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第14話 もう一度あそこへ

朱理からの依頼を再びこなさなければ。

食事の際に来人は妹から発破をかけられてしまう。

来人が勉強を始めて何時間経っただろうか。


「結構終わらせたな」


ふと来人が勉強のかたわら窓の外に目を移した時だ。


日は傾いて夕暮れだった。


「腹減ったな」


腹がへった来人がダイニングへと向かうと。


朱理が食事の支度をしていた。


「意外と律儀なんだな朱理」


「意外は余計だよ」


昨夜の約束をキッチリ果たす妹の健気さに来人は感心した。


踏んだり蹴ったりの昨晩だった。


だからこそ、来人には献身的な妹が癒しであった。


テーブルには焼き魚や肉ジャガといった和食が連なっている。


斑にきつね色を帯びた卵焼きが特に来人の目を引く。


「ウマいなこれ」


純粋に来人は味を褒めた。


兄の好評に朱理は両手で頬杖をついて微笑む。


「兄ちゃんには精を付けてもらわないと困るからね」


「大袈裟だな」


「だって、今夜またあの幽霊屋敷に行くんでしょ」


「明日もあるだろ」


「今夜でしょ」


妹の料理を口にした以上来人に拒否権はない。


さすがの来人もあの空き家に一日に二度も行きたくなかった。


「今朝、オレに無茶するなって言ったのは誰だ」


「それはそれ、これはこれ」


「オレの身がどうなってもいいのかよ」


「昨日だって帰って来れたんだ。無茶しなきゃ大丈夫だって」


今朝来人は妹に「無茶はしない」と約束した。


その一言が来人を重く束縛する。


ここで妹の頼みを断れば来人の株は暴落だ。


いつも以上に箸を持つ来人の右手が重い。


だが、来人は決めなければいけない。


そうして、嫌々ながらも来人は朱理に答えた。


「分かった、行けばいいんだろ」


「兄ちゃんは律儀だね」


妹との会話に矛盾を感じつつも来人は夕食を終えた。


卵焼きはおいしかった。


来人にとっては甘すぎるほどに。




部屋で出発の準備をする傍ら来人はフリマアプリの状況を調べる。


だが、メッセージは全て既読のものであった。


買い手はついていない。


「期待しても仕方ないか」


昨日と同じ手はずで来人は再び空き家へと向かう。


もう道はぬかるんでいない。


しかし、雲が空を覆っているので油断はできない。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

今回は短いながら兄妹の関係性を掘り下げるものになっております。

次回の更新は2/22の17:00頃を予定しております。

ぜひ見てくださいね。

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