第30話 突撃!お前が晩御飯!!!
「ブギィッ!」
獣の叫びと同時に、視界が弾けた。
ドゴッ!
「ぐはッ!」
とんでもない速度の体当たり。
身体が宙を舞い、背中から地面に叩きつけられる。
咳き込みながら顔を上げると、魔獣がこちらを睨んでいた。
イノシシに似た姿。大きさは腰ほどだが、筋肉は異様に引き締まり、頭部にはトパーズのような宝石が埋め込まれている。
(色的に……雷魔法を使う魔獣か!?)
そう判断した瞬間だった。
宝石が、眩く発光する。
(ヤバッ!)
反射的に横へ転がる。
次の瞬間、魔獣の頭部から雷撃が放たれ、俺が立っていた場所の地面が大きく抉れた。
「ブフゥ……ブフゥ……」
低く、重い威嚇音。
魔獣は蹄で地面を削りながら、こちらを狙っている。
「ダレンさん!大丈夫ですか!!」
「あぁ…。クッキー、気をつけろ、こいつの雷魔法は、結構威力が高いぞ!」
「…………かみなり?まほう?」
「まずそこからか!?」
答える間もなく、再び宝石が光る。
「来るぞ!」
雷撃。
俺とクッキーは、同時に横へステップし、紙一重でかわす。
「とにかく!頭の石が光ったら攻撃が来る!それを見て避けろ!」
「わかりました!!!」
雷が地面を裂く中、クッキーは信じられない身のこなしで距離を詰めていく。
そして
ザシュッ!
「ブギャアアアッ!」
鋭い一閃。
魔獣の側面に深い傷が走り、血が飛び散った。
クッキーはすぐさま後方へ跳び、怒り狂った魔獣の雷撃をかわす。
「やりましたよ!ダレンさん、見ました!?」
「……う、うん」
動きが軽すぎる。
魔獣は速いと聞いていたがここまでとは…。
血を流した魔獣は、明らかに動きが鈍くなっていく。
(この速さなら……)
俺は、一歩前に出て、手を突き出した。
「〚ブグル〛」
詠唱と同時に、風が渦を巻く。
縄のように絡みついた風が、魔獣の身体を縛り上げた。
「ブオオッ!」
拘束されたまま、魔獣が最後の力を振り絞る。
轟音。
俺に向かって、凄まじい雷撃が放たれた。
(マズ──
目を閉じる。
だが、衝撃も、痛みも来ない。
代わりに、何かに抱え上げられる感覚があった。
(……?)
恐る恐る目を開く。
「大丈夫ですか!!!」
視界いっぱいに、クッキーの顔。
俺は──お姫様抱っこされていた。
カッコいい…。
とクッキーに対して思うと同時に、18歳の男が10歳前後の少女に抱えられているこの光景は、どうなんだとも思った。
そっと地面に降ろされる。
「ありがとう」
「はい!!!」
クッキーは、何事もなかったかのように満面の笑みを浮かべた。
視線を魔獣へ向ける。
雷を撃ち尽くしたのか、魔獣は力なく倒れ込み、ぴくりとも動かない。
こうして俺たちは、魔獣を無事に捕らえることができたのだった。




