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〜零章〜
始まりは些細な事、
否、時としてそれは閃きに変わる
人は生まれながらにして、教育され、社会というマーケットに出荷され、労働という形でその一生を家畜として終える
生命という大きな借金を己が誕生した瞬間から背負わされ命が終わる瞬間まで返済の目処が立たないまま暗闇の中を歩き続けねばならない。この完璧な自然の摂理を地獄以上の言葉で表すには現存する人類の言葉では足らないだろう
なぜ、どうして、
この苦しみの果てに本当の楽園は待っているのだろうか、
死という状態がこの悪夢からの目覚めなのならと期待を持つ者も少なくはない
しかし意識は今この瞬間、思考し行動し衣食住をこなし何かしらの欲を満たす瞬間にしか確かな現実という実感的証明はできないのだから
この考えに行き着いた果てに、私はこの地球に誕生した私という生命に反逆してみたいと思った
無論、自死を選ぶという事などしない
できるだけ沢山の苦しむ同胞、同種族を救うべく私はこの生命を燃やす