14.思いがけない言葉
気が付いたら11人もの人がブックマークに入れてくれてました!
このつたない話を、少なくとも11人の人が気にしてくれてるのが嬉しい♪
るぅの手を掴み、その場でしゃがんで視線を合わせて話し始める。
「違うよ。決めるのは私の話を聞いた後のるぅさんです。」
まさか、こうも直ぐに先程テンと話した機会がやってくるとは思っていなかったが、ミズキは自分の事を話し始める事にする。
るぅが立ち去ろうとした理由は多分…自分が溜め息をついたから。
それは、るぅに対してではなく、自分に対してついたのに。
目の前の少女(年上だけど)は、きっと勘違いしている。
…だから、思わず引き留めて、ちゃんと話をしようと決めたのだ。
往来で中腰のまま話し続けるのも気恥ずかしいので提案をすることにした。
「ちょっと脇でお話しましょうか。」
発着場の端にある空いたベンチを見つけて半ば強引に、るぅと横並びで座る。
周辺はコークへの折返し馬車の出発準備で賑わい、ベンチの周りには人も居ない。
「えっと…フレンドの件だけど、ちょっと一方的に話すよ?」
「…うん…」
不思議そうな顔をしながら互いに横に居る相手の顔を見ながら、ミズキは話し始める。
自分のアバターはここでは女性だが、現実世界では男性である事。
抱きつれた時にそれを事前に伝えず罪悪感を覚えた事。
フレンドになろうと声を掛けられた時に罪悪感が増した事。
だから、ため息は自分に対してついた事。
るぅがそのため息が原因で勘違いしたと自分が思った事
自分の思考を順序だてて、理由と合わせて伝えようと努める。自分の中で自分に過失が有るのにも関わらず、彼女が気分を害したまま別れたく無かった。
「気持ち悪いでしょ、こんな格好の男とか?」
「…気持ちわるくないよ…それだけ…?」
「それだけ……って、それだけ!?」
「…そんな人沢山いるよ…?…それを言わない人も沢山いるよ…?」
「えっ!?マジで?」
「…本当…抱きついたのは…ちょっと恥ずかしいけど…」
どんな世界なんだと、自分の想像とかけ離れた世界に対し、頭を抱えて掻きむしり、一瞬素をのぞかせてしまった。以前断ってしまった男の子(中身不明だけど)にも悪かったかもしれない。
現状で女性の振りをし続けるのも変だと思い、軽く素を表に出して会話を続けようとする…
「…みずきちゃんは…いい人だね…?」
「いい人?そんなことないよ、自分が気分悪くなりたくないから、自分の為だし。」
「…そうなの?…でも、わたしが気分悪くなると思ってくれたんでしょ…?」
「…だと思うけど…人見知りっぽいわ…で、女の子でしょ?」
「……だよ?」
自分の中で自分を変人扱いしているミズキは、自分なら今の自分を避けると思うからか、「いい人」…などと言ってくる…そんな、るぅの考えを理解するまでに至らない。ならば…選択権を相手にあげようと決めた。
「私…いや、中身が男の俺とそれでもフレンドになりたいと思える?」
「…思うよ?」
「じゃあ、なって貰える?」
るぅは話の流れが中々掴めないまま質問攻めにされた後、突然きり出された結論にきょとん…とした表情を浮かべて困惑する。自分がお願いしていたはずなのに、いつの間にか自分が決める事になっている。自分が肯定すれば、希望は満たされるのに即答できず黙ってしまう。
そんな事とは露知らずミズキは追い打ちを掛ける。
「嫌かな?」
「…い、嫌じゃない…よ?」
「それじゃ、どうする?」
「…わたしとフレンドになってくれる…?」
「それ、俺が聞いたんだけど?」
…
……
「ぅー…なる。なって…!」
「そっかぁ、ありがと。じゃあ、るぅさんは俺の初めてのフレンドだ。」
「…そうなの?…わたしも自分からお願いしたのは…始めて…かも…あれ?…でも、わたしがお願いされた…?」
「そんなのどっちでもいいよ、とりあえず、これからよろしく♪」
「…うんっ!…よろしく…♪」
…と、言って微笑んでるのに、るぅの頬を涙が流れる。
るぅからすると嬉し涙でも、悲しい涙でもなく、安堵から来た涙であるのだが、ミズキにはそんな事は解らず、只々狼狽させるための材料でしかない。
「ちょっ…大丈夫?なんか妙な事した?俺?」
「…なんか、ほっとしただけ…なんでもないよ…?」
「ならいいけど…あまり、驚かせないで貰えると助かる。」
「…わかった。」
「それでさ、ちょっと幾つかお願いが有るんだけど。」
「お願い」…その言葉にちょっとびくっとする。その言葉を聞く時に余り良い事がないのだ。それでも平静を装って次の言葉を待つ。
「フレンドって、何をすればいいか教えて貰える?ログインの確認とメッセージのやり取りが出来るって事位しか知らないんだけど。」
「…そうだね…一緒に冒険に出かけたり、連絡を伝えたりとか…かな。」
「そっかぁ。」
「…わたし、これでもそこそこ強いから、色々手伝ってあげられるよ…?」
「俺、当分冒険の予定ってないなぁ…じゃあ、何か相談事あったらメッセージ送って。基本的にはコークに居るはずだし。」
「…なにをするの…?」
「最初の目標は自分の調理スペースが欲しい事だから、その為の資金を貯める為の何かかな。」
「…お店を出したいの…?」
「違うなぁ…料理の練習がしたいかなぁ。」
「…そ、そうなんだ…」
自分が持っていた目標や目的とは全く違うベクトルの話を聞いて、るぅは目を丸くする。何故わざわざDREAMで料理の練習をするのかも良くわからない。るぅはこんな感じでもこれ迄にも他の仮想現実世界を幾つか体験している…自分が主人公のRPGだったり、体験型の物語だったりなのだが、基本的には現実で出来ない事を体験したくて仮想現実世界に入る。多くのプレイヤーがこちら側であろう。
ところが、ミズキは現実でも出来る事を、わざわざ仮想現実の世界でやりたいと言っている。
最初は、共感してくれる人が居なかった「自分が感動した景色」を同じ様に共感してくれるプレイヤーに興味を持って、珍しく自分から話しかけた。そして、自分でも理解できない言葉を続ける事になる。
「…お料理、教えてあげようか…?」
「ほんとっ!?じゃあ、練習出来る環境が出来たら、必ずメッセージ入れるっ!」
目を輝かせて、るぅの右手を両手で掴み、嬉しそうに答えるミズキを見て…思わずほほえんだ。
大まかな話の流れを決めて、その間を埋める感じで進めています。
どうやって「教えてあげる」のセリフに持ってくかで悩んだなぁ…と。
自分の中の区切り毎で書いてますが、今回・次回短めなので夜に投稿…出来ればします。
ストックはあるのだけれど、投稿前にもう一度読むので確定でないのがごめんなさい。
200620 終盤のなにする?資金の為…のくだり、共感のくだりを誤字報告を参考にちょっと書き直しました。




