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スキル『屋台召喚』


サクサクと討伐依頼をこなしていく。

徐々に難易度を上げて実戦を積んだからか、戦闘時の立ち回りも上手くなっていた。



「フォレストウルフの群れももう怖くないな」



群れで行動するということでなかなか手を出せなかったが、無事に今日の討伐依頼のターゲットであるフォレストウルフの群れを殲滅させ、討伐証明の牙をもぎとる。



「なんで討伐証明の素材は獲っても残るのに、体は消えていくんだろうな」



「考えるな、感じるのら。ご都合主義を感じるのら」


両手を祈るように組み合わせるダガー。


「ハイハイ」



「冗談はおいといて、討伐証明の素材はその魔物の証明なのら。その魔物の存在をたらしめる象徴なのらね。魔物は大地に還るスピードは早くても、死ぬときに自身の象徴だけは残すものなのら。形見みたいなものなのらねぇ。わざわざ獲らなくても、地面に死体置いといたら次の日には証明部位だけが残るのらよ」



「へー。次から放置しといて次の日回収しようかな。獲るの面倒なんだよな」


「もれなく他人に素材を拾っていかれるのらねぇ」


「ダメじゃねーか」


「もし素材が持ちきれなくて置いておくならレアドロップが手に入るか確認だけはしっかりしたほうがいいのら」


「レアドロップも残るのか?」


「残るのらよ。例えばオークだと、オークの皮や金玉が手に入るのら。これは消えているときに触ったらズルっとはがれて取れるのらねぇ」



金玉がズルッとはがれるなんて、恐ろしくて考えたくもない。



「金玉って触りたくねぇな」


「滋養強壮にいいのらよ。貴族にバカ売れなのら。いいお金になるのらねぇ」


「このフォレストウルフのレアドロップは?」


「毛皮が多いのら。たまに爪もとれるのらね」



試しにしょわーっとはじける炭酸のような音を立てているフォレストウルフの皮を触ってみる。すると本当にズルっと毛皮が取れた。



「ラッキーなのらね」


全部のフォレストウルフを触ってみると、倒した18体中8体の毛皮と2体の爪が取れた。



「・・・おかしいのらねぇ。なにかスキル使っているのら?」


訝しむダガー。


「スキルってのがよくわかんねぇわ」


「ちょっと『ステータスオープン』って唱えるのら」


言われるがままに「ステータスオープン」と唱えると、目の前にタッチパネルが現れた。しかし、この世界の文字が読めないカナメはダガーに上から表示されている項目を教えてもらう。


ザックリと簡単にまとめると、表示内容はこうなった。


*************************

カナメ・モチヅキ

27歳


レベル21

スキルポイント3100


所持スキル

「一撃必殺」「ラーメンの極意」「疲労耐性」


*************************



「レアドロップの取得率が高いのは一撃必殺のおかげのらね。クリティカルで倒しているのら。それにしても「ラーメンの極意」聞いたことのないスキル持ってるのら。スキルポイントも普通じゃないのらねぇ。これならため込んでないでスキル取得したらいいのら」



「どうやって?」



「所持スキルの下に取得可能スキル一覧をタッチしたら表示されるのらよ」



言われた通りタッチすると取得可能スキルの一覧が表示される。


毒やマヒなどの耐性や、体力・魔力の回復、魔法など様々なスキルが並ぶ。


「どれがおススメ?」


「例えば毒耐性は何回か毒攻撃をくらったら取得できるのら。自力で取得できなさそうなスキルを選んだらいいと思うのらよ」



文字が読めないから一つずつ読み上げてもらう。

コツメカワウソに人間が文字を教えてもらうとはシュールな光景である。



「あああ!!エクストラスキルあるのらよ!」


「なにそれ」


「取得できる人が限られてる特殊なスキルなのら!!あれ?でも『屋台召喚』なんて聞いたことないのら。ポイントも1500消費するのら」


「いいじゃん!それ取る!」


屋台が召喚出来るなんて、ラーメンの試作も出来るし商売も始められる。


さっそく『屋台召喚』を取得し、スキルを試す。


「屋台召喚!」


森の中で高らかに叫ぶと、ポンっと効果音とともに屋台が現れた。

昔ながらの木製の屋台だ。何も書かれていない新品の真っ赤な暖簾がかかり、人力で引いていくための取っ手。3席程のカウンター。内側は大口コンロが二つと作業台。台の下には食品の貯蔵庫がある。そして頭上には食器をしまうための棚が設置されていた。



昔ながらの屋台に見慣れないものが一つだけあった。作業台に置かれたタブレット端末である。


タブレットの電源を入れると、日本語が表示された。


『ハコニワへようこそ』


「ハコニワ?なんのことだ?」


「僕その文字読めないからわからないのら」


首をかしげるダガー。


操作するとこの屋台設備の使用方法が表示される。コンロの使用方法や食品貯蔵庫の冷蔵機能について、屋台が必要なくなったらタブレット操作で異空間へしまえることなど一通り確認できた。


また売上に応じて屋台のレベルアップが出来ること、コインを使用して材料の注文が出来ることがわかった。元の世界の材料が注文出来るのだ。一番入手方法がネックだった業務用グルタミン酸ナトリウムがこれで買えるようになった。



「これがチートってやつか」



※ただし、ラーメンに限る。



悪ふざけの賜物なのでご都合主義満載でお送りします


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