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リベンジ ー理想の影ー  作者: ソルティ
27/44

27:反撃3

フィンは、室内に入り視線を走らせた。

月明かりが窓から差し込んでいた。

しかし、光量が足りず、奥の暗闇を鮮明に照らすほどではなかった。


逆手に持ったコンバットナイフを起点として、構えの体勢を崩さなかった。

必要最小限の足さばきで、気配を消しつつ奥へ進んだ。

右にドアが見えた。カギがかかっていたドアだ。


その床に血痕が、数滴落ちていた。フィンは、その軌跡を目で追った。

すると、ベッドと別のドアが、目に入った。

ベッドには、多くの血が付着し、近くのゴミ箱には注射器の残骸、包帯などが見えた。


−−−クソ……手当したか……


その別のドアへ向かい、ノブを回したが、開かなかった。

血痕がドアの前に落ちていた。

手当に使ったと思われる医療品が、このドアの向こうに存在するのは、確かなようだ。


もしかしたら、ここに奪われた装備があるのでは?

カギのありかを推測しようと頭を回転させた。


物音がした。


フィンは、驚くべき速さで背後に向いた。

物音は、小さなものだった。

何かが、こすれるような音だ。

神経を研ぎ澄まし、視覚と聴覚を鋭敏にした。


聞こえた。カサコソという音だ。

視線を周囲に巡らせて、音の発生源を探した。

また音がした時、目がピタリと止まった。

前方の部屋の端っこ、両側を窓で挟まれているところだ。


天井に視線を動かすと、四角の枠に囲われた板の部分が目に入った。

ゆっくりと近づいていくと、その真下にうっすらと埃がたまっているのがわかった。

近くの壁には、木の棒が立てかけてあった。


−−−ビンゴ……


頭隠して尻隠さずとはよくいうが、よほど慌てていたらしい。

天井の板は、少し隙間があいていた。

フィンは、木の棒を手に持ち板をゆっくりとずらした。


銀色の直線が、わずかだが見えた。

おそらく梯子だろう。

それを引き出そうと、木の棒をうまくひっかけようとした。


ブシュッという乾いた音が、聞こえた。


フィンの背中に何かが、ぶつかった。

それも勢いよく。

その衝撃で、足元がぐらつき、体勢を崩した。


呼吸が止まりそうになったが、気合で無視した。

音の発生源へ体を向けた。

ダメ押しに二回、何かが胸にぶつかった。


今度こそ一時的な呼吸困難におちいった。

コンバットナイフを落とし、その場へ前のめりに倒れそうになった。

床へ完全に倒れこむのを耐えて、膝をついて咳き込んだ。肺が悲鳴を上げていた。


呼吸を整えるまで、少しかかるだろう。

酸素が足りずに視界に星が、チラチラと瞬き、意識をはっきりさせるため、頭を振った。

ネズミが近くを通った。


開かれたベランダ側のドアへ向かっていくのを見て、忌々しく思った。

その時、ベッドの下から不敵な笑みを浮かべた黒い影がぬっと出てきた。


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