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頼れる二人の協力者

本日のみ2話投稿です。

男装して過ごすこと数年。私の行動によるものなのかは分からないけれど親同士の仲が良く、お茶会などでよく話すようになったルシル・ヴェルデという子爵令嬢と私は親友と呼べるくらい仲良くなった。

ウェーブの掛かった深い緑の髪を初めて会った時のお茶会で褒めたのだが、どうもそれがきっかけで仲良くしたいと個人的なお茶会のお誘いが来るようになったのだ。

本人は髪がコンプレックスだったらしい。大きな植物園を所持している家柄のせいもあってか同じ年頃の男共に「まるで植物の蔓みたいな髪だな」とからかわれたのが原因だと後から聞いた。その男共許すまじ。女の子を傷付けるなんて。

私はその頃には既に男性として振る舞っていた為、彼女も最初は男だと思っていたそうだ。きっかけとなったお茶会の後にルシルは両親にあの人は婚約者はもういるのだろうかと聞き、そこで初めて同性だと聞かされすごく驚いたのだと後で笑って話してくれた。もう少しで婚約の申込みをしそうだった、と。


そういった経緯で仲良くなったルシルにある日思いきって前世のことを打ち明けてみた。すると彼女はみるみるうちに目を輝かせて私の手をしっかりと握りこう言ったのだ。


「私もお手伝いするわ! だって物語みたいでとっても面白そうだもの」


ルシルは大の本好きで特に恋愛物やファンタジー物を好んでいた。だからきっと話せば信じてくれなくとも面白がってはくれるだろうと思っていたのだけれど……予想外に彼女もすぐに信じてくれたのでこちらが拍子抜けしてしまった。

そして弟のアルバートもこのことを知っていること、王子ルートで悪役になる彼女がものすごく好みなことも隠すことなく話した。


「じゃあノアはそのヒロインが選ぶ道によってアルバート様を守る為とエレノア様を守るため、あと私的にエレノア様とお友達になりたい、というのが目標なのね?」

「うん、欲の塊で申し訳ない。もしもその子がアルの嫌いなタイプならアルのこと守らないといけないし、王子を選ぶようならエレノア嬢が悪役扱いになるのを助けたい」

「エレノア様は確かに今も話し掛けにくいものね。王妃教育が多くて私達の参加するような小規模のお茶会には来ないもの」

「そうなんだよね。出来るなら早めに縁を繋いでおきたかったけど難しそうだから学園に入ってから全力で頑張る」

「王子の噂からの推測なのだけれど、こういう出会い方はどうかしら。前に読んだ小説にあったのだけれどあの王子ならあり得ると思うの」


ルシルと私はエレノア嬢との接触パターンをいくつも考えた。どうやって信頼してもらうか、どのタイミングで男装していることを話そうか、バカ王子からどうやって彼女を救おうか。あわよくばガツンとやり返したいね。

そんなことを話しているといつもあっという間に二人でのお茶会の時間は過ぎていった。私もルシルも大変有意義な時間だったと思っている。いやぁ、考えるのは楽しいなぁ。特に王子にどうやって一矢報いろうかとか考えている時は二人して時には令嬢ならぬ案が飛び出たりして最高に楽しかったけどこれは二人だけの秘密だ。


こうして私は弟と親友、二人の協力者と共にいずれ来る学園入学の日を待った。

目標はまずエレノア嬢の友人になること。そして私が三年になる年に入学してくるヒロインが誰を狙うのかを確認して場合によって動けるようにすること。


そして入学の年になり、家にはしっかりと男性用の制服が届き、学園側にも話がついた状態で入学の日を迎えた。ヒロインやアルバートの入学は二年後だ。その間にエレノア嬢と親しくなり、学園では私は男だと認識させておかないといけない。もちろん勉学も。

卒業後は多分男装も終わりだしどこかで静かに暮らすかお嫁に出されるだろうからどこに行っても恥ずかしくない程度に学んでおかないとね。


「それじゃあアル、学園に行ってくるよ。長期休みには帰るからね」

「はいはい、姉上どうか近況報告だけはお忘れなく」

「あ、手紙はもし見られてもいいように表書きは兄上って書くんだぞ?」

「分かってますよ。僕なら大丈夫ですから。それにルシル嬢からも手紙は届きますから」

「周りからは私かアルがルシルと婚約目前だとか噂になってるらしいしねぇ。まぁそれならアルとルシルの手紙のやり取りが頻繁でもおかしくはないか」


そう、私が女だと知っている家はアルバートとルシルの仲の良さは恋仲に近いと思われており、私が男だと思っている家では私とアルのどちらかもしくはどちらもがルシルに夢中だと思われているらしいのです。まぁ私達はその辺どうでもよかったしアルバートもルシルも特に意中の人も居らず下手に婚約の申込みが来ても困るということで否定しないでおくことにしたのだ。もしもの時は本当に婚約してもいいしね~、って話も出るくらいには仲もいいし。

さて、これは学園ではどう影響するだろうか。分からないけれど悪いようにならないと信じたい。


「じゃあ、行ってきます」


明日からいよいよ学園生活の開始だ。

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