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リベンジ ー理想の影ー  作者: ソルティ
10/44

10:麻薬組織1

「おい! お前ら何してんだ! ホセの大将が来る前に配置に付けって言っただろうが! このうすのろ共が!」


強い日差しが、禿げ上がった頭部に反射し、非常に眩しい男がいる。

彼の名前は、マリオ。

鼻の下の髭がトレードマークと本人は思っているが、周りからは単なるハゲと呼ばれている。


しかも性格は最悪で、部下からの信頼は皆無に等しい。

そのような男が何故この麻薬精製工場の管理を任されているか不思議だ。

理由は、前工場長がミスをして、メキシコ海軍に逮捕され、次を決める時に遡る。


マリオは、周りの人間が苦労して構築した、麻薬精製の効率化のノウハウと、それに伴う売上実績を自分が、リーダーシップを発揮し出した結果だと、資料を作成しホセに報告したのだ。


その時の周りの反発は凄まじいものがあった。

工場長の後釜に収まれば、今の肉体労働から解放され、外に出る事も少なくなり、ある程度の安全も保障され、現場の人間を顎でこき使う事が可能になる。


誰もが、そんなおいしいポジションに就きたいと思うのは、当然である。

マリオの偽装資料がホセに提出され、明日結果が出るという、ある真夜中。


工場の人間で、ある程度殺し慣れした三人は、タウルスPT92のサイレンサー付(ベレッタ92Fの改良生産モデル)とマチェーテ(中南米でよく使われる山刀)をそれぞれ持ち、マリオの部屋に静かに向かった。

ハゲを殺す為だ。


三棟の麻薬精製工場より、少し離れた宿舎が、工場従業員の住処だった。そこにマリオの部屋がある。

遠目から見ると、もう部屋の明かりは点いていないようだ。


部屋の前に着くと、マチェーテ担当が、ドアに耳を密着させ内部に物音がしていないか確認する。

親指を立てて、OKのサインをする。

突破担当が、カギのかかったドアの破壊用に適度な長さに切り、取っ手を付けた丸太を用意する。


突入担当が、PT92を片手で構えながら、カウントダウンの三本指を立てる。

三、二、一!

指が完全に閉じた瞬間、丸太がドアを直撃し表面が凹み、部屋の奥に吹っ飛ぶ。


突入担当が、猛然と部屋へ入り、PT92を、ホセの眠っているベッドに向かって発砲した。

鈍い発砲音が、部屋に響きベッドのタオルケットのふくらみに穴を開ける。

さらにマチェーテ担当が、ダメ出しに何度もふくらみにマチェーテを振り下ろし、先端で突き刺し続けた。



あらかた仕事を終えて、マリオの部屋に荒い息遣いが支配した。

そこらに血が散乱し、地獄絵図が展開している。

突入担当が、マリオの死体を確認しようと、タオルケットを取った。


血まみれの死体は、マリオではなく家畜のブタだった。

背後でわずかな足音に気付き、振り向いた瞬間彼の人生は終了した。

部屋の角の死角に暗がりがあり、そこに身を潜めていた黒い影が発砲したのだ。


タウルスPT1911(コルトM1911のクローン生産モデル)が、激しい発砲音を轟かせ、相手の頭にでかい穴を開け、血と脳漿を部屋へぶちまけた。

マチェーテ担当は、ジーンズに突っ込んでいたPT92を黒い影に対して、発砲しようとした。

その機会は訪れることなく、再び頭にでかい穴を開けられ、追加で血と脳漿をぶちまけた。


突破担当は、その状況に恐れをなし、一目散にジャングルに向かって逃げ出した。

黒い影は、猛獣のような素早さで屋外へ飛び出て、機械のような動作で銃を構え、照準を合わせて、引き金を絞る。

突破担当の後頭部に射入口が開き、その瞬間口から血反吐と脳幹が飛び出て、射出口が開いたとわかった。


PT1911の使用弾薬45ACP弾は、複数の人体に対して十分な効果を発揮していた。

哀れな最後の犠牲者は、口から鮮血を噴水のように出し、体をわずかに震わせながらその場にくずおれた。


「いやー! すばらしい! いい腕だよ! リカルド!」


下卑たにやけ顔で、マリオが宿舎の影から出てきて、黒い影に対して言い放った。


「さすがホセの大将の右腕……元メキシコ陸軍特殊部隊の隊員だ……頼りになるぜぇ」


マリオは、肥満で突き出た腹を上下させながら、浅黒い肌をしたリカルドに近づく。


「俺に近づくな小物野郎……ボスの命令だから守ってやっただけだ……」


殺気が含まれる視線をマリオに向けながら、リカルドは答える。


「そう言うなってw これから長い付き合いになるんだから仲良くしようぜ♡」


馴れ馴れしい口調で、すり寄ってくるマリオの姿に嫌悪感を抱き、腰のホルスターに収めたばかりのPT1911を撃ち込もうと思ったが、自制した。


−−−この男を泳がせておけとのボスの命令だ……ここは堪えろ……


今にも銃のグリップに手が伸びそうな右腕を押さえて、リカルドは答える。


「せいぜい、ボスに切られないよう、精進するんだな」


すぐに宿舎に向かって踵を返し、言葉を放つ。


「へへ…… わかってらい」


マリオの眉間が、一瞬縦皺を刻む。


−−−けっ……人が下手に出てりゃ調子に乗りやがって……まあいい、ここから俺の出世人生が始まるんだ……


すぐに何時もの営業にやけ顔に戻り、同じく宿舎に向かった。


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