41:捜索
フィンは、鬱蒼と茂る木々の間を移動していた。
今まで登ってきた傾斜よりキツく、移動速度が落ちた。
キャシーが括り付けられていた大木から、距離がかなり離れていた。
(よし、確認だ……)
フィンは、その場で立ち止まってしゃがんだ。
作戦用ベストから、小型双眼鏡を取り出した。
それを覗き込んで、眼下に広がる雑木林から、大木を中心に円形に広がっている場所を探した。
左右に視線を巡らせて、その場所を見つけた。
大木に括り付けられているキャシーを確認した。
キャシーは、不安そうな表情を浮かべて、周囲を見ていた。
フィンは、彼女をちょうど正面に捕らえる為、移動して自分の位置を調整した。
(ここのあたりか……)
ジェイミーの狙撃位置を探るための行動で、おおよその位置はつかめた。
位置を悟らせまいと、常に移動していると考えたほうがいいだろう。
だが、何も情報がないよりはましだった。
周辺を見渡した。
ここに生息している虫たちのさえずり以外、何も気配を感じない。
手に持ったワルサーのグリップを握り直した。
足音を消して、移動を開始した。
接触するのも間もなくだろう。
その時、自分はどんな反応をするか、想像できなかった。
ジェイミーから手荒い歓迎の続きを受けるのは、間違いない。