表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【瞬間移動】で逃げるだけ!〜S級冒険者の裏切り者として追われた俺、気づけば魔王軍の最高幹部になってました〜  作者: 太田
第1章 逃げて逃げて逃げまくれ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/34

第22話 ゲームオーバー

 ダレンは、走る。ただひたすらに、全力で。


 アールとアッシャーが即座に振り向き、その背中を目で追った。


「アール。お前が行け」


「なんでだよ」


 アッシャーは、足元に転がる死体へ視線を落とす。


「俺は今から、こいつらを片付けてコアを抜くからだ」


 一瞬の沈黙のあと、アールは肩をすくめた。


「……分かったよ」


 能力を発動させ、アールの身体がふわりと宙に浮く。


「はぁ……」


 彼は、面倒そうにため息をついた。


「森って、炎魔法が使いにくいから嫌なんだよな」


 次の瞬間、アールの姿は音を置き去りにするような速度で夜空へと消えた。


 俺は、木々を縫うように走る。


 枝が頬を裂き、腕に突き刺さる。焼けるような痛みが走るが、止まれない。


 止まったら、死ぬ。


 息が切れ、肺が悲鳴を上げても、脚を前へ出し続ける。


 やがて、森が途切れた。


 視界が一気に開け、月明かりが眼前に広がる。


 道が、ない。そこは、崖だった。


 恐る恐る下を覗き込む。


 遥か下方。


 闇の底を貫くように、巨大な川が流れている。


(……こんな場所が、あったなんて)


 国の外に出たのは、この前の試験が初めてだった。だから、国境のすぐ先に、こんな断崖絶壁があるなんて知るはずもなかった。


「おーい」


 背後から声がした。 


 血が凍る。


 振り向くと、月を背に、ふわりと浮かぶアールの姿。


「ッ……!」


「もう逃げ場はないね」


 次の瞬間だった。


 視界が歪むほどの速度で距離を詰められ、喉元を掴まれる。


 そのまま、身体が宙へ引き上げられた。


 足元には、川。


 ただそれだけ。


 落ちたら、確実に死ぬ。


 俺は必死にアールの腕を掴み、もがく。


 だが、その手は岩のように動かない。


「じゃあ、ダレンくん」


 アールは、穏やかな声で言った。


「さよなら」


 腕に力が込められる。


 喉が締まり、空気が遮断される。


 視界が、ゆっくりと暗くなっていく。


 星も、月も、溶けるように滲んだ。


 ───そこで、意識が途切れた。


 アールは、気を失ったダレンを何の躊躇もなく、その身体を川へ投げ捨てた。


 空中で小さくなるダレンの姿。


 アールはそれを最後まで見ることはなかった。


 ダレンの身体は、激流へと叩きつけられた。白い水飛沫が、闇の中に弾けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ