ついに冬香と再会!響と冬香の壮絶な3年間とは、そして響と冬香が剣を交える!?
無事再会を果たした響と冬香はお互いの3年間を伝え合うことにした。響の地獄のような過去と冬香の充実した過去。その先に待っていたのは響と冬香の戦い!?
俺と冬香は2人とも3年間の出来事を事細かに話し合った。
ーー「おい、どぶネズミ、そこの荷物運んどけ!!」
「は、はい。」
「おい、出来損ないー、そんなとこ突っ立ってんな!!」
「す、すいません。」
冬香がいなくなってから2年間、俺は鑑定スキルしか持っていなかったため、たくさんの冒険者から酷く扱われていた。
俺はしょうがないと思っていた。
冒険者は辛い仕事だ。俺にあたることで少しでもその辛さが楽になるんだったらそれでもいい。
そして何より、いつも俺は何のためにこの仕事を続けるのかを考えたら、こんなことで止まってられるか、なんて思ってしまう。
「冬香を守る。」
そのためなら何だってする。
いつもうるさくて、世話の焼けるやつだけど、
大切な幼馴染なんだよなぁ。
小さい頃からいつも後ろをついてきて俺を頼るごとに、冬香を守ることが俺の生き甲斐になっていった気がする。
そしてそれは今も変わらない。
冬香の笑顔を守りたい。
屈託なく笑う冬香を守りたい。
俺は弱いからパーティには全く誘われなかった。
ソロで頑張るしかないのだが俺にはスライムしか倒せない。
だからと言って冒険者を辞める理由にはならない。
俺は1日20時間365日潜り続けた。努力もした。睡眠は1日
2時間しか取っていなかった。
冬香を守る。
ただそれだけのために時間を費やした。
1番辛かったのは成長の成果が全く見られないことだった。
レベルもステータスも全く上がらなかった。
他の冒険者からは、
「早く辞めろ。」
「目障りなんだよ。」
「死んだ方がマシじゃね。」
とかいう言葉を1日50回は言われた。
毎日言われ続けるととてもしんどい。
そんな地獄のような日々を2年間365日欠かさず続けた。
そんな俺の運命が変わったのはある日、物好きな冒険者が^パーティに誘ってくれてダンジョンに潜った時のことだった。
運がいいのか悪いのか、俺はダンジョンの脅威に襲われ、
下の階層に行ってしまった。
でもそのおかげで経験値を得たので
やっと、やっと、2年間待ちに待ったレベルアップが、万年レベル1だった俺に訪れた。
俺がずっとレベル1だったのは呪いがかけられていたかららしい。
その呪いの正体は分からず、これから解明していこうと思った。
とにかくそこからは強くなり続けた。
俺には呪いがかかっていたが、その呪いを解いたおかげで
エフージオというチートスキルを得た。
そこからはボスモンスターを倒したり、ミッションを成功していった。
そのおかげで、
「おい、今まで酷いこと言って悪かったな。」
「俺らは逃げる場所、ストレス発散する場所が欲しかったんだ。」
「もう、侮辱するのは辞める。」
と他の冒険者から認められた。
嬉しかった。
今まで孤独だったから急にたくさんの人に囲まれて少し戸惑ったが、それでも嬉しかった。
ーー「それが俺の3年間だ。次は冬香の3年間を教えてくれ。」
「私の3年間は……」
ーー「きょ、今日からよろしくお願いします。」
私は王都トータルアースの隣にある「ノースロック」という
上級冒険者しか行くことのできない別名「地上のダンジョン」と呼ばれるところにローディウスさんのパーティ、
「白の立神」と遠征に行くことになった。
私は魔力、ステータス、スキル全てが上級冒険者並みだったのでついて行かせてもらうことになった。
「そっちいったぞ、冬香。」
「はい。」
「ファイヤーボール!」
そういうと手から炎の球が出てモンスターへと一直線に飛んでゆく。
「だいぶコントロールが良くなったなー。」
ローディウスさんに褒められて私は嬉しく感じた。
「今頃響は何してるのかな……」
「おーい、戦闘中だぞー。心の声が漏れてるぞー。」
「すいません。」
「そうよ、冬香ちゃん。油断は禁物ね。」
そう言ったのは白の立神の1人、フウカさんだ。
フウカさんは、風魔法のスキルを持っていて、風を自由自在に操れるレベル87の一流冒険者だ。
「まぁ冬香は強いからいいっしょ。」
そういうこの人は同じく白の立神のメンバーのダビルさん。
ダビルさんは、大楯のスキルを持っていて、メンバーの盾となってサポートをする。レベルは83だ。ちなみに身長は2メートルあるらしい。
「冬香さんがきてから討伐が楽になりました。」
そういう可愛らしい女の子は白の立神のエレナさん。
付与魔法のスキルを持っていて、サポートをする。
ちなみに年齢は私と同じ15歳。
そしてローディウスさん。
この人は白の立神のリーダーでスキルは双剣。
2つの剣で相手を切り刻む。
パーティのムードメーカーでもある。
白の立神はこの、ローディウス、フウカ、ダビル、エレナ
の4人のパーティだ。
「やっぱり皆さんお強いですね。さすがトータルアースのトップ冒険者といいますか。」
そういうと、彼らは4人口を揃えて
「当たり前だろー。白の立神が1番!」
と自信満々に言った。
この後白の立神と一緒にナースロックの調査を続けた。
なぜノースロックを調査しているのかというと、ドラゴンが出たという目撃情報がギルドに入ってきたからだ。
ドラゴンレベルのモンスターとなると、ギルドからトップ冒険者たちにミッションが発令される。
トップ冒険者はミッションが多いので、大変なのだ。
白の立神のメンバーとはすぐに仲良くなり、その中でも同い年のエレナさんとは親友と呼べるものにまでなった。
「冬香さん、今度一緒に訓練しませんか?」
「いいよー。エレナと一緒に訓練したらもっともっと強くなれそう。」
ーードーーン!
目の前の岩が砕けて岩の代わりに赤いドラゴンがそこにいた。
「こ、これが、ドラゴン……」
想像のはるか上をいく迫力で圧倒された。
体長は30メートル程だろう。
「レッドドラゴンだ。」
「いくぞー、白の立神!」
「おー!!」
と同時にエレナが味方全員に攻撃力、防御力、スピード、魔力、動体視力、反射神経が上昇する付与魔法をかけた。
そしてフウカさんが風魔法を撃つ。
「ニードルウィンド!」
その言葉と同時に風の針が100本ほどドラゴンに直撃する。
次にローディウスさんが攻撃を仕掛ける。
「ダブルスラッシュ!」
その言葉と同時に2つの剣がニードルウィンドで綻んだ外皮に刻み込まれる。
その時だった。ドラゴンがブレスを放ったのは。
レッドドラゴンのスキルはブレス。
そう本に書いてあった。
ブレスを受けると一般冒険者なら溶けて消える。
そのブレスは私の方に飛んできた。
「や、やばい。」
「ビッグシールド!!」
私の前に大きな背中とその何倍も大きなシールドが、現れた。
「ダビルさん。ありがとうございます。」
「いいってことよー。これが俺の仕事だからな。」
ーーそうして5人で協力してレッドドラゴンを倒した。
戦っている間は分からなかったがもう5時間も経っていた。
そうして遠征は終わった。
しかし、さらなる強さを求めて私は白の立神と一緒に訓練をし続けた。
エレナの付与で強化された体の感覚を覚え、
フウカさんに魔法の放ち方のコツを学び、
ローディウスさんに体の使い方を教えてもらい、
ダビルさんに攻撃の防ぎ方を学んだ。
そうしているうちに気がついたら3年経っていた。
そして響と会う前日。
レオナさんに響の場所を聞いた。
すると、
「それが響くんにミッションを発令して失われた森に行ってからもう5日経ってるんですけどまだ帰ってきてません。
でもそろそろ帰ってくると思いますよ。」
「響がミッション?」
驚いた。もう冒険者を辞めているのではないかと心配していた自分を殴ってやりたい。
「響くんはこの1年でとても強くなりました。今ではこのギルドでもトップクラスの実力を持っているのではないでしょうか。」
すごい! すごいすごい。
私も強くなったけど、響も。
そうして1日が経ち響と再開した。
そうしたら響がボロボロになって帰ってきたのでビックリした。
「これが私の3年間だよ。」
ーー俺たち2人とも強くなった。
「じゃあこれからは守り守られる関係をつくろう。」
と冬香が言う。
「そうだね。」
と返す。
その時、
「ねぇ響、手合わせしよ。」
と急に冬香が言ってきた。
手合わせ?戦うってことかな?
「いいのか?怪我するかもしれないぞ。」
「響こそ怪我しないようにね。」
「じゃあやるか。レオナさん、競技場用意してもらっていいですか。」
「はーい。ちょっと待ってね。」
そうして冬香と手合わせすることになった。
「ヨーイ、始め!」
と同時に冬香は魔法を撃った。
「アイスエッジ!」
氷の柱が俺を包み込む。
「レッドスピア!」
そして炎の槍が俺めがけて飛んでくる。
「ブラッドウォール。」
俺の前に赤い壁が現れて炎の槍を防いだ。
これはブラッド系のモンスターを倒して得たスキル。
血液操作で自分の血を盾に変えたものだ。
「ブラッドアロー。」
そして血の矢を飛ばす。
「アイシクルブロック!」
氷の壁に阻まれる。
「冬香、強くなったな。でも、俺は魔法だけじゃないぞ。」
俺はブラックスターを手に取り冬香に切り掛かった。
「一の剣、駿切」
氷の壁を全て消し去った。
「アイヤーウォール!」
すごい。氷と炎のダブルブロック。
しかし、この剣で、
「な、なんで……」
全ての壁を破壊した。
「冬香ー、トドメだ、ダクト。」
ダクトの威力調節ができるようになったため、気絶するくらいのダメージを与えて冬香を倒した。
「勝負やめ。勝者、響。」
勝った。俺は強くなったたんだ。
そして冬香を部屋に連れてった。
ーー「こ、ここは、」
「起きたか、冬香。」
「ひ、響、あぉそうか、私負けたんだった。」
「冬香強かった。」
「いや、負けたよ。響こんなに強くなったたんだね。」
「当たり前だろ。お前を守るって決めたから。」
「響の3年間の話を聞いてこの実力を見て、響の凄さを改めて実感したよ。さすが私の幼馴染!」
久しぶりに冬香とゆっくり話せて、俺たちは改めて一緒に行動することにした。
「なぁ冬香、」
「ん?」
「そろそろチームに入ろう。」
「そうね。」
と言うわけで俺たちはこれからチームを探すことにする。
ここからは2人の冒険が始まる。