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8話 ソラル峠へ

→→→→→兄ターン


「「お世話になりました」」


町長室で2人で頭を下げる。かしこまった手の作法は結構違ったり地域差あるみたいだけど、頭を下げる仕草の意味はそう変わらない。


「まぁがんばりな。来訪者の半数以上は野垂れ死にしてるって話もある。気を付けるんだよ?」


「「···」」


励ましついで軽くビビらされたが、俺達はリコット村より本格的にシゴかれたギムリーの町を後にして、西のノーム族の村メイラルを目指した。


装備はだいぶちゃんとしてきてる。


ギムリーまでは布製の服とフード付きマントに棒切れ&作業ナイフって感じだったけど、今は革製の鎧に籠手と帽子を身に付け、俺は短い薙刀ショートグレイブを装備。

カズネはライトボウガンに銅の矢尻の矢の組み合わせで装備していた。


2人ともリュックを背負ってるの前提だ。いい感じ!


「ソラル峠、後半は絶対馬車ね!」


そこモンスター強いらしい。


「だな〜。さすがにネオ山梨ルール学習しないとだなぁ」


「久し振りに言ったね、ネオ山梨」


「へへ」


陸路でのメイラルへはよっぽど大回りしない限り渡り場が2箇所あった。前半は今の俺達ならどうってことないが、後半のソラル峠はかなりヤバいって話。

だから途中のモーフラル郷で強い魔除けを付けた馬車に乗り込んで峠の渡り場を走破する!


···で、まずはソラル山の麓の渡り場。


俺達はスライム8体をショートグレイブとライトボウガンで無難に撃退した!


ズバッと斬って、スコッと撃って始末っ。スライムは核を潰すか体液をドロッドロに出し尽くせば倒せるんだが、どっちにしろだ。


「うん、普通に戦う分にはスライム13体くらいはいけそうだ」


「矢、もったいないけど、さっさと行こ! ヒロ兄っ」


蜂で懲りたらしいカズネは猛ダッシュで渡り場の先の魔除けの利いた道の端に向かってく。


「はっや、俺の妹逃げ足はっやっ」


俺も後に続いた。



→→→→→妹ターン



モーフラル郷はドワーフ族とノーム族の混血の人達の郷。

ここの人達はドワーフ族より少し小柄でガッチリはしてるけどそこまでムキムキじゃない。私の中の『ファンタジーなドワーフ族』はどっちかというとこんなイメージだったよ。


「小ぢんまりして可愛い郷だね」


屋根が尖ってるのが多い。カワっ。


「文明レベルがリコット村くらいに戻ったな。資料によると山中で土地の確保が難しいから農地なんかは3箇所くらいに分けて郷の外に城壁を組んでキープしてるらしい」


「ふーん」


たしかに居住区はリコットと同じくらいだったけど、城壁で狭く囲われた郷だった。


私達瀧川兄妹は、事前に資料で目星を付けてた食堂は無いけど安くて湯浴みできる宿を取り、さっぱりしてからこの世界の平服に着替えて、郷のジビエ肉と淡水魚主体の近くの食堂で御飯を食べ、そこからコーヒー(ちょっと違う感じもするけど)が飲めるカフェに行って、ソラル峠アタックの作戦会議を始めた。


「宿では問題ないって話だったが、タイミングによっては馬車道が荒れたり塞がったりってのもあるようだ。地形と遭遇しそうな強いモンスターは確認しとこ」


「聖水4本ずつ持ってるし、前より私達素早いし、いけるよ」


「ん〜」


ヒロ兄は資料に首ったけになった。これ、長くなるパターン。


私も資料は見るけど、なんかお茶菓子追加注文しよっかな? 町長さんが教練所代タダにしてくれたのと(ホント助かった!)清掃業がんばったから、今、ちょっとお菓子買うくらいなら余裕あるんだ。へへ。と、


「あんた達もソラル峠越えか?」


いきなり赤い髪を後ろで結んだフェザーフット族の若い男の子が話し掛けてきた。平服だけど、腰のベルトに短剣を左右に一本ずつ差してる。冒険者かな?


「ああ、そうなんだ。メイラルの魔法使い達に色々聞きたいことがあってな」


「ギムリーから来たんだよ」


「冒険者か?」


「いや、護身の為に教練所には通ったが」


「弓、上手いよ私」


「随分念入りだなぁ。ま、いいけどよ。俺はボルッカ! 鍵師(かぎし)の冒険者だ。オイラもメイラルに行くんだよ」


鍵師は罠や仕掛け偵察不意打ち妨害工作のプロ。ファンタジー物だとシーフとかそんな感じだけど、ガチの『盗賊』も多い世界でややこしいから、呼称は鍵師で翻訳決定!


「ヒロシだ。教練所では戦士向きって言われた」


「カズネ。ヒロシの妹」


「馬車がポシャったパターンのミーティングしてたのか? オイラも混ぜろ混ぜろ!」


「「え〜?」」


ボルッカは自分の飲み物と茶菓子も持ってグイグイ相席してきた。押し強っ。


結局3人で作戦会議することになったよ。

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