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第23話 トラウマと陽の光

買い出しに来人は出かけた。

自転車を走らせるもドラゴンとの追走劇が頭に過ぎる。

それでも来人は自分自身を励ますように陽の光の輝きを感じた。

朱理が友人を連れて二時間ほどが経過した。


そろそろ献立こんだてを考えなければならない。


本日の当番の来人は冷蔵庫をチェックした。


「こりゃ難しいな」


だが、冷蔵庫の中は食材不足気味だ。


「朱理、オレ買い出しいってくる」


「分かった。逢ちゃんと留守番してる」


暑い日差しにさらされて。


気が滅入りながらも来人は買い出しに行った。


夏も真っ盛り。


この調子では残暑も厳しいだろう。


田園には稲が根を張っている。


その緑は来人に例の空き家の雑草を思い起こさせる。


あの夜へと至る脳内連想ゲーム。


稲の緑が空き家の雑草を。


荒れ地の背高い雑草が。


更にあの家屋周辺の雑木林を。


鬱葱(うっそう)とした木々が過ぎれば次は青いドラゴン。


恐怖の追走劇へとつながっていく。


他人からしたらなんてことはない。


目の前に広がる田んぼの緑が広がっているだけ。


しかし、来人は違う。


命がけの状況を呼び起こしてしまう。


前日図書館に行った時ですらそうだ。


普段なら時間も多くかからないはずなのに。


コンビニに何度か立ち寄り余計なロスが生じた。


なんでこんなに怖いんだ。


得体の知れない恐怖が道中で何度か来人に湧いてきた。


そんなとき毎回来人は手を太陽にかざした。


月の光さえ当てなければ。


陽の光が当たればただの石ころ。


今は大丈夫、なんの心配もない。


事実を自分に言い聞かせて気持ちを整理する。


ゾワゾワと恐怖が湧きたつたびに。


自転車を停めて来人は自己暗示を行った。


「暑い」


心は過去の恐れにより冷え切っていた。


しかし、肉体は違う。


肌は火照ほてらせ来人は大量の汗をかいていた。


「死にそうだ」


三十分分かけて来人は近所のスーパーに到着した。


汗だくの来人は自転車を停めるとすぐに店内へ。


「気持ちいい」


店内は冷房も効いていて居心地は快適だ。


「癒される」


溜まった疲れを癒しつつ来人は買い物を始めた。


「お会計は四千五百円になります」


「五千円でお願いします」


会計は来人の予想以上だった。


今月の生活費に支障はないがエナジードリンクの買い過ぎだ。


ただ、来人にとって買い物は重要な娯楽の一つ。


買い過ぎでも楽しめればいいのだ。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

3月になりましたがいかがお過ごしでしょうか。

では、次回の更新予定は3/2の17:00頃を予定しています。

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