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第1話 出会い

屈強な騎士ひしめく、アーレス国。

慈愛の女神の名を冠するその国は聡明な王を筆頭に精鋭揃いの騎士達がひしめき、日々虎視眈々と侵攻の気配を睨んでいる魔族の軍勢やならず者たちから日夜国を守護し、大陸の8割を治めるにまで至っていた。

そんな国の中でもエリート集団なのが王国騎士団の面々であった。彼らは武芸に優れ、魔法にも精通したエキスパート集団であり、国の防御を盤石にしていた。


そんな王都の外れにレイヴァルクという村がある。

一見するとどこも特筆することのない、ごく普通の田舎町で街の中心に大きな役場らしき建物があるほかは、まばらに商店だの民家だのが見える程度の…よくあるのどかな田舎の町であった。ただ一点、町の外れにあるのどかな田舎町に相応しくない石造りの遺跡が建っていること以外は。


そんな辺境の田舎町に1人の騎士が王都から調査という名目で出張と称してやってきた。

名はフォルケイシス・フォン・アーチ。騎士になって8年目の、中堅に差し掛かろうとしている見目も麗しいさわやかな男性であった。

その風貌は真面目そうな好青年で、いかにも騎士といった風の青年である。


「はい、お疲れさん。ここがレイヴァルクの街だよ」

首都からはるばる運んできた馬車の男性が長旅で疲れ果てていたフォルケイシスに声をかけた。

「ああ、ようやく着きましたか。どうも助かりました」

上着に付いた藁を落としながら彼はにこりと愛想笑いを返した。

「あそこに見える大きい建物群が町で、その向こうが遺跡さ。まあ行けばわかる。それにしてもこんな田舎に調査だなんて騎士様も大変だねえ」

「はは、いろいろあるのですよ」

「そうかい、んじゃ俺はまだ仕事があるから。用事がある時はまた寄ってくんな!」

そういうと馬車の男は来た方向に踵を返し、そのまま走っていった。


「さてと...」

騎士は懐から地図を取り出した。

レイヴァルク周辺が記された地図。その外れに赤いマルで印がされている。

「問題の遺跡は...あそこか」

赤いマルで示された箇所、そこはいわくありげな遺跡である。どうやらここ数年、タチの悪い魔物が棲みついてしまったようで、近隣の住民から投書が来ていた。

最初はどうせ低級魔族だろうし誰かその辺の冒険者がなんとかしてくれるだろうと放置していたのだが、流石に被害が大きくなって来る一方だった為、こうして騎士が派遣されてきたというわけである。


そんなわけでようやくたどり着いた遺跡は、石造りのなんとも古めかしいものであった。

「数百年は経ってそうだな...いや遺跡で百年はまだ新しい方か...なっ!」

入ってすぐやってきた雑魚モンスターを蹴散らしながらフォルケイシスはボソッと呟く。

薄暗い遺跡内を、慎重に進んでいく。こういう時普通なら共の従騎士が数人はいるはずなのだが、何故か今回は付けられなかった。辺境の名も知れぬ遺跡の調査など、そこまで人はさけられないということだろうか。しかしこの遺跡の状態を見るにとんだ貧乏くじを引かされたものだとフォルケイシスは思った。

「これは1人で調査するにはこれはなかなかくるものがあるぞ...?帰ったら団長に割増代金請求してやる」

そんな愚痴を言いながら遺跡を攻略していくと、いつのまにか最深部であろう広間に出た。

そこには明らかに何かを封印しているであろう祭壇と、その上に大きな竜が陣取っていた。


ーここの主か?いや違う。


「こいつ...恐らくはぐれモンスターか...!」

何かしらの気配を感じてここに迷い込んだのだろう。そしてここを根城として仲間のモンスターを呼び寄せていたーということだろうか。そんなことを脳内で纏め、理解したフォルケイシスは剣を構えた。

「すまんが、これもこちらが生きるためだ、悪く思うなー」

そういうとフォルケイシスは思いっきりジャンプすると竜に向かって剣を振り翳し、叩きつけるようにして一刀両断した。


「やったか?!」


砂埃が上がる中、目を凝らすと竜は一刀両断されてはいたものの致命傷には至らなかったらしく僅かにピクピクとしながらも踏ん張っていた。

「やっぱりダメだったかー...ん?」

ふと目を後ろの方にやると、宙に浮いた赤い石が光りながら佇んでいた。

「もしかして...こいつが原因か?」

あの石が、この竜を異様に強くさせている増幅装置なのではないか。

そう考えたフォルケイシスは石に向かって炎魔法を放つ。しかし。

「やはりこれでもダメか... あとあいつをなんとか出来そうなものは...と!」

石に気を取られて忘れていた竜の攻撃を剣で弾き返す。竜ならば物理攻撃でいけそうなのだがあの石はどうもそれも無理なようである。先程撃った魔法もほぼ効いていない。

何発か炎の球を連打したがまったく効いていなかった。これ以上撃つと流石に消耗が激しい。

さてどうするか、と考え抜いたフォルケイシスはふと鋭い目つきになる。


「あといけそうなのはあいつだけだが...イケるか?」

(それにここには俺以外誰もいない...おそらくこの場ならきっと...)

彼は目を閉じて何やら唱え始めた。


「失われしいにしえの術よ、我が呼び声に応え魔を滅却せよーーーエイシェント・ディストラクション!」


そう唱えると魔術の弾が放たれ、収束し爆発を起こした。まさに周囲を滅ぼすようにーあたりは竜諸共崩れ去った。

明らかに先ほど放った魔法とは桁違いの術。古代魔法の一種であり、それ故に一部では禁術扱いすら受けている闇魔法であった。フォルケイシスはそれをつかこなせる数少ない闇魔法士でもあった。

調査という名目できたのに遺跡諸共壊すのはいささかどうかと思うが、まあモンスターが棲みついていたからそれを排除した、というていで報告すればいいだろう、と崩れ去った遺跡を困ったような顔をしてフォルケイシスは眺めていた。


「お前さんもすまなかったな」

すっかり壊れた石を撫でながらフォルケイシスは呟く。

すると石がぼや...と光を発した。

「え?まだ何かある???」

魔力を秘めたその石はすうっと上に上がるとそのままパンッと弾けた。


「え?」


何が起きたのかわからない、その様子を見ながらフォルケイシスがしばしぼんやりしていると、今度はそこから光の粒が集まりやがて人の形が現れた。

「俺の封印を解いてくれて礼を言う、人の子よ」

人の形はやがて人になり、目の前の騎士にそう告げた。


「???どういうこと???」


いきなり目の前で意味不明なことが起こったと混乱しているフォルケイシス。それもそのはず、赤い石はいわゆる封印の祠であり、彼が倒した竜はそれを守っていたのだ。そして彼がたった今壊した封印の祠に封じられていた、目の前にいる男は数百年前にアーレス王国と戦った聖王国の魔術師ー


『魔王』ヴァリスであった。




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