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初めてのクエスト


「手っ取り早くランク上げるのって、何すればいいですか?」


「早くということでしたら討伐依頼がよろしいかと。討伐証明部位さえ持ち込んでいただければいいですし、数が多ければ多いほどランク評価に繋がります。ただ、フリーターになりますとどういった依頼が得意か、という点も重要視されますので無理せずご自身のやりやすい得意な依頼をこなしていくことをおススメします。あちらのクエストボードにランクごとの依頼を掲載しておりますのでご覧になってみてください」



「わかりました。ありがとう」


言われた通りクエストボードとやらを確認する。


Fランクは薬草採取や迷子猫の捜索依頼、荷物の配送依頼といった雑用メインだった。モンスター関連だとゲームでおなじみのスライム討伐やアムールウサギという胸毛がハート形にこんもりと盛り上がったウサギの捕獲依頼である。

初心者向けに武器・防具レンタルの広告も貼られていた。言えばギルドのカウンターで貸し出してくれるらしい。



一つ上のEランクになるとゴブリン討伐やハチのモンスターの巣から蜂蜜を採取する依頼といった内容になり、Dランクだと群れで行動するフォレストウルフの討伐依頼や崖に棲むメイジゴートの討伐と難易度がかなり上がっている。


これはランク一つ上げるのも厄介そうだ。


げんなりしながらスライムの討伐依頼を選び、カウンターで武器のレンタルも申し込む。


「スライムの討伐証明部位は核、レアドロップのスライムジェルを持ち込んでいただければそちらも買い取らせていただきますので頑張ってください。武器は長剣、短剣、杖、ムチがございますがどれにされますか?」


「じゃあ短剣を」


使い慣れた牛刀に近いサイズが一番だと思ったのだ。


「レンタル料は返却の際にお支払いいただきます。そうだ、スライムの討伐部位はかさばるので大きなバッグを持っていくことをおススメしますよ。ではご武運を」



ものすごく丁寧に教えてくれた受付嬢にお礼を言ってギルドをあとにして、アドバイス通り大きなリュックを購入して背負ってスライム狩りへ向かった。


主な生息地は依頼に書いてあったので、どこへ向かえばいいのかはバッチリだ。


街を出て茂みに潜むスライムをサクサクさばいていく。

主な生息地まで行かなくても道中わりと遭遇するようだ。さすが初心者向けモンスター。

倒すというより、さばく感覚だった。



「うーん。なんか、物足りねぇ」



スライムが初心者向けのモンスターであることも理由の一つだが、カナメはこの世界に来てからどう切れば綺麗にさばけるか、というのが感覚で理解できるようになっていた。


ジャガイモ剥きのカナメという二つ名は伊達ではない。

安い芋を大量購入していたためごつごつと不揃いな芋たちを剥き続けたことで感覚は研ぎ澄まされ、どう剥いたらロスを最小限に抑えれるか手に取るようにわかるのだ。



スライムは初めて見たモンスターのはずだが、なぜかどこに刃を当てれば綺麗にさばいて核を取り出せるかわかるのである。



カナメは知らないうちにクリティカルでスライムを倒し、核を手に入れていた。

そして、クリティカルで倒すとレアドロップ率が上がるのである。

しょわーっとはじける炭酸のような音とともに消えるスライム。その場にはスライムジェルがかなりの確率で落とされていた。



「レアドロップって言ってたけど、わりと落ちてるもんだな」



カナメは何も知らずに回収する。


そして一撃で倒すことで経験値は1.2倍となり、ただスライムを倒しているだけなのに順調にレベルが上がっていくのである。



「やっと生息地についた。じゃんじゃん狩るか」



スライムは次から次へと現れ、カナメにさばかれていく。こうして1匹見つけたら30匹いると思えと言われるほどの生命力を持つスライムはカナメによって駆逐されたのである。



「もうバッグに入んねぇし、帰るか」



カナメに倒されたスライムの数、約200体。

レアドロップであるはずのスライムジェル約120個。

受付嬢が規格外があらわれたと上司にカナメのことを報告したのは言うまでもない。



通常ハンター登録したばかりのハンターが一日に狩るスライムの数は多くても30匹。そしてスライムジェルはせいぜい2つ3つである。

10匹倒して1つ手に入るようなレアドロップをカナメは二分の一以上の確率で取得しているのだ。

いくら運に恵まれたといっても限度がある。


可能性としては、中堅ハンターがよく保持しているスキル『盗む』を毎回使用して取得したか、毎回クリティカルを繰り出して一撃で倒したか。どちらも初心者のハンターでは考えられない方法だった。



そんなこと知る由もないカナメは、ギルドに広告を張っていた宿屋に宿泊し、今日の報酬の帳簿をつけていた。


スライムの討伐報酬が1体につき200コイン、スライムジェルが1個1,000コインで買い取られ、約16万コインを手にしたカナメは、これなら最初から冒険者になればよかったのでは?と思ったのであった。


1コイン=1円です。

物価は現代の日本と同じ。スライム30匹で6,000円の収入。

宿は安いとこなら3,000円くらいで素泊まり出来るので、残りの3,000円 が一日の食費と雑費と考えたら贅沢は出来ないけどその日暮らしならなんとかなるくらいですかね。

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