生きる意味
鏡を見た私は、自嘲的に笑った。
「ひどい顔…。」
まるで、ホラーゲームに出てくるゾンビみたいな顔だった。
目の周りは、紫色の斑点が出ていて…首には茶色になった人の手形。
そう、私はさっき母親に首を絞められたのだ。
私、原田 結衣は中学2年生である。
何故、首を絞められたのか?
母親の言う事を聞いていなかったから…。
私は、小さい頃から母親を怒らせてきた。
自分には、そんなつもりはないけど…怒る母親。
首を絞められたのは、初めてだったから苦しかった。
抵抗しようと思えば、出来たはず。
だけど、出来なかった。
出来なかったのは、母親のあの言葉。
『どうせ、後悔も何もないっちゃろ!?』
私には、後悔する事なんて何一つなかったから、答えられなかった。
このまま死んでもいいかな…と思った。
意識が飛びそうになった時、母親の手が緩んだ。
その瞬間、私はリビングを逃げ出して自分の部屋へ走って行った。
そして、今に至る訳なんだ。
生きる意味なんて、私にはない。
母親を殺人犯にする訳にはいかないから、自分で死のうと思う。
夏なのに、長袖のシャツを着ていた私は、一気に袖を捲り上げた。
左手首には、カッターで傷付けた跡がたくさん並んでいた。
いつもより、力を込めてカッターをひいた。
そして、切った所から一気に血が溢れ出た。
これで、やっと死ねる…と思いながら、私は絨毯に倒れ込んだ。
生まれ変わったら、生きる意味が欲しい…と最期に思った。