1.キャラクターメイキング
とりあえず、だらだら書いてます。まだまだ、だらだら展開が続きます。
DREAM…新発売のフルVRマシン。見た目はフルフェイスのヘルメットだけどな。一緒になんか目録も入ってて、1年間タダで遊べるらしい…っつーか、本来は金掛かるのか…
<1つの事しか出来ない。やろうと思えば何でも出来る。>
傍から聞いたらトンチだな。
DERAMで出来るのは、仮想現実世界に入る事。DREAM専用の仮想現実空間が存在するのだ。
要は、この機械を使う事でしか入れない世界がある。んで、DREAMのキャッチフレーズは何でも出来る…だそうだ。
事前にネットで調べてたらやってみたい事は見つけたからいいけどな。とりあえず、やってみなけりゃ始まらん。休みの日にヘルメット被ってスイッチを入れた。
-WELCOME TO DREAM-
「ようこそDREAMへ。これから、DREAM世界における基本的ルールと…」
説明がなげぇな…いわゆる制服を着たねーちゃんが色々と説明してくれるんだが、目の前に字幕も浮かんでるんで聞き逃しても気にはしない。目の前っても、いまのとこ俺の体がある訳じゃないんだが、
何と言うか視覚だけがそこにある感じだ。
かいつまんで言えば…
・自分の体を決めろ
・固有能力を決めろ
・当面の生活費と簡易宿泊所を貰える
・その後の生活費は自分で稼げ
・この世界のお金でリアルの買物も出来る
・念じるだけでリアル同様に会話・行動となる
・リアルにない行動なんかは随時説明がある
・したい事をしろ
…って事らしい。
俺のDERAMは1年間の基本料金は既に払われている。因みに1ヵ月4,800円だと。1年はタダで遊べるから、その後はその後きめりゃいいか。1年で約6万円とか結構な金額じゃねぇか…やるやついんのか?
リアルの買物が出来るってんなら、稼ぎゃいいのか?遊びでも働かなきゃならんのか…わからんけど
…と、そんなことを考えていると、姉ちゃんからお声が掛かる。
『DREAM世界での貴方のアバターを作成します。最初に、この世界での貴方の名前を決めて下さい。』
(名前なぁ…まぁ、ゲームみたいなもんだし、本名つかっちまってもいいか…)
「みずき…で頼む」
『表記は、ひらがな・カタカナ・ローマ字・漢字や他にも各種言語がありますが、いかが致しますか?』
考えるのも面倒なので、カタカナにする。
「カタカナで。」
『中間の表記は、「ス」「ツ」どちらに濁点が付きますか?』
「こまけぇな…「ス」に濁点で頼む。」
『了解しました。「ミズキ」様で登録致します。』
やたらと細かいやり取りに、細かい説明の時と同じ煩わしさがつきまとう…そんなことを考えていると、間髪入れずに次が来る。
『では、次に性別を決めて下さい。』
これは既に決めてるミズキは即答する。
俺がやりたい事は男だとちょっとあれなんで…と女性を選択する。
「女で。」
それでも聞かれる事は続々やって来る。
『了解しました。では、次に種族を選んで下さい』
…と言われた目の前に、種族と特徴の一覧表が現れた。
(待て待て待て。種族とかいったいどれだけあるんだよ。)
ぱっと見で30を超える種族があるその表を見てげんなりしていると、嫌がらせかと思えるような追撃を喰らう。
『主要種族の一覧を表示しましたが、その一覧表にはない種族を選択したい場合はご質問ください。調整が可能な限りは種族を作成致します。』
「可能な限りってのは?」
『基本的にDREAMでは、アバター作成時における種族間格差は無い様に調整致します。ですので、仮にドラゴンになりたい…とおっしゃった場合、この場合に標準でよく用いられる人間と比較した場合に人間と同じ強さのドラゴンとして登録致します。』
「面白そうだけどな、弱いドラゴン。なった奴っていんの?」
『はい、ベータテスト時に興味本位で作成された方がおられましたが、正式リリース後は殆ど居ないのが実情の様です。』
「それ、なんでだか答えられる?」
『はい回答可能です。DREAM内において、ドラゴンの素材と言うのは貴重です。余りにも弱いドラゴンですので素材としての価値はそこまで高くはないのですが、討伐対象になってしまう事が多いです。』
「ん?この世界、プレーヤーの殺し合いとかあんの?」
『基本的には、街中や公共交通機関である都市間馬車内は非戦闘地域に指定されているので戦闘行為は出来ません。例外はありますが。』
「例外って?」
『詳細は答えられませんが、イベントやクエストにかかわる場合と闘技場ですね。闘技場は戦闘行為は出来ても殺す事は出来ない仕様なので、更に特殊です。』
「へー…じゃ、他の場所じゃ殺されちゃうわけ?」
『そうですね。街の外やダンジョンなどのバトルフィールドは可能です。』
「で、ドラゴンさんになった人って、現在いるの?」
『…検索中…、3名、いや匹でしょうか。存在します。』
「3匹…ドラゴンも大変だな…」
『種族はきまりましたか?』
脱線しまくった話に丁寧に答えてくれるねーちゃんも偉いよな…とか思いつつ。面倒なんで一覧表から選ぼうと目の前のリストに目を通す。
言わずとしれた人間、ファンタジーっぽいエルフ、ドワーフ、ホビットやら、目新しい処だとケンタウロスやミノタウロスなんてのも居る。リストにホログラフ…ってのか?その種族の雄雌の見た目の参考が映し出されているが、人間と比較しても2メートル超える位かね?ケンタウロスこそ馬の上に人間の上半身が乗った様なのだが、ミノタウロスは牛の角が生えた人間にしか見えない。他にもゴブリン、スケルトンだの、ウェアウルフだの魔物も散見する。
そんな中、面白そうなのも見つけてそれにする事にする。
「オートマタにしてくれ」
見た目は人間だったがSFのアンドロイドみたいなものと理解した。エネルギーは普通の食事の様だが、呼吸・排泄や新陳代謝なんかがないらしい。これを見て、海の底を歩きたいと思った…それだけなんだが。性別が有るのかどうかは謎で仕方なかったりはした。
『了解しました。次に外見を決めて下さい。』
そこに現れたのはおびただしい数のオートマタの部品。人間型を想像していたが、腕にドリルとかあったりして面白い。髪型から、身長やら色々細かく指定できるらしいが面倒なので、決めたい処はこれだけだな…と質問する。
「髪型をショートカットにしたいが、種類とかあるのか?」
どうやって決めればいいのかよくわからず、きっとカタログみたいなものが有るんだろうと質問する。
『髪型をイメージして下さい。』
「なに?どういうこと?」
『ミズキ様が想像した髪型を設定します。』
そういう事ね。…ってんで、少し短めの感じに決めた。ボーイッシュなショートカットって言うのかね。イメージだけでいいっていいな。
「じゃ、あとは全部平均で決めちまってくれ。」
こんなの一個一個決めてられるかとおもった、適当に指定する。
『かしこまりました…アバターを作成しました。』
そして俺の体が出来上がる。ここで始めて自分の体が表れて、視界に掌が見える。しかし、周りに鏡がある訳でもなく、確認は出来ない。
「鏡だったり自分を別視点で確認できるのか?」
『はい』
その言葉と共に、第三者視点というか視点だけが浮く。少し遠く目から見る感じで、360度確認できる。
(はっ…未練タラタラだな、俺。)
胸や尻の大きさに差異が有るものの、目の間に居たのは別れたばっかりの彼女っぽい雰囲気をまとった何かが居た。からくり人形をイメージしてたんだが、パッ…と見た感じは、普通の人間と変わらない姿だ。
「オッケー。視点を戻してくれ。」
自らの視点に戻ったところで、とりあえず胸を揉んでみた。
「かてぇ…な。人形は人形なのか」
そんな馬鹿な事をしつつ、やっとの思いで体が出来上がった。
『次に固有スキルを決定します』
…と言う言葉と共に現れたのは…あれだ、ガラポン。回せって事なんかねぇ…しかし、何時まで続くんだよこれ…などと考えてると、
『これよりスキルを決定します。こちらを回して下さい』
言われるがままに回して出たのは黒い球。
『貴方の固有スキルが「次元収納」になりました。利用方法に関しては、後ほどご確認ください。』
「よくわからんが、わかった」
要は説明書読んでくれってことでいいんだよな?さっさと進みたいんで、適当に返事をする。
『基本設定が終了致しました。初心者用ヘルプボットを利用しますか?』
また、わけのわからんことを言いだしたぞ?と、当然の疑問を口に出す。
「なんだよ、それ?」
『過去にVRRPG等を御体験頂いている場合は基本的に不要です。DREAMが初VRである場合は同行を推奨します。』
(したことないんだから、付けて貰えばいいんだよな?)
「じゃ、付けてくれ。」
『了解しました。ではDREAMをお楽しみ下さい。』
やっと始まるのかよ…と思いつつ目の前には…すげぇ数の人、人? 人!?
「マジか…コイツラみんな、プレイヤーなのかよ…」
こうして、俺のDREAM生活は幕をあけた。




