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魔法使いの書  作者: 新規四季


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20

その日の朝はいつも無い倦怠感を感じた。

目が覚めてもだるく、瞼が重かった。

目をつぶったまま、2、3回深呼吸するとまた意識を手放した。


しばらくして意識が覚醒した。

というか慌てた。


「ヤバいっ!時間……」


何を寝ぼけて二度寝したのか。朝礼まで後10分。


「確実に遅刻だ……!」


自分史上近年稀に見る機敏な動きで、着替え、顔を洗い、家の中を駆け回った。


玄関で靴を履いて引き戸に手をかけたところで動きを止める。何か、何か大きな忘れ物がある様な気がしたのだ。


振り返り、家の中を見る。


大きい癖に静かすぎる空間。私と親近感が湧く家。

ほんの少しだけ音がした。


そこで思い出した。この家にもう1人居ることを。

昨日の夜貸し与えた部屋の引き戸を勢い任せに開ければ、花の乙女がしては行けない寝相を晒す無垢がスヤスヤと幸せを体現していた。


「ちょっと!ねぇっ!!起きなさいって!!」

ガバッと布団を剥ぎ取る。

「うぅん……寒い……」

「他人の家一日目にしては神経太いわね!時間、が、無いの!!」

「あは、美人さんだァ」

「…………はっ、おーくーれーるー!!!!」


ガラっ!!バンッ!!!

「はぁ、はぁ、はぁ……」

「珍しい。遅刻」

「…………」

ザワザワする教室。

スタスタと自分の席に座る。

チラチラと視線が集まる。無視して外を見るふりして息を整える。


隣のクラスでもドアを私より1段大きい音を立てて入って先生に怒られる無垢。


「ごめんなさーい!」


「あら、お隣にも遅刻してきた子が居るのね」

「…………」

「後で職員室来てね〜。じゃあ、全員揃ったし改めて授業再開するわ」


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