アリアの正体
今日も見直しなし
アリアと一緒にギルドを出ようとすると、いかにも冒険者風の男5人組に呼び止められた。
「嬢ちゃん達見ない顔だが新人だろ?俺達は星2の冒険者なんだけど今ちょっと人手が足りなくてダンジョンに潜れないんだよ!荷物持ちでいいから明日一日俺達と一緒に星2ダンジョンに潜らないか?一人9万ピルまでなら出すから」
9万ピルという言葉は確かに今日の稼ぎから見ると荷物を持つだけ報酬がでるのはうまい話しだと思う。王都の星2ダンジョンはあそこだけしかないし、いずれ俺も行こうとは思っていた。ただいかにも怪しすぎる提案でもある。何もなくても疑ってしまう。
「えーほんとうですか☆先輩方の荷物持ちだけで?やったー♡ぜひぜひお願いします‼」
(きゅ、急に態度が変わったぞアリアは)
俺も正直アリアの変わりようには驚いた。てかこいつ誰だ?
「そんなに喜んでもらえるとは思わなかったよ、なら明日10時にギルドに来てくれ!じゃ頼んだぞ」
そう言って男たちはギルドから出ていく。
「ごめんねー私が勝手に決めちゃってご飯おごるから許して!」
手を合わせながら謝るアリアは元のしゃべり方に戻っていた。
「別にいいけど、言っとくが俺は遠慮なんてしないからな(特に魔王が)」
(そうなのじゃ‼)
この日の夕食はアロマさんの作る料理と同等かそれ以上の料理を味わって俺と魔王は満足顔で戻れた、アリアは財布の中身を見て泣いていた。
・・・・・・・・・・
翌日俺とアリアは、約束通り10時にギルドに来ていた。
「昨日はごちそうさん」
(ごちそうだったのじゃ‼)
「ほんとよもうガクには奢らないと胸に誓ったわ」
「ないのにな!」
そう言ったら殴られた。
(こら!ガクよ、女は胸だけじゃないぞ!)
胸ない同盟がアリアの知らない間に出来ていた。
そんなくだらないやり取りをしていると昨日の男たちがやってきた。
「悪いね!待たせたかい?早速だけど簡単な自己紹介だけ済ませたらダンジョンに行こうか、俺はリーダーのゴンズ!そして左からカムラ、ヤンゴ、ジョンス、ケナンだ」
「私はアリアです♡」
だから誰だよ!目線だけでアリアを見ると睨まれた。
「俺はガクです」
「よしアリアちゃんとガク君だな、一応確認だけど二人とも星なしでいいんだよな?」
「そーなんですよ♡だから先輩方よろしくお願いいたします」
本当に誰なんだよ!
(ガクよ女とは時に変わるんじゃよ)
なぜか分かった風で魔王は語る。
自己紹介は簡単に済ましたから不愛想かと思っていたら意外と俺達二人に喋りかけてくる。俺達が初心者だった時は苦労したとか、今の若い奴らは礼儀がなっとらんとかそういう話をしているうちにダンジョンに着く。
(ガクーこのダンジョンはどんな感じなんじゃ?私の出番はあるのか?)
(俺達が今から入るダンジョンは星2ダンジョン:ノオスって名前でモンスターが少なく金属や宝石が多めの発掘型ダンジョンだよ)
(なんじゃつまらんの!)
(ただし!このダンジョンには裏ステージがあって裏ボスがいるんだよ!今回はみんながいるからいけないけど今度二人で来ることになるよ!)
(おおー裏ボスとは強そうな響きじゃな‼)
魔王の言う通り裏ボスがいるステージは星4のダンジョンと同じ難易度にしてある。ある条件下でしかいけないなだが、ここ数十年で三人しか裏ステージに入った者はいない。しかもその三人はすぐに死んだと報告がまだ俺が魔王城で働いる時にあった。
今回はそもそも条件に満たしてなので裏ステージには正攻法では入れないし、流石にこの装備で行くのもちょっと危険だろう。
「さて、今からダンジョンに入るけど二人とも落ち着いて俺たちの後ろに着いてきてくれよ」
「はい分かりました♡」
相変わらずのアリアだが目は真剣だった。流石にダンジョンに入るとなるとアリアも緊張するのだろう。
俺達は、ダンジョンに入り探索する。発掘型のダンジョンとと言ってもスコップでを持ってダンジョンを掘るわけではない。隠し部屋が無数にあるのだ、出現場所は日によってランダムで変わるので製作者の俺でも隠し部屋の場所は分からない。ただ隠し部屋の隠し方が甘いダンジョンなので近くまでいけば隠し部屋の存在には気づくことができる。
すでに何個かの隠し部屋を見つけ順調に進んでる。
「お、スケルトン1体か!どうだいアリアちゃんにガク君!スケルトン1体くらいだったら君達でも倒せるんじゃないかな?何か悪いことがあったらアドバイスできると思うから二人でやってみなよ」
「はい!がんばります♡いこガク」
ぶっちゃけアリアの昨日の実力を見る限りスケルトン1体なら一撃だと思う。だがアリアはスケルトン攻撃を受けるだけで反撃にでない。
俺はワザと手を抜いているアリアを見ていられなくなり横からスケルトンに剣を当て魔石になる。
その後、俺には助けに入るのが遅いとゴンズからアドバイスを受ける、アリアもアドバイスを受けていた。
俺達がモンスターを相手にしたのはその時だけで、後はゴンズ達が相手をしていた。
「お前なんで手を抜いてるんだよ」
休憩タイムになりゴンズ達と少し離れた場所で俺はアリアにずっと聞きたかった質問を投げかける。
「なんのことかアリア、ワカンナイ」
「へーならゴンズさん達に本当は猫かっぶてるって言ってもいいか?」
「ごめん!本当にあとちょっとだから、ガクには悪いけど釣れるまで待って!絶対ガクは守るから」
釣れる?守る?このダンジョンには魚型のモンスターはいないはずだが。
「意味は分からないけどそれが釣れたら飯奢れよ」
「奢る奢る!ほんとにありがとう!」
(お~やったぞまた美味い飯が食べられるな!)
アリアが何を隠しているのかは分からんが飯を奢って貰うことを取り付けたし、まあいいだろう。
「二人ともここからもっと奥に深くに行くから武器の手入れ一応しといてあげるから武器を貸してよ」
武器の手入れなんてダンジョンに入る前に済ませてあるし、ましてや俺とアリアが相手したのはスケルトン1体だけだ。流石にちょっと不自然だ。
武器を渡そうとしない俺からアリアが腰にある俺の剣をヒョイっと盗ってゴンズに自分のレイピアと一緒に渡す。
そしてゴンズを含めた5人がニヤニヤといやらしく笑う。
「クックック、ここまで上手くいったのは久しぶりだな!」
「なあゴンズ、アリアちゃんは俺にくれよぉー」
「ダメだヤンゴ、お前がやるとアリアちゃんがスグに死んじゃうじゃないか!まず男をの手足を切ってから目の前でアリアちゃん犯してから殺そうって昨日決めたじゃないか」
(なー魔王、ダンジョンで二回も裏切られる俺達って相当珍しいよな)
(ガク思い出したらムカついてきたわ!こやつらには私たちに歯向かったことを後悔させるくらい痛めつけてから殺そう!)
未だにゲスいにやけずらを見せている男たちにアリアが動く。
「あなたたち闇ギルドだったのね、一体なにが目的なの?」
「これから死んじゃうアリアちゃんに教えてもなんの意味もないけど今の俺達は気分がいいから特別の教えてあげるよ!これは闇ギルドでしか知られていないことなんだけどダンジョンで死んだ人間の魂はダンジョンが吸収するんだよね!俺達はその魂を横取りして自分たちのモノにするんだ」
俺は素直に驚く。人間側がダンジョンの秘密を知っている上にそれを利用しようとしているのだから。
「その魂でなにをするの?」
「それは…………」
「おい!もういいだろ、早く済ませるぞ!」
俺も何に利用するか気になったがゴンズがそれを止める。
「ガクごめんねーこんなことに巻き込んで、ちょっと後ろに下がってて」
アリアはそう言って前に出る。
「アリアちゃんもしかして自分から犯されに来た感じー?うははー!だいたーん!」
「それ以上喋らなくていいわ!今から貴方たちは死ぬんだし」
「アリアちゃんそれは笑えないよ君の実力はスケルトンで分かってるし君の武器は、ここにあるんだよ?」
「いつから私の武器がレイピアだと思っていたの?私って意外と大きい武器が好みなの!」
そう言ったアリアが持っているのは自分自身の体が隠れてしまう程の大剣だった。
「お前いつの間にそんな剣を?」
「これから死ぬ貴方たちに教える意味わないけど私は気分がいいから教えて上げる、コンちゃん出てきて」
コンちゃんと呼ばれて出てきたのは狐だった。
「な、聖獣だと⁉馬鹿な!なんで新人程度が聖獣を持ってるんだよ!」
「それは私がギルド:ワールドナイツのアリスだからよ」
「な⁉アリスだと!でも聖獣使いのアリスかでも確かアリスは赤髪だったはず」
俺の知らないことを勝手に聞いてくれて正直助かる。ちなみに聖獣は星4のダンジョンで特別なことをしなければ手に入らないから相当レアだ。
「ふん、貴方たち本当に馬鹿ね私はワールドナイツの正式な依頼で貴方たち闇ギルドを追ってたの特に新人潰しの貴方たちを、そんな貴方たちの所に変装せずにいるとでも」
そう言った彼女の髪はブロンドから綺麗なスカーレットに変化する。
「クソ、お前たち一斉にかかるぞ!」
5人同時にアリアもといいアリスに飛び掛かる。
「フン!」
アリスの一振りで全員が肉片になりびちゃという音だけが残る
(私たち出る幕なかったのー)
(いやーアリスさんチートかな)
「ふう!ごめんねガク、ガクがギルドに登録してた時から目を付けられてたから囮にしちゃって」
なるほど、これアリスがやたらと俺に絡んできた理由が分かった。
「てかアリアじゃなくてアリスさんは星5なの?結構強いみたいだし」
「アリスでいいわよ!それと私は星3の時にこの子と友達になって最近になってようやく星4になったばっかりなの」
「あーまじ?星4なの?」
(ガクよ星4だと何かあるのか?)
(良かったな魔王!今から裏ステージに突入だ!)
俺達のいる部屋は裏ステージへの条件を満たし、強制転移させられるのであった。
展開早くてすみません。
次回裏ボスに挑みます。
恐らく