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リベンジ ー理想の影ー  作者: ソルティ
29/44

29:狙撃2&罠1

何か使えるものがないか、物色する。

頭上や足元の引き出しを開けて、探すがこれといってめぼしいものは見つけられなかった。


裏口へ向かい、外に出た。

そんなに長くこの家にいたわけではないが、長期間閉じ込められていた気分だった。


「ふう……」


その位置は、狙撃される心配はないため、その場でストレッチをした。

緊張で筋肉がこわばっていたので、筋が伸びで少し気分が落ち着いた。

一通り終えると、腰からワルサーを抜いた。


ウォルターが一発発砲した為、残り六発だった。

片手で持つと、家の壁伝いに角へ、歩いて向かった。

家の角まで来て、全速力で走り、正門まで向かった。


不思議な事に狙撃が、なかった。


−−−あれほど正確に狙撃してきたのになぜだ?


正門を抜けて、今度は家を取り囲む塀を伝いに移動し、角まで来た。


−−−どうにも気になる……


フィンは、塀の角に体を押し付けながら、そこから顔半分を出して、雑木林を観察した。

雑木林は、傾斜の少しキツイ斜面の上に生い茂っていた。

南から北へ向かって広がっており、樹木が密生しているのがわかった。


しばらく様子をうかがっていたが、やはり狙撃してこない。

こちらの位置を把握しているのに撃ってこないのは、誘っている可能性があった。

いずれにせよ倒すには近づくしかない。


雑木林の端までは、百メートル離れていた。

さっきと違い、少し距離があった。

また、ワルサーをタクティカルベルトとズボンの間に突っ込み、飛び出す準備をした。


月が、また雲に隠れそうだった。

フィンは、月が隠れた瞬間、猛然と走った。

狙撃を警戒して、ジグザグに走って、射線を定めさせないようにした。


雑木林の端に達すると、近くの木へもたれかかった。

息を整え、ワルサーを手に取った。

雑木林の中を注意深く観察した。


鬱蒼と茂る木々の枝は、節くれだった魔女の指のように奇怪に入り乱れていた。

そのせいで、月光もあまり内部へ届かず、視界は悪かった。

狙撃者がいると思われる位置は、およそ百五十メートル先だ。


崖の端まである木々の近くに潜んでいる可能性が高い。

フィンは、ちょうど雑木林の端にいたので、最短距離を狙って、木々の間へ進んでいった。

存在を悟られないように気配を消した。


木から木へと、点と点を線で結ぶようにして、木の枝を踏みつけないように注意しながら、さらに先へと進んだ。

すると、目の前に長さ五メートル、幅二メートル、深さ三メートルの溝が現れた。

その両端は、木々がこれでもかと密生しており、通行に困難が生じるほどだった。


−−−罠か……


溝の上を見ると、巨木が倒れていて、何かツタのようなものがぐるぐる巻きついていた。

そのツタに何かを葉っぱで巻いた物体が、数個ついていた。


−−−偽装爆弾……


あの葉っぱに火薬が仕込まれていて、ツタにまぎれて点火コードがあるはずだ。

溝を通ったら、足元の紐を踏むか切ると、爆発に巻き込まれて、一瞬でお陀仏だ。

左の木々を見た。


通れないわけではないが、隙間が空いていた。

フィンは、そこを通ろうと、歩いて行き、体を通した。

顔面に鋭いトゲが、向かってきた。


フィンは、間一髪しゃがんで、それを回避した。

鈍い音を立てて、トゲは木に突き刺さった。

一呼吸おいて、それを見た。


木の棒に鋭利に加工された木のトゲが、数本組み付けられていた。

体に何か紐のようなものを引っ掛けた感触は、なかった。

だが、現に罠は発動した。


そうとう巧妙に隠していたにちがいない。

フィンは、ゆっくりと隙間を通ると、また前進し始めた。

こんなに長時間、緊張状態を保ったのは、久しぶりだ。


除隊してから、体をなまらせないために筋力トレーニングはしていた。

当然、一般人に戻ったので、敵と命のやり取りをすることはなかった。

ここで勘をよみがえらせるしかなかった。


罠がこれだけとは、到底思えなかった。

狙撃予想位置まで、残り五十メートルだった。

木々や地面の状態をよく見て、進んだ。


フィンは、視線を巡らせて、気になるものを発見した。

また罠だ。

今度は、もっと分かりやすい。


目の前にある木の近く、四メートル上に鉄釘付きの巨大な丸太が、威圧感丸出しで仕掛けてあった。

丸太を吊っている紐は、太い枝に引っ掛けられ、木の根元へ伸び、地面に刺された二本の木の棒に結び付けられていた。


−−−さっきと同じ囮……


フィンが、チラリと左を見ると、地面に似たような紐が見えた。

木の棒に結び付けられ、見事に雑草で隠されていた。

その紐を目で追っていくと、木の中ごろに弾性をもった長い木の棒が、縛り付けてあった。


棒の先端部にはさっきと同じ、尖らせた木のトゲが組み付けてあった。

紐に触れば、体にトゲが刺さる配置だった。

フィンは、右をチラリと見た。


今のところ怪しい罠は、見えていなかった。

万全を期して、雑木林と崖のわずかな間を進もうと思った。

かなり、幅が狭く歩行しにくい状態だった。


諦めて、右の雑木林を進もうと、歩を進めた。

ヒュッという空を切る音がした。

フィンの体が揺れて、鈍い痛みが襲った。


弓矢が、作戦用ベストと抗弾ベストを貫き、体に穴を開けた。

幸い、肺に穴が開くような致命傷ではなかった。

紐を引っ掛けた感触はなかった。こんな巧妙な罠を次々に仕掛けられる人間は、そうそういない。


−−−軍隊経験者しかいないだろう……


厄介な相手が、ここに潜んでいる。

それも相当の腕だ。

フィンは、体に刺さった弓矢を抜いた。


血が付着し、地面に血の滴が落ちた。

手当に必要なものがないため、そのままにした。

しばらくその場から動かず、他の罠がないか入念にチェックした。


紐らしきものは、見当たらなかった。

フィンは、前進を再開した。

右肩の銃傷と弓矢の傷が、歩くたびに痛みが響いた。


額に汗がにじみ、心臓の鼓動がはやくなった。

そして、ついに残り距離十メートルに達した。


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