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「そう、凄いのね。じゃあサヨナラ」
何と言うか、興が冷めた。スタスタと教室を出て廊下に出る。
「え、もう帰るの?」
「ええ、この部活は何にも縛られない事が唯一の利点ですから」
「へぇ、じゃあ私も入る」
私の後を追って出入口まで着いてきながら陽気な声で言う。別に募集はしていないのだけれど。
「にー、自由がモットーなんでしょ?」
「……勝手にすればいいわ」
「ありがとう、話がわかる同居人で助かるわ」
上履きに履き替えて歩き出そうとした私の足が止まる。
何か聞きづてならない事を聞いた気がする。
「えっと、何ですって?」
「だーかーらー、話がわかる同居人で良かったって」
小さい子に窘めるような言い方で同じことを繰り返した。
軽く頭を抑える。気が狂いそうだ。
だが、気を狂わせる前に確かめなければならない。
もう一度上履きに履き替えて職員室に入り、その奥にある校長室にノックなしに入る。
当然の様に無垢も一緒だ。