第三話
シュガーアップル 著作。
―――とあるカフェで―――
(午後は優雅にティータイム。都会に来たからには、愉しまなくては。窓辺の席に座り、急ぎゆく人々を眺めながら、紅茶を嗜む俺って、どう見られているのだろう。)
黒がかかった銀髪をもつ青年が、片手にティーカップをもち、自分に浸っていた。
どう見てもナルシ・・・ごほん。そんな青年に、近づく影が一つ。
「お隣、よろしいですか?」
彼に話しかけたのは、クリーム色の髪の少女。
「あ、ああ。どうぞ。(都会って同席とかあるんだな・・・。初めてだからよく分からない・・・)」
「ありがとうございます。」
少女は席に座り、サンドイッチをほおばる。青年は外の景色に目を向ける。
しばらく時が経ち、少女がちらりと青年の傍に置いてあるトランクに目を向けてから、口を開いた。
「旅の方ですね。私の名は、シェルビーと言います。お名前をお聞きしてもよろしいですか?」
「俺は、雲雀という。旅をしている、というよりも、この都市に引っ越してきた。俺の故郷があまりにも辺境すぎるからな。不便だったんで、引っ越してきた。」
「その故郷は北の方角にありますか?」
「ああ、そのとおりだが。よく分かったな」
シェルビーと名乗った少女は、一瞬、目を細めて薄く笑った。そして突然、雲雀の方へ身を乗り出した。
「やはり、私の目に狂いはなかったですわ!力をお貸しください!!」
「・・・はあ!?」
「私は、錬金術をかじっているのですが、ついにこの前!秘術『explosion of リア充』が完成したのです!!」
あ、この子はアレだ。かわいそうな子だ。
雲雀はそう判断し、立ち去ろうとしたが、彼女は彼を逃がさない・・・。
「御覧なさい!あの外にいる者たちを!逆壁ドンカップル!兄弟っぽいカップル!なんと、あんな小さい子まで!爆発させたら楽しそうじゃないですか。」
「いや、あれがカップルに見えている君の頭がおかし・・・。」
「・・・っ!もしかして所帯持ちですか!?」
「話を聞いて。あと、俺は持ってない。俺に見合う子がいなくてな・・・。そんなに敷居は高くないぜ?」
あ、この人はアレだ。かわいそうな大人だ。
シェルビーはそう判断したが、スルーすることに決めた。
「さあ!私と一緒に!!」
「嫌だって。」
「・・・ならば、仕方ありません。このぽっくり逝きそうなおじいちゃんとオネエが経営している店を破壊しましょう。」
突然のピンチ!!この危機を回避することは出来るのか!?
カフェを助けないと。