<SF初心者へ送る作品群>タイムトラベル系
今回はタイムトラベル系
タイムトラベル系(いわゆる時間を移動したりするやつです)
「タイム・リープ あしたはきのう」
・メディア形態 小説(原作) 映画
・ストーリ(原作)
どこにでもいるドジな女子高生・翔香はある日、自分の記憶がないことに気が付く。
そして日記を確認すると昨日のページには、自分が書いたと思われる見覚えのない文章が書かれていた。
「あなたは、今、混乱している…若松くんに相談しなさい。最初は冷たい人だと思うかもしれないけど、彼は頼りになる人だから。」
翔香は、文章に従って学校でも秀才と名高い若松に相談する。若松は半信半疑ながら翔香に起きた現象を調べ始める。
・見どころ、作品解説
全体を通してとても完成度が高いです。しかし、それゆえ話が複雑なところはあります。
それでも十分面白い作品ですので、ぜひ読んでほしいです。と言うか複雑でちょっと難しい所が面白い所でもあります。もしちょっとわからないなぁと思ったら(著者も思いました)映画版もありますので、小説→映画が分かりやすいと思います。
ほとんど内容は変わらないですし、合わせて作品に触れると楽しめると思います。
似ている作品で「時をかける少女」がありますが、そちらも合わせて作品に触れるとSF的に「おおっ!すごい」と思うところがあります。「時をかける少女」も単独でも十分楽しまる作品となっていますので、そちらもぜひ触れてみてください。
「サクラダリセット」
・メディア形態 ライトノベル
・ストーリ
超能力者の普通に生活している街・咲良田。咲良田に住む男子高校生の浅井ケイもその一人で、見聞きしたことを完全に思い出す「記憶保持」の能力を持っている。ケイと同じ高校に通う春埼美空も世界を最大3日分擬似的に巻き戻す「リセット」の能力を持っている。しかし美空の能力は記憶が保持されないため、単体では何も効果がない。しかしケイの記憶保持能力があれば、三日前に戻ることができるのだ。ケイと美空は二人で一つの能力者であった。ケイたちは、能力者を管理する公的な機関「奉仕クラブ」に属し、依頼されて能力を使いながらも平穏な日々を送っていた。
・見どころ、作品解説
「涼宮ハルヒの憂鬱」
「AII YOU NEED IS KILL」
の二つと共にSFの様々な要素をあわせもった小説です。上記二つはどちらも時間移動がありますが、宇宙人的要素の方が強いと思い、宇宙人のカテゴリに入れました。
逆にこの作品は時間移動の要素が強いと思い、超能力者のカテゴリではないところへ入れました。この作品は大人気SF(?)アクションライトノベル「とある魔術の禁書目録」とは違い戦闘要素が一切ないです。そこがこの作品の強みであり、超能力者たち自身やそれを取り巻く人の精神面を丁寧に描く作品です。文章にとても透明感があって、すごくいい雰囲気を醸し出しています。まるで映像メディアの演出のよう。「落ち着いた作品が読みたいな」と言う方や「休日に音楽でも聴きながらゆっくり読書をしたい」という方には超お勧めの一冊です。
「マイノリティレポート」
・メディア形態 小説(原作) 映画
・ストーリ(映画)
起こるだろう犯罪を事前に予知する「殺人予知システム」が開発された2054年ワシントンDC。その「殺人予知システム」に従って犯罪予防局とよばれる準軍事組織が、起こるだろうと予知された犯罪を事前に止めていた。そのためワシントンDCの犯罪発生率は0%となったと報告されていた。主人公のジョンは犯罪予防局のチーフ、犯罪予防局の仕事にのめりこんで、息子を失った悲しみを押し潰しながら生きている孤独な男。
ある日、予知された殺人は、なんとジョンが加害者として名も知らぬ男を殺すという物だった。ジョンは仲間たちから追われながらも、殺人予知システムの真相を暴き自分の潔白を証明しようと奔走する。
・見どころ、作品解説
トム・クルーズ主演のSFアクション映画。原作は「ブレードランナー」の原作を書いたフィリップ・K・ディックというSF小説の巨匠中の巨匠の作品。
映画の見どころとしてはSF作家伊藤計劃さんが言っているように、作品の世界観が、あからさま近未来な近未来世界観ではないという事。
「ブレードランナー」や「フィフスエレメント」みたいな車が地面じゃなく空を走っていたり(ホバーカーとか言うらしいです)、なんとなくごちゃごちゃした感じの過剰近未来ではなく、「マイノリティ」の世界観は今ある技術が進歩した今とあまり変わらない未来。「1984」のように独裁者が居て超ディストピアなわけじゃないし、それに「ターミネーター」みたく進化しすぎた人工知能との戦争に明け暮れているわけでもない。未来的な技術はあるけれど、今あっても別におかしく感じないものばかり。それ以外、世界はほとんど変わっていない。それが「マイノリティ」の世界観。そこにすごく注目してもらいたい。
出来れば「ブレードランナー」や「フィフスエレメント」「1984」「ターミネーター」
「未来世紀ブラジル」「攻殻機動隊1995」なんかと比べて見比べてみてほしい。
世界はほとんど変わっていなくて…ということで感じる安心感。自分たちの世界と直接リンクしていることで起きる感情移入できる感じを。
あとおまけですが、預言者たちの名前にも注目いてほしいです。この三人に共通する物とは…!?ミステリーファン必見。
ここまでまとめて来ましたが、時間跳躍ものの変化球を紹介したいと思います。
「バタフライ・エフェクト」
<メディア形態>
アメリカ映画・2004年
<概要>
時間跳躍にも種類があるんですが、この物語の主人公は意識のみが時間を跳躍します。つまり、同一の時間に同一人物が一緒に居るという事態は起きない。しかも、この主人公は過去にしか跳べません。未来を変える為に過去を変える。切ないラブストーリとか言っているけど……煽りに騙されるな‼
<物語>
ある出来事が原因で初恋の人物の人生を狂わせてしまった主人公。主人公は自分に時間跳躍(過去にだけ)能力に気が付き、過去の出来事を変え、初恋の人物と結ばれようとするが……
<ここがひと癖>
まぁ言ってしまえば、物語が淡々と暗い。淡々とドス暗い。そして、サスペンス仕立てのため、容赦なく残酷な描写が挿入される(結構、流血表現が多く、それらが非常にグロイ)。はっきり言って、切ないというよりも真黒な絶望感が全体を覆い尽くしているんです。
それにSF的な能力の解明とかはなく、かなりドメスティクな物語なんですね。そして、何よりも「オールニード~」や「シュタゲ」の元ネタなので、物語に非常にデジャブ感があるので、実は私はそこまで手放しに面白くは感じませんでした。あまり煽りに気を取られずに見れば面白いと思います。