謎の呻き声の正体とは、そして響が手に入れた新しいチートスキルの能力とは
呻き声の正体とはなんなのか、響が次に手に入れるチートスキルとはなんなのか、そして遂に、冬香と感動の再会の時!?!?
あと少しで冬香と再会する。
嬉しい。と同時に不安もあった。
まだ一緒にいてくれると言ってくれるのか、前よりももっと遠くの存在になっていないか……
俺は冬香を守るために強くなり続けた。
努力も惜しまなかった。
だからその分そういう不安が頭をよぎる。
でも、再会する前にやる事が一つだけある。
それは、ギルドからのミッションだ。
そのミッションの内容は南のはずれにある「失われた森」の奇妙な呻き声の正体を突き止めろ。、というものだ。
だから俺は身支度をし、ボスモンスター討伐報酬の相棒、
ブラックスターを持ち、少しでも自分の経験にするために
万全の状態で挑もうと考えた。
ミッションへ行く前に一旦ギルドへ行った。
レオナさんに挨拶をして詳しい場所を教えてもらった。
レオナさんは、「頑張って。」と一言くれた。
その一言に勇気をもらい、俺は失われた森へと向かった。
森への道中にはモンスターが出るらしい。
と考えてた矢先……
「なんだ、このモンスター、みた事ねぇ。」
一匹のダンジョンでは見たことのないモンスターがいた。
「か、鑑定。」
名前ー ブラッドウルフ
レベルー 17
HPー 537
MPー 372
SPー 127
スキルー 血液操作
「ブラッドウルフ……血の狼か。血液操作、どんなスキルなんだ。」
「血液操作、鑑定!」
(血液操作……自分の血を操れる。)
そ、そのまんまの意味だな。
まぁ、倒すしかないか。
そう思い、ブラッドウルフと戦うことにした。
「そのスキル、頂くぞ。」
「ダクトー!」
手に入れたばかりのスキル、ダクトを使ってみた。
ブラッドウルフは破裂した。
「HP0……」
500以上あったHPが一撃で消し炭になった。
これがダクトの力……
「グリムに感謝だな。てか俺あんなの受けて死ななかったのか、いや俺のステータスでダクトを打ったからなのか。」
俺はとにかく森の奥を目指した。
道中ブラッドスライムやブラッドウルフ、ブラッドゴブリン
ブラッドオークなどブラッドシリーズのモンスターがたくさん出た。その度に俺は、
「ダクト、ダクト、ダクト、ダクト、ダクトー!!」
ダクトを打ちまくった。
そして、遂に、奇妙な呻き声の正体を知るための建物に着いた。
「ここは、教会か?」
その建物は今はもう使われていない教会のようだった。
そして1番奥に一体のガイコツがいた。
「スケルトンかな。」
「誰がスケルトンだー!!」
「あ、うわぁ、しゃべった……きもちわる。」
「ふざけるな。初代剣聖を舐めるな!」
「初代、剣聖!?」
それってレオナさんが言ってた、
「剣聖ってもう死んでるんじゃ、」
「おう、そうだ、俺はもう死んでる。」
「じゃあ、なんで?」
「それは成仏できてないからだ。俺が死んだ時は魔族との決戦の真っ只中でね、俺は魔族によって殺された。それでこの世界には賢者ブラストしか頼れるやつはいなかった。だから心配で成仏できなかったんだ。」
「でも、ここでの呻き声は最近のはずじゃ……」
「それは、最近ブラストと同じような気配感じてね、まぁ今目の前にその気配があるんだが……」
「え、それって俺のこと?」
「お前以外に誰がいる。」
「だって、俺はまだ弱いし、人1人も守れるかどうか、そんな俺がブラスト様と同じ?」
「仮にお前が弱いとしよう。ではなぜその剣を持っている?それはブラストが持っていたものだ。そしてあいつは言ってた。その剣は真の強者にしか扱えないと。」
やはりそうなのか、この剣は。
「まぁお前に会ってみたかったから呻き声を上げ続けたということだ。」
「なんで俺に会いたかったんだ?」
「それはブラストの剣を扱える奴がどんなやつか知りたかったからだ。それと、成仏させてほしくてな。」
「成仏?そんなことを俺にできるはずがないだろ。」
そうだ、できない。俺はモブだぞ。まだスキルも少ししかない。やり方もわからない。
「いいや、お前はできるぞ。その剣には光属性の魔法が付与されている。その剣を俺に刺せば成仏できるぞ。」
この剣にそんな力があるなんて、まぁこれでミッションがクリアできて少しでもレオナさんに恩返しができるのなら喜んで行おう。
「よし、やってやる。」
そうして俺は剣聖に剣を刺した。
「こ、これで、やっと……」
次の瞬間剣聖の姿は消えた。
そしてなんと、スキルに「剣聖」というスキルが追加されていた。
そういえばあの人、こんなスキル持ってたな。
俺は剣聖を見た瞬間鑑定をした。
剣聖のステータスは全て0だった。
でもスキルだけは残っていた。
これは多分俺に残してくれたんだな。
そう思い、このスキルを大切にしようと決めた。
「ふむふむ、なるほどー、剣聖の剣は常時発動型のスキルなのか。じゃあ剣術が上がってるのかな。」
常時発動型とはその名の通りスキルを所持している限りずっとそのスキルを発動している状態のことだ。
剣術どのくらい上がったかなー?
「剣術、鑑定。」
「剣術17から9572になりました。」
俺はその、表記を見て目を疑った。
「9572ぃー!!」
アースズトップの剣術最高値を誇るローディウスさんでさえ剣術849だった。
その10倍を軽く超えてる。
そんな力が俺に……
これで冬香を守れる。嬉しい。
「よし、帰るか。、剣聖さん、ありがとうございます。」
帰り道は恐ろしいほどに敵が現れなかった。
「なぜだろう。」
そう考えていたら、まがまがしい気配を感じた。
「ウォロォロォロォー……」
なんだこの声、この匂い、五感が全て刺激される……
「ゔ、ゔぁぁー……」
く、苦しい……
その時俺の前に現れた。やばい怪物が……
「か、か、かん、てい。」
名前ー コーグタイト
レベルー 74
HPー 6752
MPー 6548
SPー 5487
スキルー リフレクション
化け物だ。
今までのどんなモンスターよりもはるかに強い。
「だめだ、弱気になっちゃ。剣聖様に託されただろ。」
そういって俺はブラックスターを右手に取った。
「な、なんだこれ。」
力が湧き出てくる。これが剣聖と賢者の共闘!
俺は2人の偉人に背中を押されてコーグタイトに立ち向かった。
「ん?あれ?」
相手の動きがとても遅い。攻撃の全てが見える。躱せる
いや、俺が速いのか。これが剣聖賢者の力。
これなら勝てる。
俺は攻撃に転じた。
そして相手に与えたはずの攻撃は全て自分のダメージとなった。
「ぐはっっ!!」
な、なんで……まさかスキル?
「リフレクション、鑑定」
(リフレクション……相手の攻撃を反射する。常時発動型ではない。自分の反応できる攻撃しか反射できない。)
なるほど、反射か……
「厄介だなぁ、だが、勝つ!」
勝ち目はある。
そして俺は攻撃に転じた。
反射される。
攻撃、反射、攻撃、反射、攻撃、反射
相手の反応できないくらいの速さで、と思ったが相手の反射速度が化け物じみている。
それなら、
「反射できないくらい攻撃してやらぁ」
攻撃、反射、攻撃、反射…………
消耗戦だ。俺のダメージは蓄積されている。
だか、相手もダメージを喰らっている。
その後も攻撃を続けた。
「よし、隙が見えた。」
相手の注目を剣に集めた。
いまなら、、、
「ダクトォォー!!」
魔法を放った瞬間相手は内側から爆発して消えた。
どちらもHPが限界だった。
これならダクトで倒せた。
「か、勝てた。」
俺はボロボロの体でギルドへ戻った。
ーー「響っっっ!!!!」
ギルドの扉を開けた瞬間この声と同時に俺を暖かくて柔らかい何かが、誰かが包み込む。
この懐かしさは……
「と、と、冬香ぁぁ〜。」
冬香だった。
久しぶりに会ってその姿を見ると、
「本当に冬香、なのか?」
冬香にしては大人だった。
からだはもちろん育つところがちゃんと育っている。
「ま、まな板じゃなくなってる。」
と口が滑ってしまった瞬間、頭に拳が突きつけられる。
「響のばかぁー。感動の再会なのにぃ〜。」
「ははっ、ごめんごめん。」
冬香が変わってなくてよかった。
「私は強くなったよ。」
「俺も強くなった。」
「ふふっ。」
冬香が笑った。
「なんで笑うんだよ。バカにしたのか?」
思わず聞いてしまう。
「違うよ、響3年前は全然自信がなかったのに、今はなんかとても頼もしい。」
そういうことか。よかった。
「それよりも響、とてもボロボロじゃない。何があったの?」
と聞かれる。
「実は……」
ーー俺は今日の出来事を話した。
「響そんなモンスターと戦えるようになったんだ。鑑定だけでよく勝てたね。」
と言われたので、
「俺のスキルは鑑定だけじゃないんだよ。今では6個持ってるよ。」
というと、
「えええぇぇーーー!!!」
と驚いたので、俺と冬香は2人とも
この3年間の出来事を全て話し合うことにした。