表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【瞬間移動】で逃げるだけ!〜S級冒険者の裏切り者として追われた俺、気づけば魔王軍の最高幹部になってました〜  作者: 太田
第1章 逃げて逃げて逃げまくれ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/34

第10話 乗るもんじゃない

 魔物には、大きく分けて二種類が存在する。


「下級」と「上級」。


 下級魔物は文字通り玉石混交だが、冒険者ランクで言えば概ねG〜B級冒険者一人分の戦力。数や地形次第では危険も伴うが、対処可能な範囲に収まる。


 だが、上級魔物は違う。文字通り、次元が違う。A級冒険者が十人束になっても敵わない。


 基本的な対処法はただ一つ──遭遇したら戦うな。逃げろ。


 それが冒険者の常識だ。


 俺はまだ、魔物と実際に相対したことがない。


 教科書や映像資料で姿を見たことはある。だが、実物を前にするのと、知識として知っているのとでは、まるで話が違う。


 そんな上級魔物が支配する地区の奪還。


 生息する魔物の完全駆逐。


 それが、今回のクエストだった。


 頬を、冷や汗が伝う。


「大丈夫カネ? 初めてのクエストで、緊張しているのカナ?」


 不意に声をかけられ、俺は肩を跳ねさせた。


「えッ……あ、はい!」


 声が裏返るほど驚いた俺を見て、アールは豪快に笑い、己の胸をどん、と叩いた。


「HAHAHA! 大丈夫ダヨ!何たって、私がいるかラネ!!!」


 そう言って、堂々とポージングを決める。


 服の上からでも分かるほど、鍛え上げられた肉体が浮かび上がった。


「では、さっそく行こウカ!」


「……え?」


 唐突すぎる宣言に、思考が追いつかない。


 次の瞬間、アールは迷いもなく窓を開け放った。


 心地よい風が一気に吹き込み、カーテンが大きく揺れる。


「アア、そう言えば!戦闘用の服に変えなくテハ!」


 そう言って、彼は軽く指を鳴らした。


 パチン、という音。


 直後、アールの身体がまばゆい光に包まれ──次の瞬間には、まったく別の姿へと変わっていた。赤黒いスキンスーツが筋肉に密着し、肩からは漆黒のマントが翻っている。


「……っ!!!」


 思わず、息を呑んだ。


(……カッコいい……)


 言葉を失っている俺を見て、アールは首を傾げる。


「ダレンクン? どうしたのカネ?こっちにおイデ!」


 そう言って、俺を手招きした。


「あ、あ、はい!」


 慌てて駆け寄ると、なぜかアールは俺の前で膝を折った。


「……どうしたんですか?」


 不思議に思って尋ねると、アールは振り返り、ニカッと笑う。


「おんぶダヨ!今から一緒にクエストの場所へ向かうだロウ?馬車でのんびり行くより、僕が運んだ方が速いと思っテネ!」


(アールに……おんぶ……!?)


 一瞬、思考が停止した。だが、待たせるわけにもいかず、


「……失礼します」


 そう言って、恐る恐る背中に乗る。触れた瞬間、はっきりと分かった。


 筋肉の圧倒的な存在感。


 鋼のように鍛え上げられた背中は、「安心感」という言葉では言い表せないほど、頼もしかった。


「サァ! 行クヨ!」


 アールが叫んだ、その瞬間。


 俺の身体が、ふわりと浮いた。


 浮遊感。


 間違いない。浮いている。


 アールのレアスキル【空中浮遊】だ。


 そして次の瞬間俺たちは、弾丸のように空へと飛び出した。


「しっかり掴まっているんダヨ!」


「──────────────!!!!」


 叫び声すら、風にかき消される。眼下では王城がみるみる小さくなり、風が刃のように頬を切り裂いていく。


 この時、俺は一つの真理を悟った。


 アールが空を飛ぶ姿は、めちゃくちゃカッコいい。


 だが──乗るもんじゃない。


「スピード、上げルヨ!」


「ちょっ、待っ───ウワアアアアアアアアアアアアア!!!」


(ヤバい。俺、死にそう……)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ