0.1
殴り書きしたやつとりあえず貼っておく酔っ払い
村が嫌で都会に飛び出したはいいが、打ちのめされ、劣等感に苛まれ、もがき苦しんでいながらも、あんなクソ田舎の村に帰りたくはない!けど、たまには帰って顔見せとくれと言う大好きなばあちゃんの一言で、しぶしぶ春祭の連休に田舎へ帰省すると、田舎を出た理由の一つの幼馴染に出くわしてしまった。こいつは同い年でご近所さん。昔は純真無垢でくりくりの赤茶の癖っ毛がかわいい少年で、田舎娘らしい活発な少女だった私の周りに引っ付いていた。私は幼心にそれを愛しく思い(愛しくと言ってもペットを可愛がるのに近い感覚)、小さい子供が人形を可愛がるのと同様に世話を焼いたりおままごとに付き合わせたり夜が恐ろしいと感じる時には親ではなく幼馴染を呼び出し一緒に寝たりしていた。そんな幼馴染はともに成長するにつれ、“純真“と赤茶の癖っ毛だけはそのままに田舎者らしいガタイを手に入れ、厳しすぎる冬も過酷な夏も逞しく乗り越える男へと変貌していったのだが、小さい頃と変わらず私のところにやって来ては何をするとなくとも隣で私を眺めていたりするものだから、「あらぁ、あなたたち相変わらずお似合いねえ」「お前らいつ祝言上げるんだ?」みたいなことを村中の人から日常茶飯事毎時何度も言われるモンだからそんな気さらさらない私にはとても嫌で、変わりない田舎の日常へのヘイトと都会へのアコガレ、そしてこの田舎の勝手な言い掛かり(?)がないまぜになり、私を村から飛び出させる決意をさせたのだ。都会で仕事を無理やり必死に見つけ、親の反対も家族に楽をさせたいのだという私の雑な言い訳で押し切り、決意から一ヶ月程度で幼馴染にも「私、明日から都会で暮らすの。あなたも私に引っ付いてばかりいたけど、いいお嫁さんをちゃんと見つけて元気で過ごしてね」と幼馴染に告げ、次の日の早朝に旅立ったのがもう5年も前のことだ。たまに家族からの手紙を受け取り、それを返すことはしていたが、仕事と都会の忙しなさに流され、帰省は一度もしていない。おばあちゃんの願いを断れることができず、働き先も数年勤めて信頼が生まれたようで、春祭の間は仕事も休みだからと長期の休み受け入れられてしまい。祖母に会いたい気持ちと一瞬でも田舎に戻りたくないという気持ちの狭間のまま重い足取りで徒歩と乗り合い馬車に揺られること丸2日ほどの田舎に帰って来てしまった。春祭は12日間なので目一杯田舎で過ごしたとしても移動分を考えて7日ほどが滞在の限度である。5年も帰っていなかったとはいえ、7日間もいれば充分だろう。理由づけとは言え必要な事に変わりはない仕送りを私が都会で暮らせるギリギリまで出しているおかげか、実家に住んでいた頃よりも生活は満たされているようで心のどこかで安心した。あの目まぐるしい5年間の生活も無駄ではなく、都会に出たのは間違いじゃなかったんだとちゃんと思えることがありがたい。なんて思いつつ、せっかく重い気持ちながらも久しぶりに会う家族との団欒を楽しもうとした帰省1日目の午前中、そいつは突然現れたのだ。実家の玄関ドアを無造作に大きく開き、肩で息をしながら私の目の前まで傾れ込むように駆け寄って来た幼馴染。なんやなんやと思っていたらいきなり暴力的な力強さで抱きすくめてきたのだ。5年ぶりに会う幼馴染は以前よりもガタイがしっかりとした成熟した男になっており、顔を幼馴染の胸に強制的に押し付けられている状態の私はまともに息が吸えず、もがくこともできず、家族が幼馴染の狂行を止めていなければ、幼馴染は殺人犯になってこの平凡なクソ田舎を恐怖に貶めるところだ。私はそれをあの世から眺めるわけ。死因はこの場合だと圧死なのか?抱きしめられてるから腹上死の一種?幼馴染でなんの一線も超えてないのに一種の腹上死とか汚名すぎる。ともかく、幼馴染のムチムチの胸筋から何とか逃れることはできた。いったい突然何なのかと怒って問いただそうとしたら待ち焦がれた幼馴染の帰省を喜んでくれてるんだから、そんな怒らないのと母親に嗜められ、そんな!こっちは殺されかけたぞ!と食ってかかるも、はいはいウチはまた後でゆっくりすればいいから幼馴染と久しぶりの再会を楽しんでらっしゃいと幼馴染と一緒に実家から追い出される始末である。なんやねんほんまに。私は幼馴染ではなくおばあちゃんに会いに来たんやぞと文句を叫んだが玄関戸の向こうからは反応なし。なんやねんほんまに!!こういう本人の意思を全く聞こうとしない田舎特有の意識ほんとに嫌い!とイライラを募らせていると幼馴染からとりあえず移動して話をしよう(要約)と言われ、しょうがないので渋々幼馴染を後ろをトボトボ離れて歩いて行こうとしたら手を引かれ、隣を歩かされてまたこのクソ田舎で変な噂になるからやめてほしいと言ったのだがごめんねと言うだけで離してくれないし、より強く握られ強く引っ張られるばかり。しかもなんか人気(クソ田舎なので人気もクソもないが)ない方へ連れて行かれている。何?怖いんですけど。何?田舎からはみ出たものには死をとかじゃないよね??問うてもやはりごめんねばかりでどう言うことなのとても怖いんだけど。そんなこんなを考えているうちにクソ田舎の人間も来ないような原っぱの端っこに小さな小屋?家?が建っているのが見えてきて、そこへ連れて行かれているようだと気づいた。あれ、こんなところにこんな小屋なかったよな、よく見なくてもまだ新しいみたいだしなんだろ。小屋の戸の前で立ち止まり、幼馴染が首元にぶら下げた鍵を取り出して戸を開けた。お前の小屋なのかい。




