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過去編〈ある一夜〉 前編

お待たせしました!


前の話のきりが良かったので、今回は過去編に入らせてもらいました。


そして、やっとこの小説にも戦闘シーンが……!

初戦闘シーンなので、ものすごく表現が雑いと思われます。後々編集はしていきますが、今はこれでご了承ください。


……にしても、2,000文字程度で終わらせようと思っていた過去編がここまで長くなるとは思いもよりませんでした。


早めに後編も出そうとは思いますが、もう少し掛かりそうです。


では、本編どうぞ!



私は人気のない大きな道路の真ん中で、銀色に輝く髪をゴムで一つにまとめながら、黄竜に話掛けた。


「ねぇ、黄竜。」


「……なんだ?」


「私、何時になったら殺してもらえるんだろうね。」


「っ⁉︎……何を言っているんだ。」


唐突な私の言葉に、黄竜は言葉に詰まりながらも、冷静に諭すような声で、そんな事を言ってきた。


「だって、今現在黄竜は私の“暴走”を止められなくなっきてる。だからーー」


「まだ、完成してないのか?」


「……うん。」


黄竜は私の言葉の先を察したのか、言わせないように口早に私の言葉を遮った。私はなんとも言えず、ただ頷く。


「そんなに難しいものなのか?」


「このブレスレットは、どんな魔術でも壊れない代物になってるんだよね?」


「それが、どうした?」


急に話題が変わった事に、黄竜は戸惑った声を上げながらも、冷静に私に聞いてきた。


「私の魔力を抑えるために、色々とブレスレットに術式を書いてみるんだけど、全て跳ね返されるの。」


黄竜横にまで歩いてきた黄竜の方に、視線を向けながらそう説明した。


「どう言う事だ?」


「それは、私も聞きたいところ。……ブレスレットの使い方が間違ってるって事だよね。」


「まぁ、そう言う事になるだろうな。」


黄竜にはっきりとそう断言され、私は大きくため息をついた。

それからブレスレットに視線を移し、その紐に通されている、二十五個の珠の一つをころころと回しながら黄竜と話していると、毎夜毎夜の事ながら、夜の暗さに紛れるようにして黒い服を身に纏った魔術師達が、私の周りを取り囲んできた。


その数二十人以上。


「なんか、アドバイスないの?」


「私は、術式に関しては専門外だ。」


「空間を司る神獣のくせに。……身体のどこに魔力を封じたらいいかも分からないの?」


「人間の身体の中と、この世界などの空間はまた違う。それも私の専門外だ。」

「専門、外?」


私と黄竜が、魔術師達を無視して話し続けていれば、魔術師達はそれがチャンスとでも言った風に私達に襲い掛かってくる。


「あぁもう、うざったい!人が考え事してるんだから、掛かって来ないでよ!」


こんな道路の真ん中で無防備に黄竜と話してたら、そりゃそうなるか。なんて頭の端でそう思いながらも私は詠唱する。


『流れる星に、照らす月。流れる雲に、差す太陽。光への道よ開け。』


私は詠唱しながら、目を瞑る。

その瞬間に魔術師達を覆うほどの大きさの魔法式が、その足元に広がり大きく光を放ち始めた。

これはただ相手を無力化する為の魔術。

詠唱だけが大きく走り過ぎているのは、仕方がない。


これは月を照らすほどの太陽の明るさを示した詠唱。直視でもすれば、一瞬にして目が焼けて失明するほどのものだ。

元々この魔術を最初に使うつもりだったので、目は魔術で補助していたのだが念のため私は目を瞑り、この光を完全に阻止した。

光が収まるまでの間、私は暇だったので軽くため息をつきながら考え事を再開する。


「専門、外……?このブレスレットの意味は、私の中にある魔力を私自身に閉じ込めて、魔力量を調節する魔法陣を補強するためのものじゃない……?」


「華梨花?」


「もっとこの珠について知らないと分からない。黄竜、あの二人に聞いてきてもらえない?」


私はため息をつきながら頭を横に振った。


「……華梨花自身が考えないと意味が無いんじゃ無いか?」


「……それも、そうか。」


光が収まっていく中、いつの間にか猫の姿になっていた黄竜が私の肩に乗りながらそんな事を言う。


「……まだ、立ってる。」


光が止めば、目が焼けて痛みによって蹲った奴や気絶した奴がいたが、それは数人。全体の四分の一程度が減っただけだった。

私は呆れ顔でそうぼそりと呟いた。


「華梨花を殺すために来たんだ。華梨花の十八番を知っていなくてどうする。何か対策はしてきているだろうな。」


「面倒い。」


私はため息をついて、仕方ないと肩に掛けていた二本の刀を取り出した。


「黄竜、持ってて。」


「分かった。」


私は黒い方の刀を使う事にし、片方の刀と鞘を黄竜に預けてから、刀の棟で右肩を叩いた。


左肩に乗っていた黄竜は、私の行動を合図にして猫の姿のまま鞘を口に咥え、もう一本の刀は袋に入れて首に掛けて、塀の上に登った。


「さて、誰から殺ろうか?」


私はその言葉とともに、にたりと笑い殺気を放つ。


「ひっ!」


それだけで、何人かは顔を引き攣らせたり、腰を抜かしたりした。


「あぁあ、弱いなぁ……。もっと強く無きゃ面白く無いじゃん。」


私は呆れ声でそう言う。

少し振り向けば、塀の上にいる黄竜も呆れたと言った風な雰囲気を醸し出している。


「あんた等、それぐらいの力で私に勝てると思ってるの?」


私は苦笑しながら、集団に再び目を向ける。


「……アホか。私を殺したいんだったら、私と一人で殺り合えるようになってから来い。」


それから私は顔を無表情にし、はっきりとそう言ってやった。


「一人で白銀、お前と戦えるようになってみろ、それは俺らも化け物になるという事だろうが。……おいお前ら!今現在、白銀は一人だ!俺たちで力を合わせれば、きっと殺せる!行くぞ!」


この集団のリーダーらしき人が、そんな事を大声で叫ぶ。


「弱い犬ほどよく吠えるって言うけど、本当だね。」


「……ぇ?」


私は男が言い終わる瞬間を見計らってその男へと走り込み、私は身体を右へ捻りながら、思いっ切り刀を相手の左脇腹から右肩辺りまで切り上げ、切った感触を感じた為に私は一旦後ろに飛び退いた。


切られる瞬間、目を瞑っていた男だが、私が飛び退いた時身体に何も異常が無いことに気付き、男はにやりと笑った。


「腕が弱ったか?白銀。この通り俺は何も傷が付いていないが?」


まぁ、この刀を知らない奴は最初、こんな反応をするよね。

私はそんな事を思いながら、くすくすと笑った。


「何がおかし、い?……っぐ、ぁ?」


男は私の反応に顔を顰め、私にそう聞いている途中で、いきなり血を吐いた。


「……驚いてるね。」


私が静かに聞けば、男は当たり前だとでも言いたげに私を睨みつけた。


「この刀はね?破城はじょうって言って、外側を斬らず、中身だけを斬るの。」


私は血の付いた刀……破城を持ち上げながら、説明を始めた。


「おまけに骨は斬らないから、刃毀れしにくい優れ物。生物に対して言えば表皮と骨を斬らずして、臓物だけを切り刻む。ついでに、切った部分に勝手に麻痺が掛かるから、斬られた相手は何も起こっていないと勘違いする。拷問とかにも使えるし、結構使い勝手がいいんだよね、これ。」


私が言葉を紡いでいく毎に、どんどん顔を青白くさせていく男。


「この反応だと、私の十八番である光剥こうぎと草薙剣ぐらいしかちゃんと知らなかったようね。」


光剥とは、先程の光の魔術の事だ。私が作った魔術なので、名前も私がつけた訳だが、飛んだ皮肉だと今でも思う。光を放つ技で目の“光”を“剥ぐ”なんて……。

私は思い出し笑いをし、男から目を離し周りの人達を見回した。


「ひぃっ!ば、化け物!」


「酷いなぁ……。別に好きで化け物になった訳じゃないのに。」


私の言葉と行動に恐れた人達がそう叫ぶので、私は傷付いた顔をしながらそう言った。


「まぁ、それは置いておいて。……さて、この集団のリーダーさん?今なら私が治癒の魔術を掛ければ、あなたは死なずに済みます。私の言う事に答えてくれれば、あなたの命を助けましょう。」


「……。」


「質問の物によるとでも言いたげですね。……仕方ありません。あなたは一体誰に雇われたんですか?」


「っ⁉︎」


私が男にそう聞けば、目を大きく見開き固まる男。


「図星ですね。報酬につられて雇われたのかは知りませんが、自分の命と依頼人の命。どっちを天秤にかけますか?」


男は痛みで顔を引き攣らせながらも言う。


「俺は、これでも、長い間この仕事を、やっている……。依頼人を、売るわけ、無い、だろ。」


痛みは無いだろうが肺が一つ潰れているのだ、息も絶え絶えだが男はそうはっきりと言った。


「……そっか、じゃあ潔くーー」


私は続きの言葉を口ずさみながら、男の心臓に破城を突き刺した。

男その瞬間に目を瞑り、崩れ落ちた。


「さて、じゃあこのリーダーさんが死んじゃった今、あなた達は私を殺しに来る?」


私は男の身体から破城を抜きながら、まだ立っている人達に聞いた。

そんな訳無いだろうが!

そう言う風な意味の言葉を何度も口に出す魔術師達。


「ふむ。じゃあ、死にたくないのならここを去りなさい。」


私がはっきりとそう言えば、一分も掛からずその姿は消えて行った。


「……黄竜。」


私の周りは男の死体一つだけになったため、私は黄竜に声を掛けると、黄竜は私の言いたいことが分かったのか、私の方に乗ってくる。


「ありがと。」


私は黄竜から破城の鞘を受け取り、破城から血を振り切ってから納め、もう一つの刀……草薙剣も受け取り、合わせて肩に掛け直した。


「……にしても、監視役がうざいな。」


「……もう慣れたかな。」


黄竜が私の耳元でそう囁いて来たので、私も小声でそう返す。

何処からか私を監視している人がいるのだ。

何処にいるのかは分かっているのだが、私を雇っている政府の者なのだ、殺すにも殺せない……と言うか殺したくない。……さっき、男を殺しておいてなんだが。


「黄竜。この人を、いつもの場所に送っておいて。」


「分かった。」


私が黄竜にそう言えば、黄竜は小さく頷いて、男の下に転移魔術を掛け、ある場所に送った。


「ありがと。」


「……で、どうするんだ?」


「どうもこうも、何もしないよ?ただ気付かないふりをして、家に帰るだけ。」


私のありきたりな答えに、黄竜はそうだなと頷き、先程と同じ様に無詠唱で私と黄竜に転移魔術を掛け、男を送った先に向かう前に私の部屋に転移した。



「白銀、お前一体何を企んでいる?」



監視役のそんな言葉を聞きながら。


誤字、脱字、感想などありましたら、コメントよろしくお願いします。


大きな爆弾(フラグ)を落としましたが、スルーして頂けると嬉しいです。

もしかしたら、この編の最後か後々の過去編にて回収はするつもりではありますが、俺の気分によっては放置プレイになるかも知れないので……。

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