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リベンジ ー理想の影ー  作者: ソルティ
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1:復讐の始まり

ロンドン北西部に閑静な住宅街がある。

高級住宅が立ち並び、多くの商店街があるハムステッドだ。

深夜で人々は週末の予定を抱えて寝静まっている。


著名人も住むこの街の外れに何の変哲もない一戸建ての家がある。

その玄関より五十メートル離れた場所に一台のランエボが静かに止まった。

運転席のドアが開き車内から小柄ながら引き締まった体格をした男が降りてきた。


短く刈り込んだ金髪に青い瞳で典型的な白人男性だが、表情は険しい。

服装はTシャツに黒ジーンズと平凡極まりないが、一般人と違うのはその身にまとう独特のオーラだ。

周りに人影はないが、平和に慣れ切った人間が彼に近づけばそのオーラを感じ取り、すぐに距離を取るだろう。


彼の名はフィンという。

世界で最も有名な特殊部隊SASに所属していた。任務中の怪我が元で除隊を余儀なくされた。

だが、除隊したのは二年前だ。


秘密作戦で身に付けた身体能力や戦闘技術に衰えはあまりない。

フィンはランエボの後部トランクを開けた。

中には頑丈なアルミケースが三箱と軍用ボストンバッグが入っていた。


まず軍用ボストンバッグを開けると抗弾ベストと作戦用ベストが入っていた。

抗弾ベストを着るとその上から作戦用ベストを着た。

次に取り出したのは、鞘に入ったコンバットナイフとレッグホルスターだ。


コンバットナイフは作戦用ベストに取り付けて、レッグホルスターは太腿に取り付ける。

アルミケース二箱を開けるとそこには二丁の銃が入っていた。

ヘッケラー&コッホMP5サブマシンガン(フラッシュライト、ドットサイト付)とSIGP226セミオートマチック拳銃だ。


MP5とSIG共に最初の弾倉を入れ、前者は事前に引いたボルトを戻し、後者はスライドを引き薬室を目視して弾薬が送られているか確認する。

サプレッサーを銃身の先端に取り付け、ドットサイトの赤い光点の明度をダイヤルで調整する。

一緒に入っていたMP5用の予備弾倉四本、SIG用の予備弾倉三本、作戦用ベストのマガジンポーチに入れた。


最後のアルミケースには手榴弾と特殊閃光音響弾フラッシュバンが一個ずつ、作戦用ベストに取り付けた。


「準備は整った。後は実行するのみ……」


フィンは深呼吸し高鳴る心臓の音を意識した。

憎い殺人鬼の居場所を特定するのに時間と犠牲を要した。

それを無駄にしない為にも確実に奴の息の根を止める。

決意を胸に復讐の鬼は目標の一軒家へ歩を静かに進めていった。


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