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また、幻聴が聞こえてくる。
『欲しい、欲しい、欲しい』
女の様な声に、ドスの効いた男の声が重なって聞こえてくる。耳からなのか、脳に直接なのか。外から聞こえるのか、内からなのか。それすらも分からない。
「あっれ〜!可愛いねぇ」
「何何どうしたの!こんな所で立ちんぼ!?」
「って、パジャマ〜?珍しいね、寒いよね!ほら、休めるところいこーよ」
「あっ!それいい提案!」
「だろだろぉ〜、さすが俺って感じ」
虫の羽音がずっと聞こえる。それはどんどん近づいてきて、私はその五月蝿さに手を振り払った。




