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98.相互理解

誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

もう100話にもなるので、間違いを見つけるのもお手間なのに助かります。

 唐突にバトンを渡されたマイクではあるが、事もなげに返事をする。


「あぁ、大学の同じ学部の友達だよ。」


「俺は高卒だしチョイと羨ましいな。学年は?」


「2年だよ、もうすぐ3年だ。」


「学年的には2つ下ってとこか、金持ってんだな…」


「ちげぇって、皆バイトで貯めたんだぜ?」


「おぉ…そりゃわりぃ事言ったな。偉いじゃん。逆に俺のが頂き物だわ。」


「きたねぇ…社会人きたねぇ…」


「忘年会で当たってな、まぁ、懸賞で当たった様なもんだ。」


 年下の学生がアルバイトでお金を貯めてVR機器を買っている話を聞くと、少し引け目も感じる部分もあるが、そんなものは仕方がない。出来る事と言えば…水産物で稼いでくれよと願う事と、将来的に儲け話が有れば話を持ち掛ける事位か。


「そりゃ、運が良かったな…っつーか…敬語使った方がいいのか?俺?」


「これまで通りで構わんよ。なんつーか、中の人に気を遣わせるのも無粋じゃね?」


「アンタが良いなら、それはそれで楽だから良いんだけども。」


「じゃ、おっけーで。対等でいいんじゃね?楽だし。」


「はっはっはっ軽りぃな。助かるぜ。んで、俺らの話なんだけどな…」


 …と、マイクは自分達の事を話し始める。


 彼らは大学の構内で三人同時にDREAMの登録を始めようとした処、登録の姉ちゃん一人を前に

三人纏めて登録する事になったらしい。そもそもが普通のプレイをするのは面白くないので中に入ったら人がやらなそうな事をやろうぜ…的な、漠然とした目的はあったのだが「〇〇をする!」と言う確固たる目的は無かった。


 一人一人で登録をしていたら三人別種族で今の様な人間の敵側で遊ぶ事も無かったかも知れないと思い出しながら話してくれる。一般的な人間は止めようとなったのも、こうした形で一緒に登録をしたからだろうと。


 DREAM自体はアバターを登録すると、事前に希望を申告しない限りランダムで世界中のどこかの街に飛ばされる事が大半らしいが、マイクたちの様に同時に登録したり、友人・知人から紹介された事を証明する事で同じ街に飛ばしてくれる融通加減はあるんだそうだ。


 そして適当に三人纏めてリザードマンになった彼らは、グランドの北方の湖にあるリザードマンの集落に飛ばされる事になったと。エディンやコークの様に大きな街ですらないその集落でリザードマンとして生活を始める事になったそうだ。

 一般的な人間や哺乳類系の獣人が多数を占めて闊歩する世界において、少数に属する水棲系の獣人を選んだ事で行動の幅が逆に狭まったとも言えるが、自分達の好きな事をロールプレイングしたかった、決められたルートを通るレールプレイングはしたくなかった事を熱く語る蜥蜴。


 そして、苦労…と言っても、普通のルートを体験していない本人達からすれば苦労でも無かった訳で、自分達なりに満喫していたある日、運営から魚人との連合でのグランド侵略を打診されたそうだ。ただこれに関しては、自分達が厳選されて選ばれた訳なんかではなく、元々運営が使おうと思っていたNPCとしての蜥蜴の集落に自分達が居たから打診されただけの偶然だとも教えてくれる。

  

 それでも。


 おおよそ、大半のプレイヤーであれば侵略される側の街に滞在し、防衛する側に回る立場であるのに対し、何の因果か自分たち三人が水棲人の上に立つ機会を与えられ、指令する立場になって侵略する事には快感を覚えていたらしい。

 なので、ミズキが砦に赴き、ワールドレイドを止めようとする行動に出た時は敵対心丸出しだったのだが、やれ簡単に動きを封じられるわ、えげつない切断スキルを見せつけられるわ、そこに赴いた理由自体が静かに米を食いたいだとか…で毒気を抜かれたらしい。


 何より、自分が他のプレイヤーと比べて道から外れた行動を楽しんでいる自負を吹き飛ばされた…マイク自身も上手く説明が出来ない様だが、ミズキの側にいた方が楽しそうだと思ったんだと。


「でも、それは…あんま良くねぇな。」


「何がだよ?」


「俺のやりたい事と、お前のやりたい事が同じじゃねぇだろ?」


「なんつぅかねぇ…俺が考えて実行する事より、お前がやらかす事の方が面白そうなんだよ…わかるか?それを観てぇって言うかさ。」


「んー…ちょいわかるわ。なら、やりたい事が出来たら、俺から離れてやりたい事を優先しろよ?」


「出来りゃあな。」


「んじゃ、好きにしろよ。」


「おぅよ。で、とりあえずの予定は?」


「旨いもんを食う為の何か…じゃねぇ?」


「だろうな。」


 ミズキ自身はプライベートで多少の年齢差で年下にどうこういうタイプではない、一応礼儀として自分は目上への扱いは最低限行うものの、自分がそう扱われない事をとやかくも言わない。マイクと気が合ったのは自分と同じ性別の年齢の近いプレイヤーだったからだろうとも思っている。だからこそ余計にマイクには自分に縛られて欲しくも無かったりもした。元々にしたい事をする素質があると思っただけに。


 そんな話をダラダラとしている内に準備も整った様で声を掛けられる。


「んじゃ、旨いもん食わせて貰いに行こうぜ?」


「だな。とりあえず、宜しく頼むわ。」


「あぁ、まずお前はギルドの設立を頑張れな?頼むぜ。」


「やってみるさ。」


 多少なりとも互いが解り合えた処で、二人揃って呼ばれたテーブルに歩き出した。

蜥蜴側の話を少々…と言っても、ほぼマイクの話ですけど。

次で100なんですね…早いもんです。

話自体が全然進んでいないのは…見逃して下さい。

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