異世界にきて百年
久しぶりの投稿です。
特に見直してないので色々と変なところがあるかもです。
俺の名前は、舞倉 ガク
ついこのあいだまでは普通の高校生だったが、魔王に異世界召喚されてなぜかダンジョンを造る毎日を過ごしている。
そのダンジョンなんだが魔王城のシールドと関係があるらしくダンジョンを攻略されるとシールドが消えて人間の王国に攻め込まれるそうだ。そのためにダンジョンを強化してだれも攻略できないほどの難易度にしたそうだ。ゲームなら誰が見てもクソゲーだな。
そしてここからが俺が召喚された理由なんだがこの世界のダンジョンの動力源とされているのは人間の魂だそうだ。つまりダンジョン内で死んだ人間の魂によってダンジョンは動いているのだから誰も入れないダンジョンはいずれ勝手に崩れ魔王城のシールドも消えてしまう。
だから俺の仕事は、ダンジョンを攻略されずに適度にダンジョンに人間を挑戦させ殺すことだ。人を殺すダンジョンを造るのだから抵抗がなかったわけではない。ただ自分の手で現実のダンジョンを造れるというのだから好奇心が勝り俺は一年でダンジョンを造り終えた。
だが問題はまだあった。
人が誰も入らないのだ。考えてみれば単純だった。俺が召喚される前のダンジョンが凶悪すぎたにのだ。人間の街では噂になり誰も入らないのだ。
俺は魔王に何があったか尋ねた。いくらダンジョンが強力でも誰も入らないなんてあるのかと、魔王の答えは簡単だった。一度百人の人間をダンジョンで殺したらしい。それも人間の中では英雄と呼ばれた人達を。
それりゃ誰もダンジョンに挑戦しないわな。
俺がダンジョンをいくら改変しようと、その事実がある限り人は入ってこない。幸いなのは、その百人の魂を喰らったダンジョンが五十年分の動力を持っていたということだ。
俺のダンジョン制作は生き詰まってしまった。
そんな時ふと思ったのは、俺は異世界に来たのにファンタジーっぽいことをなにもしてない!というダンジョンにまったく関係ないことだった。
俺は、すぐに魔王にダンジョンに関係あることだからと魔王に魔法を教えてくれるよに頼んだ。魔法を習得するのは意外なほど簡単だった。この世界にはスキルスクロールと言うものがあり、それを読むだけでスクロールに書かれている技能を習得することができるのだ。
俺が読んだのは火の魔術師のスクロール、火の魔法のが使えるというものだ。そして魔王はこれを機に他のスクロールも読ませてくれた。
不老不死のスクロール➡名前の通り不死身の体に、剣士のスクロール➡剣を一度も持ったことがなっかった俺が剣をうまく扱えるようになった。ただ読んだスクロールは消えって無くなってしまったので、嘘をついてスキルを貰ってしまった俺は罪悪感を感じてしっまたので打開策を練るのに次の日から頑張るのであった。
意外と打開策を考え付くのは簡単だった。他にもダンジョンを造ればいいというものだ。ゲームやラノベでもダンジョンが一つだけではなく複数存在してることが多かった。つまり今あるダンジョンを最高難易度のダンジョンだったことにして初心者向け、中級者向け、上級者向けのダンジョンを造ることで人間をダンジョンに慣れさせ、最終的に最高難易度のダンジョンに挑ませるということだ。
問題はいくつもあったがこの作戦は成功、俺が召喚されてから百年たったが最高難易度に挑戦する人も増え百層ある階層の八十三層まで攻略されはされたものの九十層からは俺が全力を注いでダンジョンを改造してあるので、八十三層で苦戦しているのであれば百層までは絶対に攻略できないだろう。
そんな俺の一日はこんな感じだ。
午前五時半 起床。顔を洗い歯を磨く。
午前六時 俺が広めたラジオ体操を魔王軍3千人とする。
午前七時 魔王と二人で朝食。
午前八時 ここから午前十一時までダンジョンのトラップやモンスターの配置など、ダンジョン関係 仕事だ。
午前十一時 魔王城に帰宅後、魔王に仕事の報告をする。
午後十二時 魔王と二人で昼食
午後十三時 魔王と二人で人間がいる街にダンジョンの評判を聞き込み調査、十五時まで二人で街をう ろつ………調査をする。
午後一五時 魔王とはここで別れて俺は再びダンジョンに戻り自分自身でダンジョンを探索、トラップ などの作動確認を一八時までする。
午後一八時 魔王城に戻り、魔王と夕食。その後は二一時まで暇を持て余す。
午後二一時 就寝。
そんなダンジョンを日々造っている俺だが、正直もう完全にこの異世界生活に馴染んでいる。ぶちゃけ言えばこの世界に永住しても良いと思える程にはこの世界のことが好きになっていた。まあ異世界で生きてる時間の方が長いのだから当然と言えば当然なんだが。
そういう訳で今日、俺は魔王にお願いをしようと思う。
「なんじゃ?今日は朝から元気がないようだが風邪でもこじらしたか?」
魔王と人間の街でお茶をしていると魔王がたずねきた。
「いやー全然元気なんだけどさ、ここでいうのもアレだし夕食後でいい?」
「ガクがそう言うならそれでいいが……なら夕食後少し時間を空けて私の部屋に来い」
少し魔王が捨てられた子犬のように見えたのは俺の見間違いだろうか?
だがそのあとの街を歩く姿は、いつもよりもはしゃいでいたので俺の見間違いだったようだ。
そして夕食後、俺は魔王の部屋の前にいる。
俺はこの世界に召喚された日、魔王と一つの契約を交わした。それはダンジョンを造り終えたら俺を元の世界に帰すという契約だ。
後で知ったことだがこの世界での契約は、魔法で強く縛られていて契約を破棄すると代償があるらしい。
つまり俺はかなり無茶なお願いを、今から魔王にするわけだ。
俺が魔王の部屋の前で入ろうかどうか悩んでいると
「遅いわ!いい加減に部屋に入ってこんか、いつまで私の部屋の前でうろちょろしてるんじゃ!気配が駄々洩れで気が散るわ‼」
部屋主の方からドアを開けてきた。
そういえば魔王の気配察知スキルはチート級だった。前に一度、造った俺ですら帰り道が分からなくなった迷路のような複雑なダンジョンで魔王は気配だけで俺を見つけて助けに来てくれた。その後結局魔王も帰り道が分からず二人で三日間ダンジョンを彷徨ったのは今思えばいい思い出だ。
「それで、私に話したいこととはなんじゃ?」
部屋に入ると魔王はベットに飛び込んでウサギの枕を抱きながら上目づかいに問いかけてくる。
「えーと、魔王は契約のことを覚えてる?」
「やはりそのことか……当たり前じゃ魔族にとって契約とは命に係わることじゃからな、それを今言うってことはやはり元の世界に帰りたいのか?」
「いや違うよ、むしろその逆!ダンジョンを造り終わっても帰らないようにならないかなーっと思って……」
「えっ?」
魔王は口をあけたまま動かなくなった。
「ほ、本当にかえらなくて帰らなくてよいのか?元の世界に残して来たものとかはないのか?」
「あー確かに向こうの世界に家族もいたけど……今はここの魔王も魔王軍のみんなも家族みたいなものだと俺は思ってるよ、少なくとも俺はもうこっちの世界で生きていきたいかな、なあ契約を破棄できないかな?」
「フフッなんじゃそういう事なら早よう言ってくれれば良かったのに、大丈夫じゃ、私に任せておけ明日にでも契約なんぞ破棄してくれるわ」
魔王はドヤ顔でそういうと明日は早いからと俺を部屋から追い出すのであった
魔王視点
私は魔王‼私は人間が大嫌いだった。人間は野蛮で極悪非道な種族と教わったからである。そんな人間への評価を変えたのは百年前に召喚した人間ガクだった。ガクは不思議な人間だ。一見ダンジョンに関係のない事を始めたと思えば、それをダンジョンにすぐ取り入れる。最初の一年は魔王幹部の評価は最悪であったが、今では幹部全員と仲が良い。ガクには色々なことを教わり、色々なことを教えてやった。
ガクの様子がおかしい。そう思ったのは数日前からだ。私に何か言いたそうにしているが特に何もいう訳でもなく普段道理過ごしている。
そして今日は特におかしい、何を言いても上の空、原因を尋ねると夜部屋で話をしたいそうだ。
私はとうとうこの時がきたかと思った。ガクは元の世界に帰りたいのであろう。
考えてみれば当然だ、ガクが故郷に帰りたいと思うのは当然であり、ダンジョンもほぼ完成している。ガクがこの世界に留まる理由はないのだ。
ガクが元の世界に帰ると思うと胸が締め付けられるように痛い。だが最強の魔王である私がこの程度の痛みに負けるわけにはいかない。ガクを故郷に帰してやろう。それがガクにとっても私にとっても良い事だ。そう決意して部屋の外にいるガクに怒鳴りつけた。
まぁーなんじゃ、結果から言えばガクが悩んでたのは契約のことでこの世界に残りたいということだった。すこし八つ当たり気味にガクを追い出して安堵する。
悩んでたのが馬鹿らしくなり、自然と笑みがこぼれる。
「まだ、読んでない書類も多いが今日の所は寝るとするかのう。」
魔王は机にある山積みの書類から目をそらしてベットに飛び込むのであった。
次の日の朝、ダンジョン95階層ボス部屋に俺と魔王そしてエドワードでやったきた。理由はもちろん契約破棄のためだ。
「それにしてもあなたがこの世界に残りたいと言うとは、ここに来た時には考えられないことですよ。まあ僕としてはとても喜ばし事ですがね……」
羊顔のエドワードは地面に魔方陣を書きながら言う。
「ありがとうエドワード、でもエドワードのスキルに契約を解除する能力があるなんて知らなかったよ」
「あ、私もそんな凄いスキルがあるなんて聞いてなかったぞ!この魔王に隠し事をしていたとはエドワード減給だぁ!」
「ちょ……ま、魔王様これには深い訳があったのです。ほ、ほら魔方陣も完成したのでその話は後でしましょう。魔王様は大きい方の魔方陣にガク君あなたは小さい方の魔方陣に入って下さい。」
俺と魔王は言われた通り魔方陣の上に立つ。
「フーン、こんなちんけな魔方陣で本当に大丈夫なのか?」
魔王が言って改めて魔方陣を見る。俺からしたらこんな複雑に書かれている魔方陣をとてもじゃないがちんけなんていえない。でもどうしてだろう……なんか見たことあるような気がするんだよなーあれどこでだっけなー
「ではこれから魔力を流しますのでお二人はそのままで」
もう少しで思い出せそうというところでエドワードが魔方陣に魔力を流しだし魔方陣が輝きだす。
どんどん光が強くなってきた時俺は思い出す。
あ、これダンジョンのトラップで使ってたやつだわ。はあ?なんで今これを書いたんだ。俺はエドワードの顔を見る。羊顔のその顔は邪悪な笑みになっていた。なんでこんな事をとか聞きたいことは色々と頭に浮かんだがそれよりも先に体が動いていた。
「魔王‼」
俺は魔方陣から飛び出し魔王を突き飛ばすと同時に魔方陣が発動する。
「うぎゃー、な、なにをするのじゃガク?え……」
魔王が何か言っているが俺には痛みで魔王がなにを言っているのか聞き取れなかった……俺の胸には光の槍が刺さっていたからだ。
「グハァ」
「が、ガク大丈夫か、すぐにそれを抜いてやるからな」
魔王が光の槍を抜くとエドワードの方を向く、その顔は怒りに満ち溢れていた。
「随分と余裕があるではないかエドワードよ、私が背を向けている間にいくらでも攻撃ができたはずだが?それともなにか今謝れば私が許すとでも思っているのか?そう思っているなら早計だぞ。貴様はこの魔王自ら消し炭にしてくれるわ‼」
「クフッ…アヒャアヒャアヒャアヒャアヒャアヒャアヒャ、これは傑作ですなー魔王様いやもう貴方は魔王ではなくなるのでこの呼び方はおかしいか、まあ呼び方なんでもいいですよ。確かに薄汚い人間に邪魔されて貴方を一撃で終わらせられなかったのは予想外ですが私がこの程度の準備だけで本当に貴方に牙をむいたと思っているなら貴方こそ早計というものですよ」
「フン!この程度の攻撃で私を殺そうと?不死である私にこんなモノが本気で効くと思っているのか?ガクもガクだ、私をかばうくらいなら自分だけ回避してればいいものを……ほれガクそろそろ血も止まって傷もふさがったであろう。不死のスキルを持っているんだからいつまで寝てないで巻き込まれない程度に離れておけ。」
「ち、ちがうだ魔王、いつまでたっても傷がふさがらないんだ」
魔王の言う通り本来であれば不死のスキルでどんなに体を損傷しても十秒ほどで回復する、それなのに胸にポカリと空いた穴は消えない。血は最初だけであとは光の槍に焼かれて出なかった。
「一ついいことを教えて上げましょう、その槍は私のスキルで作った特注品でしてねぇーその名もスキルアウト、相手のスキルを無にする能力で今のその人間は何一つスキルを持たないただの虫けら以下のゴミ屑になり果てたのですよ。本来ならこれを貴方に当てて楽に終わらせたかったのですが本当に迷惑極まりないですよ。」
「チッ、厄介なスキルを隠し持っていたなエドワードだがそのスキルは魔方陣の中でしか発動できないのではないか?待っていろガクすぐに、こやつを倒してアイリーンの奴に治してもらうからな。じゃから死ぬなよ」
魔王は何もない空間から杖を取り出すと無詠唱で魔法を放つ。その魔法は広いボス部屋半分を埋め尽くすほどの炎だった。エドワードが回避する間もなく一瞬だった。それほど今の一撃には魔王の全身全霊を注いだ。
だが燃え盛る炎の向こう側にはいつの間にいたのか四匹の魔獣とにやけ顔のエドワードだった。
「さあ、第二ラウンドと行きましょうか」
出来るだけ早目に次話を投稿します