第9話 夜空の下のチェイス後編
逃げ出すも追いつめられていくだけ。
来人は暗い林を進むも突然のアクシデントに見舞われる。
雑木林の奥へと車体は向かう。
木の枝を踏みつけながら。
来人の愛車は暗い雑木林の中へと突っ込んでいく。
ドラゴンもその脚で来人を追う。
スピードは自転車の方が上だ。
それでも竜の脚力は来人を追いつめる分には充分だった。
必死で追跡を振り切る来人。
それを追うドラゴン。
夜空のチェイスが繰り広げられている。
舗装されていない剥き出しの道がコースだ。
両者はそこをトップスピードで駆けていく。
「痛てぇな、この」
木の葉や枝に虫などなど。
自然の産物が今や来人にとっては障害物だ。
追跡者からの逃亡で頭もいっぱい。
細かな障害物を気にしている余裕などない。
その一方でドラゴンは木々をなぎ倒しながら夜のコースを駆けていた。
暴慢に己が道を突き進んでいく。
バキ、バキバキバキ。
木々が倒れる度に大きな音と衝撃も出た。
この壊されていく木々たちにより来人の焦りも加速していた。
焦りは集中を奪い。
アクシデントを生む。
ドっ――。
「えっ」
一瞬なにが起きたか来人自身分からなかった。
頭が回りだしたのも後々だ。
それも自転車から投げ出されて地面に身を叩きつけられてからだ。
「くそなんでこんな目に」
最悪のアクシデントが来人に訪れた。
「ちくしょう」
来人の乗っていた自転車が木の根にぶつかり転倒したのだ。
これにより来人自身も投げ飛ばされてしまった。
被害は来人だけではない。
自転車の籠に積んでいた戦利品も辺りに散らばってしまったのだ。
「くそ」
衝突の勢いで来人は樹木に叩きつけられていた。
擦りむいた自らの右手を庇いながらなんとか態勢を整えようとする。
しかし、それも無駄だと悟った。
走るのを止めドラゴンがゆったりと来人に近づいてきたからだ。
もはや足掻くだけ無駄。
どう動こうが関係ないと言わんばかりに。
ドラゴンは余裕満々に来人へと接近していた。
「これまでか」
絶望が来人に駆け巡る。
逃げられない。
現実の残酷さに遂に来人の足が止まった。
夜空のチェイスはどうやらドラゴンの勝ちのようだ。
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