ、困っていらっしゃる。

「梅香の君も困っていらっしゃられるが」

「えー……」

女は不服そうに顔を歪めると、空の容器を弄ぶ。それから暫くじっと眺めた後、また口を開いた。

「梅香の君、貴方様には大変不敬に思われるかと存じます」

「うん。どうぞ」

「此処より好きな境内も拝殿も御座います。その景色は微睡むような橙と、天空を染める緑の社で御座います。基本的に薄暗く、甘やかな橙雪洞がひっそりと灯る場所で御座います」

共に訪れた場所に覚えがある場所が幾つか。白羽様と飆靡様の御前だった。白羽様の御前は拝殿が段々作り。その両側に等間隔に置かれた雪洞が特徴だった。飆靡様の御前は木々が多く、真夏日でも大変涼しかった。強く香る新緑が記憶に新しい。

「勿論、心が満たされます。参って良かったと思う程に。これ程までの美しい光景が、この世にあるのかと思う程に。ですが――」

此処で一呼吸置く。それから目に光を宿す。その光は梅香の君と酷似していた。

「満たされております。幸せだと感じております。でも此処に来ると、私を満たしていたのは別の器だと感じてしまうのです。私には、どうやら器が複数ある様なのです。趣に合った器、刹那の乾きを満たす器、そうして本能が求める器、様々で御座います」

それから黙って黙って梅香の君を静かに見据える。

「本能的な乾きを満たして下さる場所なのですよ。此処は。故に幾度となく、参ってしまうのです。まぁ、日本人がお米と味噌汁から離れられないのと同じ理由で御座いますよ」

遠出を繰り返す女が必ず戻って来る場所、それがつまり本能の器を満たす場所だったという訳だ。



オマケ

あぁ、本当に、何時見ても綺麗だな……。

「の、割には来ねーよな」

「怖いのかも知れません。染まるだけ染まって来なくなるのが。逆に離れられなくなるのが。だから、趣は時折で。本能は常々」

好きなもの程扱いに困るのは、性というもので。

好きな物ほど平気で理性吹き飛ばすので、自分じゃ居られないので、自制心ある内に一歩引くんですよ。

物書きとは思えない程に語彙力飛ばすんですよ。

「えー好きー、はー好きー、脳みそ焼けちゃうよ〜」

まぁ、こんな感じりずっと「好き」しか言えなくなります。


まぁ好き避けって奴ですね。


でもそれさえ凌駕して、いつの間にか傍に居るのは、最早本能ではないかと。

好きとか嫌いとか、そんな事を考えずに寄り添うのに似てます。

それは米と味噌汁から日本人離れられないのと同じように。

あ、私は米と味噌汁は毎日食べても飽きません。

あれは遺伝子レベルで組まれてます。

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