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「いや実はね〜」
軽薄。この言葉はきっとこの人のためだけに作られていると確信を持って言える。
律儀に後ろ手で鍵を閉めて長机に上半身を載せるようにして話始めようとする。
「いえ、やっぱり帰ってください」
「駄目だよ。個人の魔法使いには必要なことだ」
夜見は素っ気ない態度でてで無視を払うような仕草をするも、校長は動じることも無く、1枚の紙を取りだした。
手ぶらで入ってきたように見えたし、実際そうだ。
しかし折り目ひとつない用紙を指先で押してくる。
ポッケに入れてたら多少なりシワや折り目があるはずなのに。
この手の手品を魔法と言い張るから困る。
「魔法使いって………」
「そろそろ諦めて受け入れろ。校内で盗みが行われてる。それをどうにかしてくれ」
夜見のつぶやきは無視され、だらけきった猫のような姿勢で真剣に作った声でそう言われても。
顔すらこっちに向けないのはどういう了見か。
苛立ちポイントがまた1ポイント加算しながら冷静に言い返す。
「それ、警察の仕事ですよ」
「怪異や、悪鬼の類の化け物であっても?」
本当に重たそうに姿勢を治して、一般の人ならば何をアホなと馬鹿にするような内容を口にするも、夜見に至っては苦虫を噛み潰したようになる。
分かってる。
本当は自分の立ち位置は分かってる。
だけど、夜見はその界隈には嫌気がさしてならない。
夜見にも事情がある。
その厄介極まりない事情のせいで、今こうして訳の分からないことを聞かされている。
「……そうなんですか?」
「うん、そうだよ。はいコレ」
実は嘘でしたーって言う、普段ならブチギレるノリでも今なら笑って過ごせそうだから、そうであって欲しいと聞き返すも、あっさりと認められてしまった。
ドッキリでは無く、ファンタジーな事を。
校長は机を2回叩く。
すると、さっき配られた白紙の用紙に何かが浮び上がる。
「えっ、地図?」
「うん、複数の学校で被害あるからさ。言い訳はこっちの紙。じゃあ、無垢君と頑張りたまえ」
そう言い残すと、素早く立ち上がり、追いかけ用とする夜見目掛けて紙飛行機をなげる。
グシャッと握りつぶす。
校長は驚く。小声で「ヤバ……」と言ったのは聴き逃してない。
「てか、はぁ!?あの子ってその為に!?」
「そうだよ。一応位持ちだからね」
無垢が来たのはたまたまなんかじゃなく。
夜見がこんな事をするのもたまたまなんかじゃない。
位持ちと言い捨てた。
半ば諦めの境地で呆然と立ち尽くす。
力が抜け、人形のように椅子に座るとギィッと軋む音だけがこの有り得て欲しくなかった時間経過を夢ではなかったと知らしめた。




