表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/76

第13話 シャッターチャンス

空き家を訪ねるも入れず骨折り損。

それだけでなくフリマアプリの出品の手続きもしなければらない。

来人は覚悟を決め石の写真を撮る決意をする。

空き家から自宅へともどると。


早速フリマアプリを利用して。


アズゥから贈られた青い石を来人は出品しようと決めた。


キレイな女性から手渡されたとはいえ。


来人には愛着のない品でしかない。


「写真が必要だな」


さすがに画像もなく商品を出しても買い手はつかない。


言い換えれば。


もう一つのアズゥからのプレゼントである。


あのクッキー缶を開けることを意味する。


「マジ勘弁してくれよ」


やる気なく机の上の缶に来人は手を伸ばした。


昨晩、入浴の際に来人は缶の内と外の両側を洗い。


自分の部屋にも置ける様に缶を拭いて磨いていたのだ。


パっと見ると手渡された時より大分キレイになっているとはいえ。


触りたくないのが来人の本音だ。


「いきなり噛みついてくるのは、なしだからな」


不安で来人の動きが鈍る。


爆弾処理よろしく、危険物の扱い。


プレッシャーが来人に押しかかる。


緊張しながら慎重に来人はふたを開けた。


カコンっ。


金属のずれる音が皮切りだった。


缶のじ蓋が持ち上がり内側が徐々に露わになる。


それに伴い青い光が隙間からこぼれだす。


缶から差す光が来人の表情を曇らせる。


「ここでの変身はなしだぞ」


この部屋の中で石がドラゴンに化けでもしたら。


間違いなく来人の自宅は潰れるだろう。


そうでなくとも未知の存在のせいで世間の見世物になるだろう。


「昨日ぶりだな」


宿敵との早い再会を予感して来人は震えた。


窓から午後の日差しが差し込んでいる。


なんてことはないのどかな空模様。


しかし、来人は大違い。


緊迫かつ真剣だ。


速攻で勝負を終わらせないと。


変身する前に決着をつけるためにも。


石の全体が露わになってすぐだ。


素早くスマートフォンのカメラを来人は起動させた。


「この勝負もらった」


来人はシャッターボタンを手早く押そうとした。


しかし、外から入る陽が石に反射して思うように撮れない。


「くそっ」


悪戦苦闘が続く中で異変が起きる。


ビキっ。


ひびが入るような物音を来人は耳にした。


不審に思って出所を探すとそれは石からだった。


「どういうことだ」


幻想的な光彩はどこへいったのやら。


来人が目を離したすきに鉱石は光を失っていた。


いまや灰白かいはく色のただの石へと成り下がっていた。


「こいつめ」


舌打ちをしてもしょうがない。


ただ、なにもしないわけにもいかない、


来人は仕方なく石の写真を撮った。


その上で来人は缶の中に石を戻した。


一通り作業を終えてガムテープで缶の側面に封をする。


写真もアップした。


「めちゃ疲れた」


どっと疲れが来人に襲い掛かる。


しかし、もう一手間ある


再びスマホの画面を来人は見つめ直す。


来人は商品の説明欄に文章を打ち込む。


その内容は昨日来人の身に起きたことである。


暗い所で青くキレイに光ります。


あと、ドラゴンに変身します。


「これで完了。くたびれた」


手続きを終えると来人は伸びをした。


普段の来人からしたらナンセンスな作業だ。


来人が半時間ほど自室でくつろいでいたときだ。


スマートフォンに更新の報せが届く。


跳ね起きて来人は確認するもそれは冷やかしのコメントだった。


「石ころがドラゴンになるなんて誰も信じないよな」


元々期待はしてなかった。


来人はそこまで気にしていなかったものの。


待てども待てども。


来るのは冷やかしコメントばかり。


パケモンカードのときの買い手からの喰いつきは一切ない。


それどころか、カードをよく来人から買ってくれる人物達、常連客ほど。


冗談と思って冷やかしのコメントばかりしているのだ。


なんの進展もない。


来人はスマホを置いて夏休みの課題を始めた。


「宿題やってるほうがマシだな」


問題集に手を付けだすと時間も過ぎていく。


もう青い石が売れるなんて考えは来人の頭にはなかった。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次の更新は2/21の17:00頃になります。

ぜひ次回もご覧ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ