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どうやら決定事項らしい。私の意見はガン無視で事は進んでいたらしい。それが確信に変わったのは家に着いてからだ。
やたらと荷物が玄関先に置いてある。引越し業者っぽいトラックと人が屯しているので、認めざる得ないだろう。
突っぱねてもいいが、彼らが不憫だ。仕方なく了承したのだった。して、これが全てのきっかけだった気がしてならないのは何故だろう。
引越し業者の中の一人が安堵した表情でこっちに近づいてくる。
勿論無垢も金魚のフンのごとく一緒だ。
ご機嫌に何か一方的に喋っていたが全て聞き流していた。
業者の人が帽子をとって挨拶しに来た。
「いや、ちょうど良かった。今から荷物入れますが良いですよね?あ、こちら書類なんで、サインだけお願いしますね」
「だって、貴女が全て責任もってやりなさい」
私は全て押し付けて、と言うより私の仕事じゃないし。
さっさと家にはいる。
「あーん、少し手伝ってくれてもいいのに」
「……手伝ってもいいけれど、そしたら夕飯は何も用意できないわよ?豪勢にしようと思ったのに残念ね」
「はいっ!私、頑張ります!」
チョロくて助かるわ。
でも、嘘は付いてない。適当に豪華な出前を取ればいいだけだしね。