いざ王都まで!
ド安定の見直しなし
王都から南に3日を程歩いたところにある人口30人の村、それが今俺がいるオムレ村だ。
あれから三日が経ち、俺は助けて貰ったお礼に仕事の手伝いをしていた。
「いやー坊主が手伝ってくれて本当に助かったぜ、カッカッカ」
俺をここまで運んでくれたおじさん、マルクさん
「ガクが来てから料理をするのが楽しくなったよ」
毎日美味しい料理を出してくれるおばさん、アロマさん
(メシッ!メシッ!)
頭の中で騒がしい魔王を無視してテーブルにつく。
「今日はガクが昨日捕ってきた、イノシシの煮込みだよ」
(おおーこれは非常に美味しそうなのだ)
魔王の言う通り匂いだけでもだけでも涎が出てきそうになるほどにアロマさんの料理はおいしそうだ。
「(いただきます!)」
非常にうますぎてしばらく無言で食べているとアロマさんが不安そうに問いかけてくる。
「ガク本当に明日王都に行くのかい?一人で行くなんていくらなんでも危ないんじゃないかい?最近は盗賊が出るってきくよ。」
アロマさんが言うように俺は明日王都に向かうと決めていた。理由は簡単、ダンジョンを『最速』で攻略するするために王都が一番効率がいいのだ。ゲーム風に言えばRTAをしたいと思っている。
「カーチャンはまた言ってるのかよ、男が一度決めたことなんだ!それを邪魔するなんて野暮ってもんだぜ」
「馬鹿アンタはガクが心配じゃないのかい!……ガクせめて2週間後くる商人達と一緒にいくのはダメなのかい」
アロマさんはマルクさんの頭をたたきながら言う。
俺は一度首を振り
「アロマさんやマルクさんにはホントもうしわ申し訳ないと思ってるよ。見ず知らずの俺を家族のように接してくれて、俺もアロマさんとマルクさんを本当の親のように感じたんだ、恩返しがこの三日程度でできたとは思ってないけど……俺どうしても王都に行かないといけないんだ」
「ガク……そういう風に思ってくれていたなんて……グスッ……わかったもう止めないよ、行っておいで!」
「ガーヂャン泣くなよォ~……スン……ガグお前は俺たちの息子だァー」
「アンタこそ上を向いて泣いてるじゃないか」
「こ、これは、ホコリに目が入っただけじゃい」
「バカッあんたそれを言うなら目にホコリだろ」
そんなコント見たいなやり取りを見ながら本当にこの家に拾われて良かったなと思う。
(フン……この夫婦はホント賑やかじゃの~)
(俺は魔王も家族だと思ってるよ)
(な⁉なにをいきなりいうのじゃ‼べ、別に私も混ざりたかったとかじゃないんだからね……ふ、不意打ちなのじゃ)
この日は、俺がここに来て一番騒がし夜になった。
......
目が覚めるともう見慣れてきた天井が目に入り、これを見るのも今日が最後なのかと思いなごり惜しくなる。
(んーガクもう起きたのか~)
(おはよう、魔王)
(んーおはよう……おやすみなのじゃ)
まあ魔王は飯の時間になれば起きてくるだろう。まだ誰も起きてないみたいなので静かに家を出てトレーニングに出る。
ダンジョン攻略にするにあったて一番の懸念は俺の体力、戦闘力だ。後者の方は魔王の魔法で何とかなりそうなのは分かっている。
問題は俺の体力のほうだ。モンスターと戦うにしても全部魔王の魔法任せにしていてはいざという時に魔力切れする可能性もでてくる。他にもダンジョンないにはトラップがあり、走って回避するようなものも結構ある。
つまり体力がないとダンジョンは攻略できない。幸い俺の基本スペックは意外と高く朝は20キロ程の距離を息を乱さず走ることができる。
エドワードにすべてのスキルを奪われた俺だったが毎日100年間ダンジョンに俺自身がスキルを使って実験をしていたことで体自身も自然と鍛えられたみたいでスキルこそないが俺一人でも初心者ダンジョンなら攻略できると思う。
ただこうして普段から鍛えてないと、不老のスキルがないためせっかく鍛えた身体が衰えていく。
トレーニングが終わり家に帰るともう二人とも起きておりいつもより豪勢な朝飯ができていた。
魔王が全部食べようとするから俺のお腹は別れの時まで破裂しそうだった。
(これでよかったのかガク?)
(ん?何の話)
(ガクがまだあの村に残りたいなら、私はあの村にいてもよかったのじゃぞ)
俺はもう見えなくなった村の方角をみる。
(うーん……これ以上あそこにいたら一生残りたくなりそうだったからね、それに残りたっかたのは魔王の方なんじゃない?アロマさんのご飯はしばらく食べれないからね)
別れの時、二人は泣いていた。たった三日の付き合いだったけど本当にいい人達だった。
(そんなことよりそろそろ魔王の魔法の出番だよ!馬鹿正直に王都まで歩いても仕方がないし魔法を使って今日中王都に着こうよ)
(そうじゃな、いつまでもウジウジしていても仕方ないの!ガクもこれから使う魔法には感動すると思うぞ)
(マジで!そんな凄い魔法なの?)
(大マジなのじゃ!ではいくぞ!)
......
確かに凄い……確かにこの魔法があれば王都には今日中に着くしなんならダンジョン攻略も楽になるだろう。でもな魔王……これはないよ……なんだよ身体強化の魔法って。
俺は今、物凄いスピードで王都へと走っている。そう走っているのだ。俺はてっきり空を飛んでいくとかなんなら王都までテレポートとかそういうたぐいの魔法かと思っていたのだ。
それにこの魔法俺がやってる朝のトレーニングを全否定する魔法じゃないか。
(むう……ガク、前方に何人か人の気配だぞ。このペースなら2分くらいで合流する感じだな!どうする?)
(ウーン、何人くらいいるの?)
俺は一度立ち止まり魔王に問いかける。
(30人くらいかの、どうやら戦っているみたいじゃぞ?)
(そういえば、盗賊が出るってアロマさんが言ってたっけ、よし盗賊を捕まえて王都に着いたら賞金貰って美味い飯でも食べようか)
盗賊を捕まえて賞金がでるかは知らないけど、漫画とかラノベならありがちな展開だし多分大丈夫だろ。それに村を出る時、カッコつけてお金をくれようとしていたアロマさんから断ってしまったので今俺達は無一文だ。
(おお~王都の美味い飯!これはやる気がでるの!私も本気をだすか‼)
(いや……魔王が本気をだすと地形が変わるから……今回は身体強化でどれくらいやれるかダンジョンに入る前の肩慣らしにさせてよ)
(分かったのじゃ、けど危なくなったら容赦なく魔法をぶっ放すからの!)
そうと決まれば急いで行かないと、誰か盗賊に殺されてたりされたら盗賊を捕まえても素直に喜ばないし。
......
???視点
わたしはカノン王国の姫、エルザ。まあ姫って言ってもわたしの扱いは他の兄弟たちとは変わっている。生まれた時から魔術適正があり英才教育を受けてきた。そのため魔術の腕は『星』3冒険者を超えるといわれている。
そんなわたしだからこそ今回の盗賊討伐を任された。本来であればギルドに依頼するような仕事だけど、どうも最近の王国の悪い噂が流れている。まあ要するに王国は国民のために働いてますよと言う政治的なアピールなのである。
護衛騎士9名を連れての盗賊討伐は特に苦もなく終わった。所詮星2以下の冒険者崩れの集まりのような集団にわたしが遅れをとるはずもなっかた。
ただ予想以上の数に魔力を使いすぎてしまい、帰りはほとんど魔力がない状態で馬車乗っていった。
そんな時だった。王都まであと1時間ほどの所で襲撃を受けたのだ。盗賊にしては武器も身なりもいい、恐らく王国に不満を持つ貴族の差し金だろう。
「何者だ!この馬車が王国のものと知っての襲撃か?」
護衛隊長が剣を抜きながら問いかける。
しかし相手は答えない。それは始めからエルザを狙っているということを示していた。
戦いは、護衛騎士が陣形を組みなんとか数の差を埋めようとしていたが押されつつある。
私も何とか残り少ない魔力で援護するが、効果は薄い。
そして、一人の騎士が斬られると陣形に穴が開く。
「ここまでか」
私がそう諦めた時だった。
先程の騎士に止めを刺そうとしていた敵が吹っ飛んだのだ。
いつの間に現れたのか、そこにはわたしと同じくらいの少年が怪我をした騎士の目の前にいた。
......
戦いが見える位置まで俺が着いた時には、どう見ても襲われている方の一人が斬られていた。そして止めを刺そうとしていたので、考える暇もなく身体が勝手に動ていた。
敵の一人を殴り倒して改めて身体強化の力を感じる。後ろを向き騎士っぽい人の傷を見る。
(魔王治せる?)
(うむ!かすり傷じゃな)
明らかにかすり傷ではないが魔王基準ではこれがかすり傷らしい。
俺は騎士ぽっい人の傷口を触り魔王の魔法で治して貰う。
「な⁉なにを⁉え?回復魔法?」
騎士っぽい人は焦っていたが無視して盗賊?でいいんだよな?の方を向く。
どうやら盗賊の人はいきなり現れるなり仲間を倒した俺を警戒しているらしく動かない。相手が仕掛けてこないのなら俺から仕掛ける。
魔王が頭の中でアドバイスをくれながら俺は攻め込む。
魔王いはく、人数が相手の方が多いならまず大将を取るべし……俺はリーダーっぽい人を殴り飛ばす。
魔王いはく、大将がやられたことで混乱したとことをぶち飛ばせ!……俺はとりあえず全員殴り飛ばす。
魔王いはく、勝利の後はvサイン……流石に人目が……魔王いはく、vサインは絶対!
俺はやけくそで助けた人達の方を向いてvサインをした。
そろそろ主人公チートしたっかたので予定になかった、盗賊を出させました。
次回こそダンジョン無双編書きたいです!