第24話 お魚さんなんですか!!!!???
「いや〜。まさか、あんなところに木があるなんて!」
少女は、頭をさすりながら、まるで笑い話のように言った。
「き、気をつけてね……」
俺はそう呟きつつ、先ほど拾ってきた手頃な枝を使って右腕を固定する。
折れた腕の応急処置。学校で習った内容が、まさかこんな形で役に立つとは思わなかった。
それにしても、この少女の元気さには驚かされる。
走って滑って転んで頭打って気絶。いや、凄いなコイツ。
「どうして、こんなところにいたんです?」
クッキーが首を傾げて尋ねてきた。
「……川に流されて」
「えっ!?……じゃあ、お魚さんなんですか!?」
「???」
一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
「魚じゃないよ。川に落ちて、そのまま流されたんだ」
「あっ、なるほど!!それは大変でしたね!!」
どうにも微妙にズレている。
「そういえば!あたし、クッキーっていいます!あなたの名前は?」
「ダレン」
「ダレンさん!!ダレンさんは……なんの種族なんですか?」
その質問に、言葉が詰まった。
(どう答えるべきか……)
人間にとって魔物は敵。
それは、魔物にとって人間もきっと同じ。
「人間です」と言った瞬間、何をされるか分からない。
だが目の前のクッキーの瞳は、あまりにも澄んでいて、警戒や悪意なんて、微塵も感じられなかった。
……嘘は、つけなかった。
「……人間だよ」
「えぇぇ!! 人間なんですか!!」
クッキーは、目を見開いて俺を見つめた。
「人間って、野蛮で、魔物の住処をめちゃくちゃにして……すごくこわい種族だって聞きました!」
「あはは……」
乾いた笑いしか出なかった。
(魔物側から見た人間像って、そんな感じなんだ……)
人間が思い描く“魔物”と、そっくりだ。
クッキーは、しばらく俺をじっと観察するように見つめてから
「……でも、ダレンさんは、いい人そうなので大丈夫そうですね!!」
そう言って、にぱっと笑った。
(……めちゃくちゃいい子だな)
胸の奥が、少しだけ温かくなる。
「じゃあ、あたしの村に行きましょう!」
クッキーは、勢いよく言った。
「きっと、みんな歓迎してくれますよ!!!」
「……う、うん」
その勢いに押されるように、俺は頷く。
こうして俺は、獣人たちが暮らす村へと向かって歩き出したのだった。




