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出会いのダンジョン1


ダンジョンとは人生一発逆転の可能性が眠っている場所である。

ダンジョン産の魔石やアイテムは物によっては数億円するものもあるからだ。

スマホをいじっていると数回に一回は、“私はダンジョンで人生バラ色になりました”“ダンジョンに行かないのは損!”なんて、広告が表示されるほどだ。

つまり、ダンジョンに行けば人生勝ち組なのだ!


「まあ、そんなうまい話ないよな」


「夢見るのは某ネズミーランドくらいにしておきなさい」


そう言いながらダンジョン免許試験官の小太りおばさんが俺に注意したのだった。

ダンジョンに入るには探索者免許が必要なのだが、それには三日間の講習と実技試験を受けて合格する必要があるのだ。

そして、今日が最終日で実際にダンジョンの中に探索しに来ているのだ。

今いるダンジョンは見るからに洞穴のような装いだが、ものによってはどこまでも続くような高原や火山地帯もあるようだ。

そのような特殊ダンジョンにはモンスターが所狭しと跋扈しているのらしいのだが、ここはモンスターはスライムばかりないうえに数が少なく、やっとの思いで十体以上も倒しても全然魔石をドロップしないのだ。


「魔石って本当に存在するのですか?」


「するわよ。ただ、スライム程度の魔物だと中々ドロップしないの。ゴブリンとかになると三回に一回くらいでドロップするわ。まあ、ゴブリン程度の魔石じゃ一つ百円もしないけど」


「本当に夢が無いな」


魔物を倒すとどういう原理か分からないが、死体が消えてドロップ品というものがのその場に残るのだ。

探索者の収入のほとんどがそのドロップ品の売却に依存する。

しかし、初級ダンジョンの魔物からはドロップしづらく、ドロップ品もお金にならないのだ。

なら、早く中級ダンジョンへ行きたいのだが。


「命大事によ。初級最難関と言われる危険度4になると、死人だって出るほど危険になるの。お金が欲しいからって急ぐと簡単に命を落とすわ。講習で言ったように一つひとつ確実に初級を攻略して、レベルを上げていきなさい」


「レベル」


右手の甲に掛かれた2の文字。

モンスターを倒したその時から現れたのだが、この数字が上がるほど身体能力の向上や不思議な力を手に入れることができるのだ。

有名なものでいえば魔法なんかもその一つだ。


「魔法使いになれれば一生遊んで暮らせそう」


「その考えは間違いよ」


「え?」


「魔法持ちは確かに派手だし、攻撃能力も高い。だから、高危険度ダンジョンに連れていかれることが多いの。でも、魔法寄りという事は他の探索者と比べても身体能力があまり上がらないの」


「でも、タンク役の人が守ってくれるのでは?」


「高危険度のダンジョンなんて何があるか分からないわ。それこそ、圧倒的に強い敵を前に我が身可愛さでタンクが逃げ出すなんてよくある話よ。そうなったら、足の遅い魔法使いが残されるのは明らかだわ。だから、魔法を使えるようになってもあまり公表しない方がいいし、伝える相手は良く選んだ方がいいわ」


本当に夢も無ければ希望もないようだ。

でも、初級の中でも危険度2くらいまではソロで行けるらしいしそれまでに、仲間を。

……


「ソロで、どこまでいけますかね?」


「え? ソロプレイヤー目指してるの?」


「え、いや!? その、そんなわけでは」


おばさんは呆れたような視線を向けると溜息を吐いた。


「もし、高藤たかとうさんに憧れてだったらさっさと諦めなさい。あの人はスキル構成のせいでソロをやってたようなものだから。なりたいでなれるものではないわ。それ以外の理由でだったら、初級卒業までには考えを改めなさい」


危険度4までか。

でも、仲間なんて、いらない。

それに、探索者 高藤 亮一りょういち の事なんて大嫌いだ。


「そういえばあなたも高藤なのね。それじゃあ、ハイ、高藤 優輝ゆうきさんの免許。どうする? 帰るなら一緒に出口まで行くけど」


「もう少し、探索していきます」


「そう、あまり無理はダメよ」


そう残して試験官のおばさんは帰ってくのだった。

さて、このダンジョンだが危険度1の中でも更に安全な部類に入るのだが。

今日はこのダンジョンをクリアしたい。

というのも、ダンジョンに入るのにもお金がかかるのだ。

全く儲からないこのダンジョンでも五百円かかるが、今回は試験の為という事でタダなのだ。

本来なら儲からないダンジョンなどさっさと出たいのだが、上の危険度に行けるようになるには一つ下の危険度のダンジョンを二つクリアしないといけないのだ。

タダだし、クリアしやすいなら、した方がいいだろう


「さて、行くか」


このダンジョンは一階層で構成され、直線のみ、しかも短い。

その奥にボス部屋があり、そのボスもミドルスライムという普通のスライムよりちょっと大きいスライムのみだ。

取り巻きもいない。

余裕だろう。


数分も歩くと扉があった

あったのだが。

なにこれ?


扉の前の床に回転レバーがあったのだ。

そう、このレバーは。


「ガチャ?」


そう言えば、ダンジョンの中にはごくたまにガチャと呼ばれるものが現れるらしい。

それは回すと消えてしまうが、回し終えた後に有用なスキルや武器、テイムできるモンスターが出てくるとか。

でも、一生の内に一、二回出会えるかどうからしく、都市伝説レベルの話だった。

それが、目の前に。


「あ!」


レバーが床に沈んで行ってしまう。

焦りから、何も考えずに、レバーを回してしまう。

回しながら思い出した。

ガチャの中にはバッドスキルや呪いの武器が出てくるとか。

もしかして。


……。


回しきったと同時にレバーは消えてしまったのだった。

それと同時にダンジョン内が揺れ始める。

立っている事もできないほどだ。

そして、黒い何かが現れるとその中から何かが出てきた。

吐き出すように何かがで終わると、黒い何かも消え、揺れも収まったのだった。


「これが、ガチャ?」


初めての事なのでよく分からないが、これがガチャの。


「え?」


それは武器でも、防具でも、ましてや道具でもなかった。

生き物なのでテイムできるモンスターの部類なのだろうか?

でも、それはモンスターというにはあまりにも人間染みていた。


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